雨と夜ふかし

カーテンの奥から染み出した夜が
部屋の中に漂っている
グラスに落ちてきたそれを一息に飲み干せば
身体が夜に馴染んでいく

水の底を泳ぐように息を止めて
毎日を進んできた
少しのお別れをする様に大きく息継ぎをして
週末が始まっていく

大人たちは夜に紛れて
やるせない日々を塗り潰す
うまく行かない日常を
それでも愛しく思うために

真夜中の手前で降り出した雨が
街を洗い流していく
夜はどんどん深さを増して
私の中に潜っていく

雨音は夜に紛れて
静かに私を包んでくれる
不意に溢れた涙の跡も
見えないように隠しておくれ

儘ならぬ日々の隙間で
満たされない想いを抱えた
その全てが溶け出すように
ゆっくりと夜が更けていく

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