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MotoGP2024 第2戦ポルトガルGP

ここからがいよいよ本番、ヨーロッパラウンド初戦はポルトガルからスタート。

舞台のポルティマオ・アルガルヴェサーキットはMotoGP開催カレンダー中屈指の難コースで、なんといっても特徴は「ハイスピードローラーコースター」と呼ばれる激しいアップダウン。MotoGPクラスではほぼ全ての選手がウィリーで下っていくとされているバックストレートエンドの坂では、しばしば離陸してしまうマシンの姿も見られます。

離陸するジャック・ミラー

そんなハードでツイスティなポルティマオ、土曜日スプリント決勝は自分にとって非常に嬉しい結果となりました。

制したのはアプリリア移籍後初優勝かつ、自身初のスプリント優勝となったスペインのマーベリック・ビニャーレス(アプリリアレーシング)。

2017年のヤマハ移籍時からずーーーっと応援しているライダーなので、スプリントとはいえアプリリア移籍から3年立ってやっとひとつ結果が出たことが本当に嬉しいです。ウィークを通して安定した速さを見せていて、レース内容も抜群でした。2番グリッドから好発を決めて終始表彰台争いが見える位置で運び、ジリジリポジションを上げてミスなく周回していたところでバニャイアのミスを受けて先頭に立ち、そのままペースを維持して完勝。ヤマハ移籍直後の頃の、冷静かつミスのないスムーズなライディングが帰ってきたように感じることができて感動しました。

2位は、早くもニューチームでの初表彰台となったマルク・マルケス(グレシーニドゥカティ)。こちらもアグレッシブながら着実に前のライダーを処理していく全盛期のマルクの片鱗が見られるライディングでした。3位はスプリント大好きマルティン。

スプリント初優勝のビニャーレス(手前)と、
ドゥカティ移籍後初表彰台のマルク・マルケス(右奥)

MotoGP 第2戦ポルトガル スプリント決勝
応援選手🔥
優勝 マーベリック・ビニャーレス🇪🇸(アプリリアレーシング)
注目選手🏍
2位 マルク・マルケス🇪🇸(グレシーニドゥカティ)
3位 ホルヘ・マルティン🇪🇸(プラマックドゥカティ)

Moto3クラス決勝はスペイン勢の表彰台独占。優勝は、開幕戦2位の雪辱を果たしたオルガド(ガスガステック3)、2位には参戦2年目通算2度目の表彰台獲得となったルエダ(レッドブルKTMアジョ)、3位はオルトラ(MTヘルメッツMSI)となりました。やっぱりCEVMoto3出身者は強いですね。オルガドは2021年のチャンピオン、ルエダは同じく2022年のチャンピオン、そしてオルトラは2021年年間ランキング2位。スペインの10代の速さは毎年本当に末恐ろしいです。
注目選手に挙げているベイヤー(ハスクバーナインタクトGP)は終始トップグループを追走しながら6位、表彰台争いを伺える位置で安定して完走することができるようになってきました。開幕戦3位の古里は完走するも18位でノーポイント。元々ラウンドごとの浮き沈みの激しいところがあるので、今年の課題はコンスタントにポイント圏内でフィニッシュしていくところになってくるのではないでしょうか。

Moto3 第2戦ポルトガル 決勝
優勝 ダニエル・オルガド🇪🇸(ガスガステック3)
2位 ホセ・アントニオ・ルエダ🇪🇸(レッドブルKTMアジョ)
3位 イヴァン・オルトラ🇪🇸(MTヘルメッツMSI)
注目選手🏍
6位 コリン・ベイヤー🇳🇱 (ハスクバーナインタクトGP)
応援選手🔥
18位 古里太陽🇯🇵 (ホンダチームアジア)

Moto2決勝のトピックはなんと言ってもカネット(ファンティック)悲願の初優勝。Moto2昇格からこれまでの4年間、2番手を大きく離しているタイミングで転倒したり、後ろからペースを上げて前を追撃し始めた頃には先頭のライダーに逃げ切られてしまうといった決定力不足で19度の表彰台のうち2位が14回ともはやMotoGPファンの間ではよく知られた「シルバーコレクター」状態でしたが、Moto2クラス70戦目、20度目の表彰台にして初めて真ん中に立つこととなりました。中盤まで前で逃げていたロペスの転倒に助けられた形ではありましたが、これまでのカネットなら先頭でミスしてしまったりズルズル後退していってたであろうところを今回は決め切りました。「最後まで気を抜くなよ」という不安をよそに当の本人はラストラップの最終コーナーで左足を上げるパフォーマンスをしながら立ち上がってきて世界中のファンをヒヤッとさせましたね(笑)さすがに今回は何事もなく立ち上がってきてそのままチェッカー。

優勝を確信してか足を上げるパフォーマンス
最後の最後にフロントでも切れ込んだのかと…😅

2位には実は久々の表彰台のロバーツ(アメリカンレーシング)、3位に入ったのは、おそらくSSP300チャンピオン獲得者の中で1番上手いこと結果出せてる(と勝手に思っている)ゴンザレス(QJモーターグレシーニ)。小椋選手は、フライングスタートにより2度のロングラップペナルティを受けるも最後方からとんでもないペースで追い上げてきたアルデゲル(スピードアップ)に競り掛けられ5位でフィニッシュとなりました。

Moto2 第2戦ポルトガル 決勝
優勝 アロン・カネット🇪🇸(ファンティック)
2位 ジョー・ロバーツ🇺🇸(アメリカンレーシング)
3位 マニュエル・ゴンザレス🇪🇸(QJモーターグレシーニ)
注目&応援選手🏍🔥
5位 小椋藍🇯🇵 (MTヘルメッツMSI)

そして、いろいろ起こったMotoGP決勝。スタート直後はスプリント決勝上位のメンバーがほぼそのまま先団を形成する中ただ1人素晴らしいペースで上がっていったのが、出ました!スーパールーキーのペドロ・アコスタ(ガスガステック3)。マルケスやバニャイアなど錚々たるチャンピオンライダーを一対一で抜いていき4位まで浮上。残り3周、ペースの上がらないバニャイアを5コーナーのブレーキングで抜きにかかったマルケスですが、クロスラインでインから抜き返そうとしたバニャイアが接触し共に転倒。チャンピオンライダー同士の珍しい接触でしたが、見た感じはどちらが悪いとも言いきれないレーシングアクシデントだったように思います(実際、レース終了後両者ともペナルティなしの判定が出た)。2人共コースには復帰したもののバニャイアはそのままピットインしてリタイア、マルクは16位でレースを終えました。2位を走っていたビニャーレスにバスティアニーニが追いつき、ペース的にはバスティアニーニが前に出るかなーと思っていたところ、ラストラップに入るホームストレート立ち上がりで失速したビニャーレスは1コーナーをオーバーランし、そのままエスケープゾーンで不可解なリアタイヤロックで転倒。惜しくもリタイアとなってしまいました。好調なウィークだっただけに、表彰台目前のマシントラブルでのリタイアには心が痛みました…これで先頭マルティン・2番手バスティアニーニ・3番手アコスタがそれぞれ等間隔となりそのままチェッカー。

マルティンはやっぱり早め先頭からの逃げ切りがハマると太刀打ちできない速さを見せますね。バスティアニーニもかろうじてドゥカティファクトリーのメンツを保つ表彰台。そしてなにより超新星アコスタは最高峰クラスデビュー2戦目での表彰台、しかも19歳304日での表彰台は2002年のMotoGPクラススタート以降最年少での達成となった。Moto3クラスで表彰台を占めた3人とほぼ同世代であり、2020年レッドブルルーキーズカップチャンピオンの実績があるアコスタ。レースぶりを見ても、最高峰クラスのマシンへの適応はすでにできていると言っても過言ではないと思いますし、母国で「ポストマルク・マルケス」と言われるだけの才能を結果で示してくれました。余談にはなってしまいますが、約30年も若手育成チームと銘打ってテック3に次々にライダーを引き入れ、ほぼその全てのライダーが目覚ましい活躍を遂げているというあたり、エルベ・ポンシャラル氏の次世代ライダーを見る目はいつまでも衰えないなぁと改めて強く思いました。

19歳304日での最年少表彰台獲得記録を達成したアコスタ

MotoGP 第2戦ポルトガル 決勝
優勝 ホルヘ・マルティン🇪🇸(プラマックドゥカティ)
2位 エネア・バスティアニーニ🇮🇹(レノボドゥカティ)
3位 ペドロ・アコスタ🇪🇸(ガスガステック3)
注目選手🏍
16位 マルク・マルケス🇪🇸(グレシーニドゥカティ)
応援選手🔥
DNF マーベリック・ビニャーレス🇪🇸(アプリリアレーシング)

いわゆる"推し"の優勝や新たな才能の台頭に感動して長くなってしまいましたね(笑)

次戦第3戦はアメリカズGPです。かつて10年連続優勝記録があるマルク・マルケスがもはや庭のようなコースで完全復活を見せるのか、はたまた2019年にスズキのマシンでマルケスの11連覇を阻止し昨年はホンダのマシンでも勝ったアレックス・リンスがヤマハでも勝ってMotoGPクラス初の「3メーカーマシンに乗って優勝」記録達成となるのかますます楽しみです!

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