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大勢で対応する(11)

興奮して大暴れしている人、もしくは大暴れしそうな人に対して、注射や点滴、四肢拘束などの介入を行うときには、できるだけ大勢の人数を集めることが鉄則です。

こちらの身を守るためには人数が多いほうが有利だという理由もありますが、実をいうと、ひどく興奮している人でも大勢の人を前にすると、それだけで落ちついてしまうということがよくあるのです。相手があきらめてしまうからなのか何なのか、その辺りの理由はよく分かりません。

ともあれ、人を多く集めるのは余計な乱闘を未然に防ぐためなのです。ですから、必ずしも屈強な大男でないとダメだということもありません。ちょっと手の空いている人に後ろに立っていてもらうだけでも、とても助かります。

無事にことが済んだあと、“なんだ、こんなに人数はいらなかったんじゃないの?”という声が聞こえてくるかもしれませんが、決してそんなことはないのです。

文章:精神科やすだ (2006年6月18日初公開)
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●このマガジンは私が以前に発行していたメルマガの復刻版です
●もともと医療関係者向けに書かれたもので、この回の内容も少し補足が必要かもしれません
●精神疾患ゆえに生じる激しい衝動性や攻撃性への治療介入は、精神科では必ず遭遇する難問ですが、医学的・倫理的・人道的・法律的な判断のもとできちんと行われるもので、決して”嫌がる患者は何でもかんでも無理やり押さえつける”みたいな安易な鎮静や行動制限が行われるわけではないということをご承知ください
●ご意見、間違いの指摘などは何でも歓迎いたします
●詳しくは「はじめに」をご覧ください


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