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聴くことの2つの側面(44)

医療面接に関して研修医がまず教えられるのは、診断や評価に必要なことをきちんと短時間で要領よく聴取することではないかと思います。ですが、これは “聴く” という行為の1つの側面でしかありません。

話をうまく聴く技術というものを考えたとき、そこには “こちらが知りたい情報を聞き出す技術” と “相手が伝えたがっている情報を言わせる技術” の2つの側面があるのではないかと思います。

患者さんの抱える悩みや困りは多種多様で、悩みの概要をとらえ困りの本質を見抜くためには、相手が心の内をうまく表現できるように、こちらが導いていくことも大切なことです。ただし、その場合、相手のペースに合わせるために短時間でも要領よくもない面接になることもありえます。

例え救急外来であっても "言わせる技術” が必要になる局面はあります。時と場合に応じて両者の配分をコントロールできる人が、きっと医療面接の達人ということになるのでしょう。

文章:精神科やすだ (2007年1月11日初公開)
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