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安心感を与える(54)

先日、ある講演会で「妄想によって不安になるのではなく、不安感情が先にあって、その不安の原因を誤認識することで妄想が生じるのかもしれない」という仮説があることを聞きました。

言われてみれば、「自分を責められたから悲しくなった」のではなく「悲しい気分になったので自分が責められたのだと認識した」というように、思考が感情に影響されることはよくあることで、この仮説は感覚的にもよく理解できる気がします。

統合失調症や妄想のある患者さんにどう接していいか戸惑ってしまうという人は、この仮説を応用して、相手が安心感を抱きやすいようにということだけを念頭に置いて接してみてはどうでしょう。

精神病症状のことはあまり深く考えないようにして、堂々とした態度をとるとか、優しい気配りを見せるとか、そういった普通のことを心掛けるだけでも、もしかしたら妄想が軽くなるということがあるかもしれません。

文章:精神科やすだ (2007年3月29日初公開)
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