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自己治療(38)

苦境に立たされて自信を失っている人を支えるために「これまでも同じような困難を乗り越えてきたではないか」ということを思い出してもらうような働きかけをすることがあります。うつ病などでは目の前の問題に圧倒されて、過去の実績に目が向かなくなるため、認知療法のなかでこのようなアプローチを行うこともあります。

精神科医や心理士はこういった働きかけの「カード」をいくつか持っているわけですが、それを自分自身に対して使うことももちろんできます。自分が弱気になっているとき、同じことを自問自答してみるのです。それによって自信を取り戻すことができたなら、それだけ自分のストレスに耐える力が鍛えられたことになり、さらにその経験によって、この次に患者さんに同じ事を言うときにずっと説得力が増すことになります。

自分の人間的成長と臨床能力の向上がリンクしているわけで、これはこの分野で働く者の特権ではないかと思います。

文章:精神科やすだ (2006年12月2日初公開)
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