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分からない人にも説明する(23)

認知症の患者は、言われた内容や起こった出来事などは片端から忘れていきますが、その時々で受けた印象や感情はいつまでも覚えているのだそうです。

ということは、例えば徘徊する患者さんに対して、どうせ分かっていないのだからとばかりに有無を言わさぬ強引な態度をとれば、その時の恐怖感や怒りはいつまでも残っていくということです。その結果、ますます不穏になりやすくなることも考えられます。

そう考えると、全く話が通じないような人にも、そうでない人にするのと同じように、注射をするならば内容や効果を丁寧に説明し、苦痛を伴う処置(身体拘束もそうです)のときには温かく励ましの声をかけることが、治療的にとても意味があることだと分かります。

ばかばかしいなあと感じるかもしれませんが、そう思いながらも丁寧な態度を心掛けていけば、それは相手の正常な心理に記憶として残ります。地道な対応が報われる時は必ずくることでしょう。

文章:精神科やすだ (2006年8月26日初公開)
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