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評価結果を悪口に使わない(46)

心理学的評価を求める時というのは、たいてい何かしら現場で困った事態があってのことなので、どうしても結果は “人格障害” だの “適応能力が低い” だの、知らない人が聞いたらただの悪口にしか思えないような評価が下されがちです。

専門家は “その人にとって有用な介入を行うために” という大前提のもとで診断・評価を行います。決してその評価はその人の尊厳を貶めるために用いられることはありません。

危惧するのはその評価が独り歩きをはじめてしまうことです。特に心理用語は他の医学用語に比べて日常語に近く、本来の用語の真意を知らなくても何となく分かった気になってしまう危険があります。

これが現場の苦悩や困惑と結びつくと、心理評価は本当の意味でのただの悪口になり、単なるスタッフの苛立ちのはけ口に堕してしまいます。評価の形を借りたレッテル貼りは、その時点で思考を停止させ、有用な介入を放棄させてしまいます。

文章:精神科やすだ (2007年1月30日初公開)
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