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精神科医と“話を聞くこと”(42)

精神科医は人の話をよく聞いてエライですね、と時々褒められます。しかし、あえて自戒も込めて言うならば、人の話を聞くことが本当にエライことかを常に問いただすべきだと思っています。精神科医にとって人の話を聞くことは目的ではなく、あくまで手段です。手段である限り、それを行わなくても目的が達せられるならばむやみに行うべきではないと言えます。

治療の手段という意味では外科医にとっての手術に例えてもいいでしょう。外科医は長時間の手術をこなし、私たちから見れば確かに偉いなあと感じるわけですが、外科医にしてみればきっと、その必要があるからしているだけだと思っていることでしょう。もし手術が治療の手段ではなく目的と化しているとすれば、それは外科医の自己満足として非難されるはずです。

逆説的ですが、人の話を聞かない精神科医もそれはそれでひとつの見識です。

文章:精神科やすだ (2006年12月25日初公開)
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