心の壁(34)

心に壁を作る人のことを前に書きました。壁を作る理由は人それぞれ、いろいろとあるはずです。自分の心の弱さを人に知られたくない、知られたら批判されたり嫌われたりしてしまう、と恐れている人もいるでしょう。また統合失調症などの疾患では容易に自分の思考や感情が乱されてしまうために、自分を守るため、あえて他人を遠ざけようとする心理もあります（「脆い内面を硬い外面で守っている」という表現を教わったことがあります）。

いずれにせよ自分を守るための壁ですから、単に邪魔なものと捉えるのではなく、その人にとっては大切なものだということを、まず敬意を持って認識するのが大事な心構えだと思います。

他人の心の壁に敬意を払わない人は、それが善意による行動であったとしても、妙に馴れ馴れしかったり、押し付けがましくなったりして、かえって警戒心（つまり心の壁）を高めてしまうのではないでしょうか。

文章：精神科やすだ　（２００６年１１月９日初公開）
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