見出し画像

水道ニュース 水道クライシス “ある日 突然、水が出ない”全国危機マップで見る水道リスク NHKニュース 2024年4月22日

NHKが、水道の危機状況についてマップを公開しています。非常にわかりやすい記事です。


記事の要約

茨城県大洗町では先月、町内全域で突然断水や水の濁りが発生しました。原因は50年以上前に埋設された石綿セメント管の老朽化による破損です。この事態は全国各地で発生しうるリスクであり、NHKは水道事業者のデータを基に「水道クライシス全国危機MAP」を作成し、各地の水道料金や老朽化率、耐震化率を可視化しました。

大洗町では、老朽化率が全国平均22.1%の倍近い37.8%で、6700世帯が36時間も断水しました。法定耐用年数の40年を超える老朽化した水道管は、全国で16万4000キロ、地球4周分に相当します。全国の水道管の老朽化率は2005年度の7.5%から2021年度には22.1%まで上昇し、15年で3倍近くになりました。

老朽化対策が進まない背景には、人材不足があります。2001年度には2万8200人いた技術職員が2021年度には2万3500人に減少し、技術職員1人当たりの業務負担が1.6倍に増加しました。また、上水道事業は独立採算の公共事業であり、水道料金の収入が減少する中で人件費の削減が進み、技術職員の数が減少しています。

耐震化も課題であり、国は2028年度末までに耐震化率を60%以上にする目標を掲げていますが、2021年度の耐震化率は41%で、目標達成は厳しい状況です。経営の厳しさが増す中、多くの事業者が水道料金の値上げを決断しており、神奈川県営水道では今年10月から3年かけて平均22%の値上げを実施します。

問題解決の方向性


このような状況に対し、福島県会津若松市ではAIを活用して水道管の更新優先順位を決定し、効率的な老朽化対策を行っています。AIは水道管の古さだけでなく、土壌や交通網、川からの距離などのデータを組み合わせて劣化リスクを判定し、更新作業の効率化に貢献しています。また、宮崎市田野町では、水道管の代わりに給水車を使った運搬給水を導入し、コスト削減を図っています。

岩手県矢巾町では「水道サポーター制度」を導入し、住民と自治体が協力して水道の現状と課題を共有し、対策を講じています。専門家は、水道の現状について住民に伝え、共に危機に向き合うことが重要であると指摘しています。

この記事は、全国の水道インフラが老朽化し、断水リスクが高まっている現状を示しています。住民や自治体が協力し、効率的な管理と更新を進めることが必要です。


コメント

水道については、各事業者は、経営戦略を作成して公表することとなっています。利用者は、是非とも各事業者の経営戦略に目を通して欲しいところです。

また、水道料金は、地方議会での議決事項ですし、多くの事業者は、学識経験者や住民の代表で構成されている水道事業経営審議会を設置しています。ここでの議論にも注目をしていただきたい。