見出し画像

沖縄県浦添市・ショート動画に関する第三者委員会

答申の内容を要約すると下記のとおりです。

事案概要

背景と目的

令和6年2月19日付けで浦添市のTikTok市長アカウントに関する配信動画について疑義が生じたため、浦添市ソーシャルメディア調査委員会が設立されました。この委員会は、令和4年10月から令和5年6月までの間に市のPRを目的としたTikTok市長アカウントの配信動画、および令和5年10月31日に配信された動画の内容を検証し、意見を求められたことを受けて答申を行いました。

調査の経過

  1. 第1回調査委員会(令和6年2月19日)

  2. 第2回調査委員会(令和6年3月11日)

  3. 第3回調査委員会(令和6年3月25日)

  4. 第4回調査委員会(令和6年5月15日)

委員会は全4回の審議を経て、以下の答申内容を取りまとめました。

答申

1. ソーシャルメディア活用ガイドラインと事務処理

浦添市ソーシャルメディア活用ガイドラインや行政内部の事務遂行等に対して定められた規程等が外部の者には適用されない場合、契約書等に禁止事項や注意事項を明記し、口頭でも説明を行うべきであった。

2. 適切な決裁方法の遵守

今回のソーシャルメディアによる情報発信は、契約による動画作成から投稿までの日程がタイトであったとはいえ、事務処理を行ううえで内規として定められた各種規程に従い、適切な決裁方法により行うべきであった。

3. ガイドラインの見直し

浦添市ソーシャルメディア活用ガイドラインは、市の公式SNSをスタートさせた時から見直しがされていないため、今後の情報配信を適正に行うためにも、今回の指摘事項を踏まえた改正を行い、再発防止に努めることが求められる。

4. 表現の過激化と情報発信の質

TikTokは冒頭でのインパクトが求められるため、今回の投稿動画においていくつかの表現が過激となり、内部からも様々な意見が出された。今後の情報発信については、各種法令等を遵守し、内容の質を確保するとともに、媒体の選定が適切であったかを検証し、その結果を改善に活かすことが必要である。

5. 差別的表現のチェック体制

市が発信する内容に差別的な表現が含まれないよう、事前にチェックする体制を確立し、再発防止に努めること。その際には、役職等を含め、一つの性に偏らないメンバー構成を心がけることが重要である。

6. 研修の継続

市長及び市の職員は、ジェンダー、セクシャリティ(SOGI等)、ハラスメント等に関する研修を継続的に受講し、問題点の所在を理解することが求められる。

7. 避けるべき表現

差別的、暴力的と捉えられる表現は避けるべきであった。「見た目が大事」など外見による差別、「やる」などの暴力的な表現、職員等に対して「女の子」や市民に対して「いい子たち」などの子ども扱いをしているかのような表現、伏せ字によってその後ろに続く言葉を想像させ、結果的に誤解を与えかねない表現、セクシャリティに関連した差別的な表現が散見されたが、このような表現にならないよう事前に確認するシステムが必要である。

8. 非公開とすべき動画

現在公開されている25本の動画のうち、次の動画については非公開とすることが望ましい。

  • 1月13日配信(12本目、市長がチンピラに絡まれた)

  • 3月2日配信(17本目、市長がセーラー服?)

  • 5月19日配信(22本目、市長、勤務中にワインかよ。)

  • 6月27日配信(25本目、ホテルアラクージュ)

これらの動画は特に差別的またはハラスメントに該当する内容であることから、閲覧できないよう所要の措置を取るべきである。

9. 現在非公開の動画について

現在非公開中の10月31日配信動画(さよなら)については、配信の事務手続きを担っていた担当部署が関与しておらず、内容についても市の第三者委員会発足前に関わらず委員会への申し入れを行ったかのような誤解を招く恐れがあるため、引き続き閲覧できないようにすることが望ましい。

10. 上記以外の意見

  • 10月21日配信(3本目、市役所職員の服装について):ルッキズムに問題がある発言。

  • 1月5日配信(11本目、市民の女の子にキレられる市長):女性に対して「女の子」という表現、大人を子ども扱いにする表現、伏せ字の使用による誤解を与える表現。

  • 6月9日配信(24本目、保育コンシェルジュ):市長を叱るのはいつも女性職員であり、性別役割分担意識に類似した意識が見える。

以上の内容を踏まえ、浦添市として適切な対策を講じ、再発防止に努めることが求められます。

弁護士会による第三者委員会についてさまざま書籍が交換されています。