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ゴリラが楽しかったマーダーミステリーのシナリオ vol.4

皆様、マーダーミステリー楽しんでいますか?
自分が最近(2022年3月~5月)プレイしたマーダーミステリーで、特に面白かった、オンライン、パッケージのマダミス作品をご紹介致します!

■注意書き

※割と新しめのマーダーミステリーを紹介していますが、あくまで筆者がプレイした時期で紹介しているため、一部古い作品もあることはご承知おきください。

※レビューを見ても作品を楽しめるよう、誰が犯人か、どんなギミックがあるかといった部分はぼかしていますが、「どんな傾向のシナリオか」といった点は紹介しており、作品傾向をネタバレとして感じる方は、ご自身の判断で読み進めて頂きますようお願いします

■あの日のあなたと祝杯を(8PL+レス可) ★超オススメ★

マーダーミステリー『あの日のあなたと祝杯を』(オンライン) - 上星 - BOOTH

一言で言えば「上級者向け高難易度高品質な正統派重量級マダミス

 キャッチ―なメインビジュアルとタイトル、作品全体の雰囲気の良さ等から、作品全体として非常に高品質なイメージを受け、それに相応しい高品質な作品。オンラインでプレイできる作品としては最上位に位置する。

 雰囲気としてはエモーショナルな作品のようにも受け取れるが、実態としては非常に骨太な作品で「推理」「対立構造」「疑心暗鬼」といった、マーダーミステリーならではの要素がしっかりと用意されており、マーダーミステリーが本来持つ、推理や駆け引きの楽しさを楽しめる作品。

 作品のビジュアルおよび概要説明からも伺える通り、この物語は「幼女」というキャラが非常に優遇されている構造となっている。
 この点におけるキャラの不均衡は作品のデメリットではなくむしろ一番の特長となっており、セールスポイントであるといえる。
 「幼女」役は5歳(!)という設定であり、話の中心になることから、この「幼女」役を誰がするかという点は、この作品を楽しむにあたって非常に重要な点となるだろう。

 エモーショナルな要素もきちんと用意されてはいるものの、エモを目的とするというよりは、マーダーミステリーを楽しむことを目的としてプレイした方が良い。

 プレイするにあたっての注意点として、作品のジャンルに「ジャンル :ミステリー、SF」と記載があること、駆け引き重視の骨太なマーダーミステリーであるがゆえに、必ずしも全員が気持ちよく終われる訳ではないことは念頭に置いてプレイした方が良い。

 また、「GMレス可」とはなっているものの、一部ルールが特殊な部分があり、裁定に困った際にプレイヤー間で解決することが難しいこと、ただでさえ高難易度であるため、進行を意識しながらプレイする余裕がおそらく無いであろうこと、そして何よりも、これだけ贅沢なシナリオは万全の状態で楽しみたいという点から、GMを用意してのプレイを強く推奨する。

 情報量や考える事も多く、ターゲット層としては明確に上級者向け。こちらはboothの作品説明にも「※高難度シナリオです」と記載があるため、マーダーミステリーの経験回数が100回を超えて「ちょっとやりごたえのある作品をプレイしたいな…」と思っているジャンキーを集めてプレイするのにぴったりの作品。

■混迷を呼ぶ嵐(4PL+GM) ★超オススメ★

マーダーミステリー「混迷を呼ぶ嵐」 - ティーの倉庫 - BOOTH

 ぱっと見ではシンプルな印象を受けるが、「混迷」とタイトルについている通り、プレイするプレイヤー皆が混迷するであろう骨のある一作

 20世紀半ば、英国のとある都市。
実業家で地元の名士でもある富豪は、郊外の屋敷に同好の士を招いては、自身の傾倒する趣味である推理小説について熱く語らう集まりを開いていた。

Boothの販売ページより引用

 「登場人物全員が推理小説マニア」という設定、館での一夜、突然の嵐、何も起こらないはずが無く…。という、ツッコミ所がありつつも、マダミスの基本である「推理小説の中に入ったような」という体験が的確にできるストーリーとなっている。

 作者から推理小説が好きでオマージュしている部分がそこかしこから見てとれ、推理部分に相当熱を込めて作成しているのが感じられる。
 その上で、マーダーミステリーとしてのゲーム性も工夫して取り入れられており、それが物語とも高いレベルで融和しているため、見た目のシンプルさに反して、非常に満足度の高いシナリオとなっている。
 初心者から上級者まで幅広く楽しむことができる、超オススメの作品。

■最弱四天王殺人事件(5PL+GM)

マーダーミステリー「最弱四天王殺人事件」 - ぺんむむ - BOOTH

 既に紹介の必要も無いくらい有名な作品。ようやくプレイできました。

 一番の特徴は、この作品がプレイできなくなる原因でもある、Discordのbotを使った調査
 botを使った調査は他の作品でも散見されますが、この作品はbotに対する拘りが半端ではなく、そこまでやるか!?と作りこみに驚かされながら、独特のプレイ感で楽しむことができます。

 しかしながら、この作品がオススメできるポイントはbotだけではなく、ストーリーやキャラクター、RPなども全て高水準でまとまっており、作品としての完成度が高く隙が無いことにあると思っています。
 推理、システム、キャラクター、シナリオ全てが高水準かつ「わくわく」させてくれます。(HOの読み込み時点で「こんな読みやすく面白いHOが書けるのか」と感動した覚えがあります。)

 強いていえば、この作品は「〇〇がやられたか…だが奴は四天王の中でも最弱…」といったような「少年漫画あるある」的なノリでRPを楽しむ作品でもありますので、真面目なノリも悪ノリも十分に楽しめるメンバーで実施するのがオススメです(筆者は「魔王」を担当して、存分に魔王として振る舞うことができて楽しかったです)

 「最弱四天王」というネタっぽいタイトルではあるものの、中身はものすごく気合いの入った本格派のマーダーミステリー。8月末日でプレイができなくなるため、未プレイの方は急いで通過することをオススメ致します。

■雨やみ探偵(2PL+GM)

2人協力型 謎解きTRPG「雨やみ探偵」 - らしょちゃんshop - BOOTH

 「謎解きTRPG」と銘打っているため、マーダーミステリーとしての分類に分類されるかは若干謎ですが、2人用マダミスと思っておおよそ問題ないでしょう。

 双子の探偵として様々な事件に挑戦し、解決していく形のゲームです。
それぞれの謎についてしっかりと考えて答えを提示しなければならないため、推理を求めていたプレイヤーの方にはうってつけの作品となります。

 推理と共に進んでいくストーリーも魅力的で、非常にリッチな物語体験をすることが出来ます。

 懸念点としては、良くも悪くもゲーム中の時間のほぼ全ては推理をすることに集中し、2人用であり、かなり長時間のプレイ(フルプレイ目安5時間~7時間)になるため、プレイヤーおよびGMにかかる負担が非常に高いという点です。

 プレイするにあたっては、推理するのが大好きで、脳に負荷をかけたい! という二人組で挑戦することが望ましいでしょう。

 また、こちらの作品はタイムアタック要素もございます。それぞれの話について、どれだけの時間で解けたかを競うのも面白いと思います。
 ちなみに、筆者が解いた時は以下のタイムでした。

1話 6分30秒
2話 1時間16分
3話 2分50秒

■吸血鬼の円卓(5PL+GM)

伝奇マーダーミステリーゲームシナリオ『吸血鬼の円卓』 - 超人気イケメン堂 - BOOTH

 第七回GMMM杯の題材にもなり、最近の作品ではあるものの経験した人も多数あるであろう作品。強烈なメインビジュアルが目を引くが、内容もそのビジュアルに負けず劣らずの濃厚な内容。

 GMMM杯のために作られたマダミスということで、配信映えを意識された作りとなっており、キャラクターのグラフィックや盤面が華やかな見た目となっています。

 また、キャラクターの行動方針や関係性の構築も濃厚な味付けがされており、読み合わせやロールプレイが好きな人にとってはたまらない作品。

 強いて懸念点を挙げるとすれば、GMMM杯自体が「マダミス熟練者を集めて見ごたえのあるマダミスをする」という場であるため、この作品自体が、熟練したプレイヤーを対象としていること。

 ノリノリでロールプレイを行いつつも、与えられる情報からキャラクターとして行うことを主体的に判断し、限られた時間の中で取捨選択の判断をしていく高度な判断力が求められ、不慣れなプレイヤーは「何が何だか訳がわからないままゲーム終了」となる懸念がある。ある程度慣れてからプレイした方が無難。(この点については、boothの説明文章においても説明されている)

・文字数、情報量が多く、決して親切ではない
・達成の難しい目標が含まれ、難しい駆け引きや厳しい立ち回りが要求される

吸血鬼の円卓 booth販売ページより引用

 しかしながら上記の懸念点は作品の欠点という訳ではない。尖った刃の方が刺さった時に鋭利なのは道理であり、「マダミス熟練者」を自負するプレイヤーは、ぜひこの「熟練者向き」の尖った作品をプレイして欲しい。


■チュウニーようちえんと漆黒の鐘(4PL+GM)

チュウニーようちえんと漆黒の鐘 - Chain Bell - BOOTH

 ChainBell様のシリーズ1作目にして、いきなりアクセル全開のとんでもない作品。

作品のコンセプトはあまりにも明瞭であり、これは作品のタイトルからも説明文からも説明されている。

幼稚園児になりきるIQ吹き飛ばしロールプレイと
拗らせた厨二全開のロールプレイが醍醐味の作品

Boothの説明文より引用

そのため

ようちえんじになって わーわー きゃーきゃー おはなしするんだよー
とうぜん ようちえんじだから ありばいとか じけいれつとか
よくわかんないし そんなことより かけっこしてあそぼーよー!!!
えー!? あそんでくれないのー!? やだやだあそぼー!!
みんないじわるーーー!! えーーんえーーん!!!!

 …といったようなIQが吹き飛んだロールプレイと

"犯人捜し"など我からすれば児戯に等しい無為な行為であり、そのような些事に右往左往するお前たちの様子は滑稽でしかないが、永劫を揺蕩う人生の余暇を過ごす気紛れとしての探偵の真似事も悪くはない。
久方ぶりにこの"漆黒の脳細胞"が稼働する時が来たようだな。
犯人よ、震えて待っているがいい―――――。

 …といったような厨二のロールプレイをすることが目的であり、これらのロールプレイに抵抗感があるのであればプレイすべきではないし、プレイする以上は一切の恥を吹き飛ばしてようちえんじになりきってあそんだほうがぜったいたのしいよー!

ろーるぷれいが たのしさのほとんどをしめるから
ぷれいするひとはもちろん どうたくしゃも りかいのあるひとをあつめて
みんなでわいわいきゃーきゃーたのしんでね!!!

■殺しのエンジン(8PL+レス可)

8人用無料マーダーミステリー「殺しのエンジン―リスボン特急怪奇事件―」|スミー|note

HOがヤバい作品。

今や数百を超えるマーダーミステリーの作品の中でも、「最もHOがヤバい作品とは何だろう?」と質問を受けたら、ぶっちぎりで1位獲得間違いなしのヤバい作品。

とにかくHOがヤバい

従来のマーダーミステリーと違い、各々のハンドアウトが長文です。一人当たり1万~2万字あり、読むには約40分ほどかかります。中には専門的な知識がいる表現(謎には関係ありません)やあえて理解しにくい書き方をしてあります。かなり癖のあるゲームであることをプレイ前にご覚悟ください

事前にこのように警告されているが、これでもまだ警告として不十分なのではないかと思えるほどにHOがヤバい。

いや本当にヤバいんだって。

これでも数百のマーダーミステリーを経験して、それなりに文章の読解力もマーダーミステリーというゲームに対する理解もあるつもりの筆者でも、HOを見た瞬間に絶望した。

HOを最初から最後まで一読する。意味が分からない。

全体像を頭に入れてもう一度HOを読み込む、やはり意味が分からない。

今日はちょっと調子が悪いんだと一晩寝て、翌日改めてHOを読み込む。案の定意味が分からない。

何だこれは?? 自分は本当にマダミスのHOを読み込んでいるのか?? 

プレイ当日にそもそもゲームが成立するのかと不安になりながら迎えたシナリオは後にも先にもこれだけだろう。

後で聞いてみると他のプレイヤーも同様の感想を持っており
「HOを何度読んでも意味がわかりませんでした」
「みなさんよくロールプレイできましたね、凄いです」
「話し合いが成立すると思いませんでしたけどちゃんと推理できましたね」
「終わった後に思い返すと楽しかったですね」

という感想が口々に漏れた。

この経験は言語化できない。ヤバいHOを乗り越えた8人だからこそ共有できる何者にも代えがたい達成感が確かにそこにはありました。

マーダーミステリーとしての体験としてはオンリーワンの、何者にも代えがたい素晴らしいシナリオでした。それは間違いない、間違いないのだが…。このシナリオをプレイする方は、マダミス史上最もヤバいHOを読むのだという覚悟を持ち、十分すぎるほどの覚悟をもって臨んで欲しい。

■魔女の選択(2PL+GM)

魔女の選択【マーダーミステリー】 - ふたつや - BOOTH

 「囚人のジレンマ」を題材に、魔女裁判という舞台設定を組み合わせた作品。どちらのテーマも非常に面白い題材であり、上手く組み合わされているため、テーマ設定の時点で勝利が確定しているズルい作品(?)

 「囚人のジレンマ」めいたルールは、ルール説明の時点で論理的に導いた最適解といえる行動を導出可能で、二人ともその通りに動けば解決…しそうなものだが、そこにマーダーミステリーとしての要素を加えることで、論理と感情が揺れ動く様子が上手くゲームとして落とし込まれている。

 二人用マダミスではあるが、エミーとライラという仲良しの二人という大前提があるため、プレイヤーとしても気心の知れた仲の良い二人で遊んだほうが、より没入感を深くプレイすることができるだろう。

 プラスアルファのメリットとして、有志の方が作成したココフォリアの盤面も非常に美麗であり、プレイ感が非常にリッチなものとなっているので、ココフォリアの盤面が無くともプレイは可能だが、使用することを強くおすすめする。


■星の死を知る飛行士よ(4PL+1GM)

 とてもオシャレで、随所に作者の愛を感じるマーダーミステリー。宇宙や宇宙船を舞台にしたシナリオの中で、最も宇宙らしさを感じられる作品であり、SFマーダーミステリーとしての一つの完成形であると感じた。

 作者の「宇宙への憧れ」といったものが作品を通して随所に感じられ、作者が今まで何十本と摂取してきたであろうSFモノや宇宙モノといった作品のエッセンスを抽出し、マーダーミステリーというパッケージに凝縮した上でプレイヤーに提供され、結果として短時間ながらに非常に濃厚な没入感の体験が可能な非常に贅沢な作品。

 基本的には誰に対しても勧められる作品ではあるものの、この濃厚なSF成分を感じるためには、SFに対する知見があった方が、万全に楽しむことができるだろう。(※知見が無い人はプレイしない方が良いという訳では決してありません。誰でもプレイは可能な作品です)

オルフェウス・プロジェクト。移住可能惑星の探査のため、コールドスリープを繰り返しながら数百年に渡って長距離航行を行う計画だ。

Booth説明文より引用

 上記の説明文章を読んで、「あーなるほど、移住可能惑星の探査のためのコールドスリープを繰り返して数百年に渡る長距離航行ね!」とすんなりと理解出来る、興味を惹かれた人は最優先でプレイすべき作品。


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