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OAAってなに? 今さら聞けないMLBの話



どうも、ヤスです。


みなさんはOAAという指標に聞き覚えはありますか? MLB.COMが運営しているデータサイト、baseball savantが公開している守備指標で、Out Above Averageの略です。つまり、野手が平均よりどれだけ多くのアウトを奪っているか、という守備においての数字を算出しているものです。


私がこの記事を書こうと思ったのは、この指標を見ることが増えてきたと感じるからです。普段からMLBに関する記事をよく読むのですが、この野手はOAAがこれくらいで、守備が優れていますよ、という書き方があるわけですね。特にMLB.COMの記事だとそれが顕著で、OAAって聞いたことはあるけど、いったいどういうものなんだ? というのを噛み砕いて理解したいな、というのが出発点です。


これを読んでくれる方にも、もしかしたらOAAってなんだ? と思っていた方がいるかもしれないので、そういった方の理解の助けとなっていれば幸いです。


IFの場合


OAAの解説をするにあたって、実際にbaseball savantのサイトと、その解説記事をベースにして進めて行きます。


baseball savantのトップページ


OAAの解説記事


IFとOFは数字の算出方法が違っていまして、まずIFについて見ていきましょう。Cはフレーミングを基準に出しているようですが、ここでは説明を省きます。


まずポイントとして、あるプレーがアウトになる確率に影響を与える項目が4つあります。

 ・野手がボールに到達するまでの距離(インターセプトポイントと呼称)
 ・そこに到達するまでの時間
 ・走者が向かっている塁からの距離
 ・フォースプレーであれば走者の平均スピード


例として、下記のプレーをご覧下さい。

2019年4月9日 アストロズvsヤンキースでの1プレー


このプレーだと、コレアが立っていた場所からゴロに到達するまで1.5秒で12フィート移動しており、そこからファーストまでの距離が147フィート、ジャッジはこの年スプリントスピードが28.2フィート/秒なので、このプレーがアウトになる確率は平均的な野手であれば10%と算出されました。コレアはこれをアウトにしたため、0.9ポイント加算されています。これを合計していったものをシーズンOAAとして出しているわけですね。ちなみにもしこのプレーがアウトにならなかったとしたら、-0.1ポイントのマイナスとなっていました。


重要なポイントがひとつあって、シフトで普段の守備位置より極端に違う位置にいたとしても、実際に立っていた場所からのプレーが計測されているということです。例えば左打者に対する極端なシフトで、3BがSSの位置に立っていることがありますよね? こういったプレーでも計測の対象となっているということです。


これを押さえた上で、以下を見てみましょう。


ジョナサン・スコープ(DET)OAAデータ

これは2022年にOAAで全体トップの+27を叩き出したジョナサン・スコープのデータです。上で説明したポイントだと、2Bとして出したプラスは25で、2Bとして出場しているけれども、シフトによって実際はSSの位置に立っていたときにプラス2を記録しているということになります。OAAはこういった細かいデータを見られるのが非常に便利だと思います。


そして、注意すべきポイントが2つあります。

 その1・走者はそのプレーにおいてのスピードではなく、平均スピードが計算に用いられる。

データが溜まっていない新人選手の場合は、リーグ平均のスピードが計算に使われます。データが溜まってきてその選手の平均スピードが出せたら、すべての対象プレーが再計算されます。

 
 その2・システムによって追跡の対象となったプレーが計算に用いられる。


これはどういうことかと言うと、トラッキングシステムを利用しているため、ポップフライや弱いゴロなどは対象プレーとなっていません(アウトにできる確率が高いため)。



ただ、説明に用いている記事が2020年に書かれているもののため、現在はアップデートが進んで対象プレーが増えている可能性があります。


OFの場合

OFのOAAの場合、打者走者の平均スピード、塁までの距離は関係ありません。

 ・移動距離
 ・移動スピード
 ・移動方向

この3つを使って打球を捕球できる確率を出し、アウトにできればポイント加算、アウトできなければポイントがマイナスされます。平均的なOFが75%の確率でキャッチできる打球であれば、アウトにすると+0.25ポイント、アウトにできないと-0.75ポイントというわけです。


OFでも注意すべきポイントがひとつあって、それは肩の強さが影響する、いわゆる補殺はプレー対象には入っていないということです。つまり、より純粋な守備範囲が数字として出ているといってもよさそうです。肩が守備に影響しているかどうかを見たい場合は、ほかの守備指標を併せて見たほうがいいでしょう。



さて、OAAについて解説してみましたが、いかがだったでしょうか。baseball savantはOAAに限らず色々と細かいデータが無料で見られるという非常に便利なサイトなので、MLB観戦のお供に最適です。たくさん活用して、MLBをもっと楽しむ手段としてみてはいかがでしょうか。

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