
2021 トロント・ブルージェイズ マイナー総括レポート
どうも、ヤスです。
ブルージェイズのシーズンが終わりました。その総括は別で書くとして、今回はマイナーに関する総括を書きます。
と、その前に、10/14からはAFL(Arizona Fall League)が始まっています。
アリゾナ州で毎年秋に行われるリーグで、各球団からプロスペクトを派遣し6チームを構成、今年は11/20まで試合が行われます。ブルージェイズの選手はMesa Solar Soxに所属します。
The @MLBazFallLeague rosters are here! Representing the #BlueJays org:
— Toronto Blue Jays (@BlueJays) October 6, 2021
🔹 C Gabriel Moreno
🔹 INFs Leo Jimenez, Spencer Horwitz
🔹 LHP Brody Rodning
🔹 RHPs Cre Finfrock, Graham Spraker, Michael Dominguez pic.twitter.com/5HIduOW185
プロスペクトたちが経験を積むチャンスなので、ここでしっかり力をつけてもらいたいものですね。そしてトッププロスペクトのGabriel Morenoですが、AFLでは本職のCに加え、IFの練習もするようです。
Gabriel Moreno, the #BlueJays’ top prospect, is among those playing in the Arizona Fall League.
— Ben Nicholson-Smith (@bnicholsonsmith) October 14, 2021
As you’d expect, the plan is for Moreno to focus mostly on catching while in the AFL. Am also told he’ll get some infield reps along with his work behind the plate.
キャッチャーはどうしても出場機会が限られてしまうため、他のポジションで打席経験を積めるなら大歓迎です。
さて、少し話題が逸れてしまいましたがそろそろ本題に入りましょう。
3A バッファロー・バイソンズ
今年最も評価を上げたプロスペクトと言えば、やはりCのGabriel Morenoでしょう。開幕前は公式の全体プロスペクトランキングで100位以内にも入っていませんでしたが、開幕から打ちまくると評価をグングン上げ、最終的には全体32位にランクインするほど猛烈に評価を上昇させました。しかし6月下旬に親指を骨折してしまい、シーズン最終盤に2Aから3Aに昇格しましたが、結局シーズンをほぼ棒に振ってしまいました。最終的には37試合の出場で.367/.434/.626 OPS1.060、8HR 45打点という成績です。
Morenoは先述したAFLではCの他にIFで出る機会もありそうなので、ここで今年怪我により失った打席をたっぷりと補完して欲しいですね。それにしてもブルージェイズはメジャーでジャンセン、カークがレギュラーを固め、マイナーにはMorenoが控えているため、他球団が羨みそうなほどのC層を形成できています。Morenoがメジャーへ昇格した際には人員を整理する必要が出そうですが、それまでは彼の成長を楽しみたいと思います。
ピッチャーではバイソンズには公式の傘下プロスペクトランキング25位Joey Murray、同27位Zack Logue、同28位Bowden Francis、同29位Cartis Taylorがいますが、個人的に注目はZack Logueです。今年は25試合125イニングを投げERA3.67、投球回以上の144奪三振、27四球となかなかの数字。既に25歳とプロスペクトとしては若いとは言えないため、来年は一度はメジャーで登板を見てみたいものです。
傘下プロスペクトランキング9位でSS/3BのKevin Smithはメジャーデビューも果たしましたが、18試合32打席で.094/.194/.188と全く通用せず、ほろ苦いデビューとなってしましました。バイソンズでは94試合で.285/.370/.561 21HR 69打点と好成績を残していましたが、やはりメジャーは別次元のようです。ただ、メジャーで3Bを78イニング守り守備防御点(DRS)で+1をマークしており、守備は通用しそうです。来年のブルージェイズは3Bの確固たるレギュラーが不在のため、打撃の向上次第では彼にもレギュラーを掴むチャンスがあるかもしれません。
2A ニューハンプシャー・フィッシャーキャッツ
このクラスの注目選手は傘下プロスペクトランキング3位でSS/3BのJordan Groshans、同17位で2B/OFのSamad Taylorです。
Groshansは75試合に出場し.291/.367/.450 7HR 40打点 OPS.817という成績でした。ただちょこちょこ欠場していたことと、期待されたパワー面で7HRとやや伸び悩んだ感は否めません。今季も下半身に故障を抱えていたようで、健康面での課題が浮き彫りになりました。
Also worth noting: Jordan Groshans, who ranks 27th among all prospects by @BaseballAmerica, last played a week ago. Dealing w/ some mild lower body soreness so #BlueJays are giving him some extra rest. Jays have done this w/ others & Groshans not expected to miss significant time
— Ben Nicholson-Smith (@bnicholsonsmith) May 25, 2021
一方、パワー面で大きく飛躍したのがSamad Taylorです。17年にジョー・スミスとのトレードでインディアンスから移籍してきた彼ですが、19年までのマイナー通算1083打席で23HRとパワーレスでしたが、今年は320打席で16HRを放ち、パワー面が開花しました。
16年には阪神タイガースに在籍した打撃コーチのマット・ヘイグと共に、スプリングトレーニング中フォームを作り直し、打席でのスタンスを狭くし、ストライドを使うように変更。これにより打席内での無駄な動きが減り、パワーを発揮できるようになったとのこと。彼は今年2Bで34試合、3Bで14試合、LFで22試合、CFで8試合に出場しましたが、個人的にはCFとしてメジャーで使えるようになるといいなと思っています。メジャーのレギュラーであるスプリンガーは来年33歳といつまで守れるかわからない上、他に有力なCFプロスペクトもいないためです。今季30盗塁とスピードは十分にあるため、期待したいところです。
ピッチャーでは、ランキング23位のAdrian Hernandezが2階級を駆け上がって最終的にAAまで到達しました。彼といえば驚異的な奪三振力が武器で、62.1イニングで108個もの三振を奪いました。29四球を与えるなど制球力に難があるためブルペン起用になっていますが、20-80スケールで65の評価を受けるチェンジアップは必殺の威力。スピン量が多く空振りを大量に奪えるため、試合ではなんと50%前後の比率でこのボールを投げるとのこと。早ければ来年にはメジャーに到達する可能性があり、ブルージェイズのブルペンピースになっているかもしれません。
1Aアドバンスド バンクーバー・カナディアンズ
Morenoと並び今年最も評価を上げたのが、SS/3BのOrelvis Martinezでしょう。98試合に出場し.261/.345/.549 OPS.895 28HR 87打点を記録しBaseball Americaが選ぶ傘下プレイヤーオブザイヤーに選出されました。
特に驚異的だったのが7月で、26試合の出場で.313/.420/.798 13HR 31打点、OPSは1.218と打ちまくりました。8月にはシングルAからシングルAアドバンスドに昇格。まだ19歳と非常に若いため、とても楽しみな逸材です。
夏のトレード戦線では彼に多くの引き合いがあるも、ブルージェイズは全て断った模様。
守備位置はSS/3Bと流動的ですが、3Bでも十分すぎるくらいの打撃力を発揮できるため、メジャーでは3Bと見込んでおいたほうがいいかもしれません。Orelvis Martinez、この名前は覚えておいて損はないでしょう。
やや伸び悩んだと言えるのがランキング7位のAdam Kloffenstein、同13位のCJ Van Eykです。Kloffensteinは101イニングでERA6.22とボロボロで、四球を61個与え、制球が定りませんでした。Van Eykも80.1イニングでERA5.83という有様。
ただ両者とも投球回以上の三振を奪ってはいるため、制球次第で飛躍の可能性はありそうです。ピアーソンの卒業、Woods-Richardsonのトレードで現在のブルージェイズ傘下はピッチャーが薄くなっているため、彼らには来年期待したいところですね。
興味深いプロスペクトがランキング12位のSam Robberseです。19年にインターナショナルFAでサインし入団したオランダ出身のピッチャーで、今年は88.2イニングを投げERA4.36、90奪三振という成績。6フィート1インチ(約185センチ)に160ポンド(約73キロ)と細身のため、増量し現在80マイル後半〜90マイル前半というファストボールのスピードが上がって来れば一気にトッププロスペクトに成長するかもしれません。まだ20歳と若いため、期待大です。
1A ダニーデン・ブルージェイズ
傘下ランキング6位のMiguel Hiraldoは105試合に出場し、OPS.728と平凡な成績でした。ただ26本のツーベースを放ち29盗塁を決めるというスピードを見せました。ブルージェイズの傘下にはスピードが武器のプロスペクトは少ないため、彼のスピードには期待がかかります。
SS/2BのLeo JimenezはMorenoらと共にAFLへ派遣されていますが、少し前にMlb pipelineにてこんな記事が上がっていました。
記事にもあるように、彼は今年242打席で打率.315、出塁率.517という驚異的な成績を残しました。四球/三振は51/35と、四球が喫した三振を上回ったのです。1HRとかなりパワーレスで強みと弱点がハッキリしているタイプのため、一芸を持ったタイプの選手として注目です。
ピッチャーで予想以上の活躍を見せたのがTrent Palmerでした。20年ドラフト3順目全体77位で入団した彼は傘下ランキングにすら入っていない存在でしたが、シーズン2度も7イニングノーヒッターを達成した(マイナーは基本的に7イニング制)という離れ業をやってのけ、一躍注目を浴びました。
1度目は8/19に7イニングノーヒット、3四球10奪三振。2度目はシーズン最終登板になった9/15に7イニングノーヒット、2四球9奪三振というピッチング。
最終的にはピアーソンのプロスペクト卒業に伴い、傘下ランキング30位にランクイン。63イニングで四球を42個与えるという制球面の課題はありますが、このピッチングを上のクラスでも披露できれば非常におもしろい存在になってくれそうです。
さて、今年のマイナーレポートはここまでにしたいと思います。プロスペクトは予想もしなかった成長を見せてくれることが多々あり、改めてプロスペクトを追う楽しみを実感した1年でした。来年も未来のブルージェイズを担うスターの卵たちの成長を楽しみたいと思います。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
photo by @Bluejays