単案件ごとにROIを見ていると成果が最大化できていない場合がある

プロジェクトマネジメント8年くらいやってます。


今回はプロジェクトマネジメントというよりは、ディレクションについてのお話です。

案件の優先順位を決める時にROIで判断されることが多いのかなと思っておりますが、ROIは案件ごとにみていると罠にハマることがあることがあります。

ROIを見る時は、時間軸を追加すると成果を最大化できる機会が増えると思ってます。


ROIとは?

Return On Investmentの略であり、その投資によってどれだけの利益を上げることができる(た)のか?をみる指標になります。

なので、ROI = 利益 ÷ 投資金額 × 100になります。


例として、A案件とB案件を考えてみます。

A:100万円の利益を得るために、50万円の投資を行う

B:400万の利益を得るために、150万円の投資を行う

という案件があったら、

AのROIは2、BのROIは2.6となります。

そのため、この場合ではB案件に投資したほうが成果は高いという見方ができます。


一見すると、この投資判断は正しいように見えます。

ただ、これだけでは不十分な場合があり、もっと成果を最大化できるチャンスがある場合がありえます。


ROIの罠①:効果発動時間を計算すると実はA案件のほうがよいケース

こちらの記事でまとめたように、成果は、効果×時間の面積で決まります。

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今回の2案件で考えてみると、例えば、

A:100万円の利益を得るために、50万円の投資を行う。明日から開始できる。

B:400万の利益を得るために、150万円の投資を行う。準備に時間がかかるため、1ヶ月後から開始できる。

という時間という条件が加わったとします。

B案件を実施すると決めた1ヶ月の間は、成果は生み出せません。

一方で、A案件を実施すると決めた場合、明日からすぐに成果が生まれます。

1ヶ月後の成果を比較すると当然、A案件を実施したほうが成果は大きいという結果になります。

ROIだけではなく、いつからいつまでどのくらいの効果を生み出せるのか?という視点が必要な場合があります。


ROIの罠②:どちらの案件もやらないほうが成果を最大化できる可能性がある

そもそもROIの基準が著しく低い場合には実施しない、という判断をしたほうが効率がよい場合もあります。

AのROI:2、BのROI:2.6ですが、これまでやってきた案件CのROIの平均が8だったとしたらどうでしょうか?



「ROIの平均よりだいぶ効果は低いがやらないよりはやったほうがいよい」と判断してやるケースもあると思います。

これは状況によっては悪循環のきっかけになる場合があります。


どんなROIの案件であっても、何かを始めるためには関係者の稼働を必要とします。

そして、ROIが2であっても、8であっても多くの場合には、必要な稼働はあまり変わらない場合が多いです。

つまり、ROIが2の案件を実施することで、次のROIが8の案件を生み出す機会を失っている可能性があるのです。


ROIが2の案件を実施せず、一旦成果を0にしてでも、次のROIが8の案件を生み出す時間とする、という勇気ある選択ができれば、成果を最大化できます。

一方で、ROIが2の案件を実施したために、次の案件を生み出せず自転車操業的にROIが低い案件を実施し続けた場合、ここから脱出するには更に大きな勇気を必要とします。


何もやらないという選択を行い、次の成果を生み出すための準備時間をしっかり作るという考え方がこの②のケースになります。


まとめ

今回はROIの比較だけでは成果を最大化できないケースを整理しました。

・ROI = 利益 ÷ 投資金額 × 100 だが、追加の観点を付け足すことでまた違った世界が見える

・効果発動期間という観点を入れると、一見するとROIが低い案件に見えても一定期間の成果では大きくなる場合がある

・平均ROIとの比較という観点を入れると、あえて実施しないほうが少し長い期間でみた場合の成果を最大化できる場合がある


以上となります!

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