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ホラー映画は「楽しい」か「苛立つ」か。

理解不明の恐怖に対して、怖がれる(楽しめる)か・苛立つか。
私は常々、ホラー映画を見終わった後に2つの感情と向き合っている。

アメリカ流アプローチ

クラシカルなアメリカホラーのevilは気まぐれ・快楽・問答無用だ。
先天的欠陥や血統の異常性、悪魔から人間への処罰。
それはもうあっけらかんと「いやまあ、襲っちゃうよね。うははは。」ぐらいのニュアンス。こっちも「そっか~」ってなる。
そして裏にある、殺戮衝動を止められない理由とその悲哀。
宗教観の観点が含まれて明らかに悪と人間の関係性に優劣があるケースもあれば、人間がやっつけてしまうケースもある。

▼参考:チャーミングさも怖さもある、感動しすぎた「悪魔のいけにえ」

日本流アプローチ

一方で、ジャパニーズホラー(Jホラー)のevilは左脳的アプローチで、
しみったれている。
昔ひどいことをされたり殺害されたりしたことを恨み、
基本的には場所に憑いて復讐が開始される。
ある条件をそろえた相手を復讐相手と踏んで動き出すその様は、
さながら広告のMA。
…いつも野暮な私は思う。「それは似て非なるターゲットであり、本当に届けるべき相手、間違ってるよ」と。

▼参考:個人的Jホラー金字塔

私的見解

私は比較的、前者のファンだ。
わざわざ人間を襲う理由を、
自分の経緯と絡めて説明がましく語ったりはしない。
加えて、そもそも当事者的に描かれず、
映画自体を俯瞰的に見られることもあるかもしれない。

Jホラーの霊が霊となった経緯は不憫に思うことはあれど、
恨めしい感情を正当化して次に伝えてしまえば、それはただの負の連鎖だ。しかもやり口が回りくどい。徐々に迫ってくる。
「いや、私情知らんし」とか「はよやれや!」とか思い、
結果イライラすることになる。

まさかとは思ったが、これは自分の人間関係にもあてはまるかもしれない。
長く付き合ううえで好ましい相手は、
明らかな立場やスキルがあって、言い訳がましくない人。
自分の気持ちに素直で直感的で、
さらに行動に一貫性があったりすると、惹かれてしまう。

…実はホラーに、求める人間像があったとは。

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おまけ:理論外のおすすめ

※これだけ書いておいて、全然上の理論にあてはまりません。

①アメリカホラー
・A24制作のホラー

②Jホラー
・サイコホラー「オーディション」
「こりゃどうしようもないや~」という感情は、
悪魔系アメリカホラーに割と近いかもしれない。


・純情ホラー「HOUSE(ハウス)」1977
理解不明が、まさかのかわいいにつながる。


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