フットサル初心者が考える、「上手い」の条件

フットサルで、上手いというのはどういうことであろうか。

本稿では、「上手い」を言語化していこう思う。これは技術的なことも含まれるが、精神的な部分を多分に含む内容となる。今の僕がスペインリーグで活躍できるようになるような類のものじゃないが、できるはずなのになぜかうまくいかないという人にとっては良いものになる。

1.自信の構造

2.インテリジェンスで勝負せよ

3.まとめ



1.自信の構造

足技が優れているとか、キック力がすごいとか、スタミナがすごいとか。色々条件はあるけれど、上手いの充分条件でない。

リカルジーニョは足技が凄い。コネコネし始めたら、足を出せる選手は中々いない。不用意にボールをカットしようとしたら、短い体とテクニックを活かして、入れ替わられるだろう。技術もスピードももちろんすごい。

ただ、フットサルを始めたばかりの人が、リカルジーニョになるメソッドは恐らく無い。でも、そこそこに上手くやれる選手にはなれる。だからこそ、上手いということを吟味し、言語化することで、経験に勝る相手とも勝負ができる選手になることを目指す。

今、フットサルをやっている人は、周りに上手い人がいるだろう。ドリブルがどうしても取れなくて、パスも早くて正確。勝てないよね。勝てやしない。色んな上手い選手がいる中で、全ての選手に共通しているのは「自信」であると思っている。

当然、実力があるから自信があるのは当たり前と思うかもしれない。けど、上手でない選手は、上手い選手に引け目を感じて、5分5分のボールに一歩足が出せない。相手がドリブルしている時に足を出せば取れるのに、「躱されるかも」と逡巡をして相手を楽にしている。

大企業の社長が何を言っても金言に聞こえるように、下手な自分には上手い選手の何気ないプレーも上手く見える。だけど、それは間違いであって実際にどういうプレーをしているか。どれくらいボールを動かせるかや、どれくらいのスピードで動けるか、コート内で起きている事実が全てであって、過去のことは一切関係無い。

これは、対外試合でも起こるしチーム内でも起こる。個サルなんかではもっと起きやすい。

上手い人は、下手な人をダシにしてより上手くなる。そして当然下手な人はダシにされてより下手になる。この負のスパイラルを一旦止めようというのが、本稿の趣旨。

じゃあどうすれば負のスパイラルは止まるんだろうか。

僕の答えは守備に出ると思っている。フットサルは、ボールを持っている相手を静観している余裕は無いスポーツ。プレスをかける時は、必ず取りに行く気概で行かなければならない。それが、まず大事。躱されることが前提なんじゃなくて、ボールを取ることが前提のプレス。もっと言うと、相手を自由にさせないプレス。プレスをかけたところでパスを出されるかもしれないし、ドリブルで躱されるかもしれない。横パスは一旦良しとしよう。横パスは致命的にならない。それよりも相手がフリーになることと縦パスが怖い。

だから、相手に体を自由にさせないプレスをかけよう。最悪ボールは見なくていいから、相手の体を見よう。アマチュアレベルでは特にだけど、相手選手と、自分には身体能力でそこまでの違いは無い。だから触れもしないような速さはほとんどの選手が持っていない。

そのプレスがスタート。きっと上手い選手は「こいつ、下手くそのくせにめんどくせぇ」と思ってくれるはず。まずそこを目指す。

こうなったら以前ほど、相手にチンチンにされるという感覚は無くなるはず。「相手が誰であろうと、自由にさせない」。これをミッションにすると、上手い選手の心に隙が生まれる。

この時注意したいのが、ガムシャラにプレイするんじゃないってこと。あくまで機械のように、弱い心を捨てて、只々相手の自由を奪うこと。特攻ディフェンスは必ず相手に伝わって、裏をかかれる。だから、「上手」い「下手」「実績の有無」「フットサル歴」等々、心によぎる自分の不安材料を手放して、ただプレスをかける。上手い選手は下手なあなたの慢心を常に突いてきている。これまでずっとそう。だから、少なくとも心の隙は与えない。それが大事。

2.インテリジェンスで勝負せよ

サッカーのように大きなコートで、ロングボール一発、徒競走になると物理的に追いつけない。幸いにしてフットサルはコートが狭い。

だから、チャンスがある。身体能力が無くともインテリジェンスで何とかできる要素がフットサルはとても多い。

例えば、相手アラがドリブル勝負を仕掛けてくる。単に正対してドリブル勝負を仕掛けられれば、下手なあなたは抜かれるだろう。そのままシュートかピヴォに早いボールを出されて失点となる。

これは避けたい。だから、インテリジェンスで勝負する。

さっきの例で説明する。相手アラが出来るプレーは、縦にドリブルか中へカットイン。横パス、バックパスはこの際OK。

この条件では、選択肢が2個。それでもまだ怖い。だから、縦はゴレイロに任せよう。中に入り込まれて直接シュートさえされなければ、縦のコースはゴレイロがいる。実は相手アラと1対1に見えるけど、失点さえしないという観点でいえば味方ゴレイロとの2対1。縦はゴレイロに任せて中だけやられなければ良い。

守備は相手の選択肢を狭める行為。けど、初心者にはそんな高尚なことはできない。だから、自分の選択肢を狭めて、決めたことを徹底的にやろう。

これはボールを保持している時にも言える。

後ろの3枚(アラ、フィクソ、アラ)でボールを保持している時、自分がアラだったとする。アラの役割は、ドリブルで仕掛けてシュート、ピヴォめがけての早いパスファー詰め、逆サイドにボールがいった際にはマークをはがして、フリーになり相手を押し込む、味方ピヴォがいないスペースに飛び込んでかく乱する。等々、やることは沢山ある。

けど、難しい事はしない。自分ができることをやろう。僕がやっていたのは、エイトという戦法。

八の字に動いてボールをキープする、オーソドックスな戦術。

これで考えていたのは、アラでボールを受けて中ドリ。そして逆サイドへパス。それだけ。

もう少し詳しく書くと、サイドでボールを貰う→足裏でコート中央に転がす→逆サイドへパス。初心者がまず怖いのはボールを失うこと。足裏でキープしていると、相手は中々取りに来られない。そりゃ体の真下にボールがあれば、上手い選手とは言えど取るのはリスクがある。だから取られない。

これをまず繰り返す。もらって、中ドリ、逆サイドへパス。フィクソの場合はとにかくアラへパスして、パスをした相手のマークをブロックして味方がいた位置(アラ)へ入る。これだけ。

当然、プレイしている以上は得点をしたいし、素敵な守備をしたい。何ならハイライトシーンに残るようなすごいプレイがしたい。けれども、それを狙って自信を失う前にまずは目先に集中をしよう。

3.まとめ

インテリジェンスについては、先ほどにも書いたように本稿で書ききれないほどの選択肢がある。ただ、それを今詰め込んだところでアタフタしちゃうだけ。だからできることを確実にやる。

そうすると、先に書いた「自信」が付く。ボールを持っても取られない、相手が「こいつはボールを失わない選手だ」と勝手に勘違いしてくれて、ボールを積極的に奪いにこなくなる。これが「上手い」の正体である。

逆に、ボールを持ってドリブルをしようかパスをしようか、それをどこに出す??なんて考えてしまうと、下手なのに無限の選択肢が眼前に現れて、結果何もできずボールを奪われる。これは避けたい。上手い選手の自信となり、下手な選手の自信喪失に直結となる。



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