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宝島 を読んでの感想

真藤順丈さんの宝島を読みました。
面白かったです。

沖縄を舞台にしている小説で直木賞を受賞したことで、県内では話題になっていました。
ずっと読みたかったけど、文庫版が出てから読もうと思って待っていて、忘れた頃に本屋さんで文庫版を見つけて買ったのでした。

興味がある人はぜひ読んでほしいです。期待を裏切らないと思います。
沖縄の人や沖縄に興味がある人にもおすすめできます。

🏝️

「戦果アギヤー」という言葉、この小説の紹介文で初めて聞きました。
沖縄県民でも私のように知らない人が多いだろうし、県外で知っている人はほとんどいないでしょう。
珍しい題材なのでは?と思うのですが、どうでしょう。

重要な舞台の一つとして嘉手納基地が出てきます。
妻が以前嘉手納に住んでいて、付き合っている頃はよく自分が住んでいる浦添から迎えに行きました。
国道58号線沿いを走っていて両サイドにだだっ広い米軍基地がある光景は私にとって懐かしい思い出です。
沖縄が舞台なので当然、他にも沖縄の地名や有名な場所が登場します。
沖縄に住んでいる人や、沖縄に何度も来ている人は知っている場所が舞台ということで、想像力を掻き立てられるでしょう。

ストーリーが面白くて、主要人物三人の立場からそれぞれの波瀾万丈な人生が描かれており、最初から最後まで常に次のページが気になります。

文体が時折、ゆんたー(語り部)目線の話し言葉のようになるのも新鮮でした。
脳内でうちなーぐちのイントネーションで再生されます。

なかなか長い話ですが、退屈するページは全くありませんでした。
主要人物の三人それぞれの立場から交互に描かれ、また、ときおり話し言葉(うちなーぐち)が混じる為か、集中が途切れず長い話なのに飽きずに最後まで読めました。
何よりストーリー自体が面白かったです。

そして、特に山場では迫力のある文章に引き込まれます。映像でも音でも真似できない小説ならではの迫力ある描写が多くあります。

沖縄に関心がない人でもきっと楽しく読める(というかこれを読んで関心を持ってくれるんじゃないか)と思います。
でも、もしかしたら、うちなーぐちが分からなくて読み進めるのに苦戦したりするかな⁇

歴史を舞台にしている小説を読むことはあまりないのですが(というか本自体普段あまり読めていないのですが‥)実在する事件や人物について、軽くネットで調べたりしながら読むのも面白いものですね。
どこまでが史実なのだろうか、とか。
この小説を通して少しだけ沖縄の歴史を知れました。

他の沖縄関連の歴史小説も少し読んでみたくなりました。

少しずつ読み進めてましたが、読み終わったのは法事の最中で、ちょうど親戚の年配の方達の話をきく機会が多い時期でした。
母親と親戚の間で地元の有名人(この小説に出てくるオンちゃんのような英雄とまではいかないだろうけど)の話で盛り上がったりしているのをきいて、ネットの情報なんかでは簡単に知ることはできない地元の凄い人とか結構いるんだろうなと思いました。
昔の話って意外と好きかもしれない。ロマンを感じるというか。

基地がある生活にも慣れてしまい、沖縄で普通に生活していても、今までの歴史や過去の戦争のこと等意識せずに過ごしてしまいますが、意識的にこういう小説や沖縄の本に触れてみるのも良いことかもしれない、なんて思いました。

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