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ごはんについて書くための習作17

午後、ちょっとした取材を控えている。借りてるシェアオフィスを運営する会社のWebサイトで、私の働き方を紹介したいという。こんなタイプの人が(人でも)、生きていける海がここにはあります、というような狙いだと思う。仕事している様子と、昼に外でパンを食べている様子と、オフィス一階の酒屋でビールを買っている様子と、近くのカフェでビールを飲みながら仕事している様子を撮影したいらしい。実際そんな日もあるし、そんなことしてる余裕のない日もあるし。
取材撮影が15時なので、パンを食べている様子はヤラセ。今、持っているパンは、いつも通り昼ご飯。12時過ぎに椅子とシェードを持って出掛ける。午前中に終わらせようと思っていた音楽の編集作業はトラックを並べただけだ。

夏休み。という雰囲気が日に日に強くなってきて、朝の東海道線も、人を避けて乗っている1両目すら、なんとなくどの椅子にも人が座っている。パンを食べる椰子の木の下も、いつも観光客がこない端の方を選んでいたが、目の前を人が通るようになってきた。ヨットハーバーにもやたら大きなアウトリガーっぽいクルーザーが大漁旗を掲げながら停泊していた。若い女性一人に対して、初老の男性四名ご乗船。
私の場所ではないけれど、居場所が無くなってきている感じ。

バターロール。バターロールが好きで、いつものパン屋にもあったので買ってみた。柔らかめでバターの香りがするタイプ。悪くないけれど、好みはもっと素朴で小麦を食べてる感じのするタイプ。東京の学芸大学駅にある『麦ばたけ』という店のバターロールがそんな感じでよく食べていた。よく食べていた、から好きなのかもしれない。

もう一つは、固めのパンに生ハムとチーズ、レタスが挟まれたサンドイッチ。よく見るし、よく頼んでしまう生ハムとチーズと、白ワインの組み合わせが、お互いを高め合っているかどうか、そういえば分からない。どれもそれぞれ美味しいので、美味しいモノを同時に食べているんだから、美味しい。

最後は何度も買っているフランスパンにメープルシロップとクリームチーズが塗ってあるパン。生ハムとチーズとワインは分からないけど、メープルシロップとクリームチーズの相性と、シロップで少し柔らかい部分ができたフランスパンの歯ごたえはお互いを高め合っていると思う。

何度も食べているから解像度が他より少し高いだけかもしれない。

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