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ごはんについて書くための習作50

「昼食は学食で食べるので、今日は別々に食べよう」と妻に伝えたのは午前中の打ち合わせが始まる30分前。11:00。この打ち合わせが終わり次第、私は黄色い車で東京の国分寺市にある武蔵野美術大学へ動画配信のためのセットの仮組みのために向かう。
午前中の打ち合わせは定例ミーティング。今、この文章を書いているテキストエディタのiPad版が進行している。エンジニアからの進捗共有が主で10分も掛からずに終わる。β版が上がってきたら私の執筆(というほどでもない)環境をiPadへ移行しなければ。

大学での打ち合わせは14:30から。今は12:00前。車で家から1時間半。学食で30分もあれば昼食は済むと考えると、30分の余剰が発生した。明後日は友人らと釣り。帰りに寄ろうかと思っていた釣具屋に行きしな寄って行こうと思う。「行きしな」という言葉が浮かんで、タイプしても変換されず、言葉が間違っているのかと検索すると西の方の方言ということを知る。香川県生まれの父親の影響だろうかと思うが、自分自身も普段使っていない気がする。

出発前、私が武蔵美在学中に講師をやっていた佐々木先生(佐々木敦さん)がTwitterで柴田聡子の新しいアルバム『ぼちぼち銀河』がつぶやいていたので、車で聞こうとApple Musicで保存しておく。

釣具屋で時間を使いすぎた。新しいリールを買ってしまったからだ。欲しい製品も決まっているのに少しこの店の「顔」になっておこうなどという下心から、店員に同価格帯の製品や、スペックについて質問したのがよくなかった。再び車のキーを差し、iPhoneのGoogle Mapsを開くと到着時刻が14:15。学食で昼食をとる時間がなくなってしまった。買った釣具をリュックに詰め込む。

柴田さんが運転の歌を歌っている。明日には静岡に着くらしい。

打ち合わせだけでなく、動画配信用のセット組みという肉体労働も(と言ってもデザイナーの私は俯瞰することが主な仕事だが)待っているので何も食べずにというわけには行かず、高速道路を降りる直前のサービスエリアに立ち寄る。パンかおにぎりでも良いと思ったが、フードコートと呼ぶには狭すぎるレストランの券売機の上に貼られた豚丼の写真を見る。薄いピンクのトレーに乗せられたどんぶりと味噌汁と黄色い沢庵。学食に通ずる。かき込めば道が混んでいたで済まされる遅刻具合で済むと判断し、券売機で食券を購入。カウンターに渡さなくても注文が通るところは学食とは違う。
167番。「受付済み」から「出来上がり」に数字が移る様子が映し出されたモニタ。カウンターで受け取り横にある七味唐辛子。豚丼の豚、なかなかの歯応え。肉体労働者でも学生でもない私、これを口の中にかき込むには難しい。
iPhoneを取り出し、到着が遅れる旨をSlackで送る。車の中で一巡聞いた『ぼちぼち銀河』がよかったので、スクロールせずに放っておいたTwitterを開いて佐々木先生のツイートにライクをしようとしたが、「ツイートが削除されました」というメッセージが出てしまった。先生。

と、この文章を書いているのはこの日の翌日、5月27日で、改めて先生のタイムラインから投稿を探すとツイートし直してあった。もちろんこの文章は『ぼちぼち銀河』を聴きながら自宅の作業部屋で書いている。

今日の昼ごはんは近所のピザ屋でピザとパスタとワインでした。

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