見出し画像

ごはんについて書くための習作21

納税先を見て貰えればわかると思うが私は神奈川県の小田原市に住んでいる。でも請求書に記載している銀行はかっこつけて東京の京橋支店のままだ。しかも、それも前の職場が近いというだけで、住んでいたのは大田区の多摩川近くという二重のかっこつけ。二重括弧。10月の更新で4年経つ。
今、東京に住んでいる友人がこっちに家を借りようとしていて。友人が近所に増えるのは良いことなので、全力で(割ける時間の中の全力で)物件探しを協力し、なんなら先に物件の外観写真を撮りに行ってきた。昨日の夜、オンラインで移住相談のようなものも開催。
自分がこっちに越す前に、都内(yahooか何かのスペースだった気がする)で小田原の不動産屋と移住組による説明会に参加してたことを思い出した。良さと不便さを分かりやすく説明し、都内にでることも簡単でワークライフバランスを取れるんです。というようなウェルカムウェルカムという話し方が苦手で。「私はこういう人になれないのを知っている。やっぱり参加しなきゃ良かった。」と思ったものだが、同じような説明の仕方になっている気がする。
みんな趣味趣向の近い人が近所に増えてほしいだけなのかもしれない、と。あらためる。

翌日の今日、夏休みも終わり、気温が下がり、9月も2週目になり、観光地からも人が減っただろうと熱海にあるシェアオフィスへ向かう。
緊急事態宣言下のため、よく行く飲食店は殆ど閉まっているし、あいているところに人が集まる気がして、駅前のパン屋でパンを買う。パンを買ったからには文章を書かないといけない。

午前中、日本酒の仕事の打ち合わせを終え、赤いロッカーから椅子と屋根の入ったトートバッグを出し、パンと一緒に出る。曇っている。涼しい。風も強い。3〜4m/秒くらいある気がする。5m/秒を超えると釣りにならないという感覚値があるので、これはそれ以下だと思う。これじゃ屋根は必要ないなと思いながら、いつものヨットハーバーの方へ向かう。
まだ観光で来ている人はいるが、そこまで多くない気がする。周りの空を見渡す限り、鳶もいない気がする。この寒空の下、アウトドア使用の椅子を出して座るのが少し恥ずかしくて、ベンチに座ってパンをかじる。
クロワッサンとハムチーズサンドとクランベリーの練り込まれた甘いサクッとしたパン。
鳶はいくら気にしても出てこない。代わりに目の前をカモメが旋回している。コンクリート製のベンチによくいた赤いダニもいなくなっている。甘いパンがサクッとして軽いので、3〜4m/秒の風にパン屋の赤い袋ごと飛ばされそうで、成城石井で買ったミントティーのペットボトルを袋の上から置いた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?