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ごはんについて書くための習作7

初めてのエッセイは脱稿し、テキストデータは本と化したものの、それがゴールじゃないスタートだ。エッセイってなんだっけ。久しぶりのシェアオフィス。行きつけの坂上パン屋に向かって海抜を数十メートルあがるが、臨時休業。久しぶりに外を歩くと息も上がっていて、「休むなら言ってよ〜」みたいな独り言すら吐く息も惜しいので、(心拍数以外は)静かに坂を下って通り過ぎてきたAEONの2階に併設されたベーカリーコーナーに。

このベーカリーコーナーのレジが鬼門で。前回、私にしてはハッキリとした声で「レジ袋どうしますか?」に対して「ください」と伝えたものの、聞き返されることもなく3つのパンにシールを貼られるということがあった。
静かな東北地方で生まれた母親に大きな声を出さない方がいいと言われたせいにしたいのだが、声が通る方ではない。リモート会議用にマイクを4本も買い替えたくらい。

今日は前回の反省を踏まえている。前回と同じ人かどうか分からないが聞かれる内容は同じ「レジ袋どうしますか?」だった。レジに並んでる時からイメージトレーニングしていた通り、「く・だ・さ・い!」と少しこの人怒ってるのかな、と思われてもいいレベルで伝える。人は違えど反応は同じ。特に返事はない。ここまでは予定通り。
しかし、レジに袋代の3円が打たれない。個別にシールを張り出す。何も言えずに3つのパンを手に抱える私。また失敗した。もしかしたら県境を超えたこちら側の人は言葉と同時に無意識的に読唇術を行なっていて、マスクで口元が見えないせいかもしれない。

施設内に時折出店しているミスドでチュロスも買った。

空を徘徊するトンビと、春休みでもないのに手を繋ぐ学生らしき若者の目を気にしながら、いつもの遊覧船乗り場が見えるベンチにパンを並べる。ゴールデンウィークが5/5の水曜日までなので、今日明日と休めば連休になる。
ミスドのチュロスはドーナッツではないので、買ったことがなかったが焼いた餅とかカヌレのような弾力と硬さでこれはいい。また噛みたくなる一品。噛んだ後の味は特筆すべき点はない。
春になるとコンクリートには赤い小さなダニが歩いている。私の靴下は黄色。

そして、この文章を書いているのはちょうど一週間後の木曜日である。

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