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軽食について書くための習作1

ブリーチ、カラー、カット。2時間半くらい掛かって、予約していた映画の上映まで10分。美容院は恵比寿、映画館は新宿。間に合わないので、映画諦める。「東京での過ごし方が分からない」というメッセージをブリーチ中に武田君に送って、いくつか恵比寿の飯屋を教えてもらうも、アスファルトが暑過ぎて、飯屋の新規開拓のモチベーションが削がれる。Googleマップに星だけ付けて次回に備えた。
いつもいくうどん屋に向かうが、2時前だというのにほぼ満席なのがドア越しに見える。落ち着かなそうなので諦め、新宿へ。帰りはロマンスカーを予約してある。16:00の予約だったが、15:20のに変更しながら山手線に乗っている。食欲も削がれていた。駅の地下にあるベルグでも行こうかと思って何となく眺めた一週間前の口コミに「注文時にはマスク着用」と書かれていて諦める。
何となく居場所がない。映画に間に合わなかったあたりからそう感じている。

地下から地上へ。エスカレーターからブルーボトルを眺める。エキナカに常陸野ブルーイングがあることをGoogleマップで知る。すでに改札を出ていたので入場券買うのが面倒だなと思っていたが、今はPASMOで処理されると、駅の注意書き。

小さなテーブルが一つと、横長のテーブル(カウンター的に使えるレイアウト)。先客3人。これくらいがちょうどいいんだと入店。入店といっても通路と店の境目はない。プルドポークと柑橘系のビールを注文。ビール受け渡しのカウンター目の前の席に座った。注ぎ終わるのを待つ。不要な泡を柄の長いスプーンで削ぎ落とす。すらりとした女性スタッフ。キッチン側の床は15センチくらい高い。
店内BGMは当たり障りのないR&B。他店舗に響かないようにか音量は小さめ。それを取り囲むように子どもたちの声が聞こえる。夏休み。ターミナル駅新宿。保坂和志の『季節の記憶』を読みながら、無くなっていた居場所を確保。

少しして首に風の出る機械を掛けた金髪の女性客。小銭を丸い缶から出す。カンカン。ジャラジャラと音がして、いいなと思う。私の目の前に座って、ビールの写真を撮り、スマホに何か打っているので、(私と同じように)日記のメモか、と思うが、ちらりと見えたのはメッセンジャー。
赤ちゃんの声が聞こえて、行きの東海道新幹線で前の席、1号車の10Aの窓辺に覗いた小さな手を思い出す。日除けは空いていて、強い日差しに照らされていた。

ビール2杯目。ポイントカードの有無を聞かれなかった。ビールを持って戻る。向かいに座っていたカンカンの人がビールを飲み干して「はーっ」と言う。「はーっ、って言った!」と思った。居場所無い感じからビールと文庫本によって居場所が確保されていたが、さらに良い場所になった。

入店からここまでの日記用のメモを眺めて、スマホでリアルタイム日記筆記も可能かもしれないと思う。

日記用のメモ:
「延びた髪切り
映画諦め
うどん、豆腐、クラフトビールと検索しながら
新宿、ベルグはマスク、改札出てしまった
ニューマンエキナカ、エスカレーターでブルーボトル混んでいる、笑顔
注意書き、入場、パスモで計算されるらしい
大きめのテーブル、前と隣に誰もいないくらいがいい
プルドポーク、ラージのグラスがラージ
切れ毛がグラスと机に落ちていて背筋を伸ばす
東さんとなつこさん
店内スピーカーは当たり障りのないr&b、それを取り囲む周りには子供の声、夏休みだ
カンカンから小銭。メガネに付いてた髪の毛を払う
前に座って文字を打つ。日記のメモか。
机にスマホ
パンを先に食べてしまった三枚
子供の声で行きの手を思い出す。1号車10A、日の差す窓に置かれた手。私の窓は携帯が反射しないよう閉めてあった。
ビール2杯目。ポイントカードの有無を聞かれない。
飲み干して「はーっ」って言った」と思った
この二つで気分がいい
もうそろそろ。
ここまで書いてリアルタイム筆記の方がいいかもと思う。」

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