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ごはんについて書くための習作40

思わず「うん」と返事をしてしまった。先月あたりに行った定食屋でお店のおばさんに言われた「量、足りました?」と全く同じ質問を、同じ市内のハンバーガー屋のカウンター越し、20代であろう女性にされるとは思っていなかった。私はチーズバーガーを食べ終え、塩と油の味しかしない細いポテトを食べていたところだった。

今日は友人夫婦と熱海に宿泊予定で、どちらの家族も妻と子供たちだけ先に移動することになっている。私は午前中の打ち合わせと午後の洗濯物を取り込むタスクがあり、向こうの夫は午後に打ち合わせがあるらしい。昨日に続き、一人で昼ごはんを食べることになった。
午前中の打ち合わせは進捗確認のため、10分も掛からずに終了。参加しなかったメンバーのために簡単なTO DOをSlackで共有した。送信し終えたところで一昨日注文していたXboxのワイヤレスコントローラーが届いた。私が細かい空き時間(息子と妻が風呂に入ってる時間や、寝かしつけている時間など)に『Call of Duty』のモバイル版をやっていることを前職で同じ部署だった友人に話すと、XboxのクラウドゲーミングならiPhoneでいろいろできると教えてくれた。それならばとコントローラーを注文したのだ。
仕事の手を止め、パッケージを開封しiPhoneに接続するとファームウェアのアップデートを促されるが、iPhoneだけではそれが行えないらしい。Windowsマシンがあれば有線接続でアップデート可能ということなので、仕事の検証用に買ったSurface Laptopに、オーディオインターフェイスから抜いたUSBケーブルでコントローラーを繋いで無事にアップデートを完了した。
すでに12時を過ぎていたのでさっと試せるであろうフライトシミュレータのゲームをブラウザベースで起動して、慣れないコントローラーで、操作方法も分からないセスナ機を島にぶつけて昼ごはんへ出た。

商店街にあるビルの2階のハンバーガー屋へ向かう。1度だけ行ったことがある。味が気に入ったわけではなく、去年近くから移転して新しいはずなのに、どことなく気怠い空気感が気に入っていた。夜も営業していて、おそらくそちらがメインなのだろう、広いフロアにビリヤード台やダーツ台が据えられていて、ジャックダニエルの旗などが飾られている。ランチタイムは「開店前」という空気感がある。カウンターを選んでチーズバーガーを注文する。
ホールに一人、キッチンに一人。キッチンの人は前も同じ人だった気がするのと、ホールの新人らしき人へ指示をしているのでお店を仕切っているのだろう。野菜の下の方は切ることと、洗い物はぬめりが取れているか確認することを丁寧な口調で教えている。キッチンには商店街に向く大きな窓があって店内より明るい。すりガラスになっていて光が拡散している。
キッチンの人が直接、チーズバーガーを運んできた。ハンバーガー専門店らしい大きさで潰しながら食べる必要があるタイプ。口の周りが汚れるのは仕方ないが、座ったカウンターの前に作業をする小さなキッチンがあるのだろう、目の前で二人が入れ替わり作業をし始めたので、目線を落としながら食べ進める。目線を落とすと「マスク会食」を促すミラー付きのポップがこちらを向いていて自分が映っていた。

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