⑯-後篇[介護ライブレポート]義母のおかげで勉強できた病気の予防 後篇

義母のおかげで、病気の予防について勉強することができました。
今回も、前回に続いて高齢者の病気の予防に関するレポートです。

[認知症]
現時点では、認知症を確実に予防することは残念ながらできません。
ただし、予防に有効と考えられることはいくつかあります。
それらを挙げてみます。

・糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満、うつ病の治療
・禁煙
・有酸素運動 (水泳やウォーキングなど)
・偏りのない食事
 緑黄色野菜、果物、青魚、大豆(食品)、乳製品、オリーブオイルが推奨         されていますが、バランスよく食べることがポイントのようです。
・囲碁やマージャンなどの頭を使うゲーム
・友人との交流
・社会参加(ボランティアなど)

言われてみれば、みんな「なるほど~」のことばかりですね。
まず、「生活習慣病の治療」。これは、脳や心臓の大きな病気の予防にもなるので、認知症の予防というだけでなく人生を延ばすための基本戦略です。
つづいて、「運動」と「食事」。健康長寿、生活習慣病の予防の大きな柱ですよね。
あとは、頭や口を動かし、人と合うための工夫。
平凡なことばかりかもしれませんが、生活を見直してみましょう。いまからでも、取り組めることがあるかもしれません。


[転倒]
2014年の厚労省の人口動態調査によると2014年の1年間で転倒・転落により死亡した方は約8000人。
交通事故で亡くなられた方は約5700人ですので、交通事故死より1.4倍も多いことになります。

転倒はいろいろな要因で起こりますが、大きく「内的要因」と「外的要因」に分けられます。
「内的要因」は、加齢、運動不足や病気により筋力低下、視力などの感覚機能の低下を指します。
「外的要因」は、高齢者の生活環境の構造上の問題を指します。
ぬれている・滑りやすい、階段・段差がある、片付けられない、の頭文字をとって『ぬかづけ』と呼ばれています。
転倒の予防は、高齢者の適度な運動、病気の治療、高齢者の生活環境から『ぬかづけ』を除くことになります。
夜中にトイレに行く場合、障害物が多い、暗い、トイレまで遠いなどの問題があればポータブルトイレを設置するなどの予防をとってもいいと思います。
ちなみに1回転倒した高齢者は、その後の1年間に再び転倒するリスクが5倍になるとも言われています。
一人暮らしの高齢者の場合、まず外的要因をチェックしてみましょう。


[一人暮らしの飲酒]
厚生労働省の研究班の調査(2017)によると、お酒を飲む65歳以上の男性の50%、女性の25%が適正量以上のアルコールを摂取していることがわかりました。
健康を保つための節度ある適度な飲酒適正量は、1日あたり日本酒1合が目安とされています。
一人暮しの高齢者で酒好きな方は、呑み過ぎに注意するように話し合ってみてはいかがでしょうか?
成人の適度な飲酒量は、1日アルコールで20グラム。これは、先に書きましたが日本酒で1合、ビールで500mlです。
この調査では、適正量の3倍を日常的に飲んでいる男性は5%もいたそうです。


[ロコモティブシンドローム]
ロコモティブシンドローム(以下 ロコモ)は運動器症候群のことで、加齢に伴う筋力の低下や関節や脊椎の病気、骨粗しょう症などにより運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりになってしまったり、そのリスクの高い状態を表します。
現在、日本のロコモの人口は予備軍も含めて4700万人と言われています。
(これは、東京大学22世紀医療センターの吉村典子准教授よる和歌山県における調査結果によるものです。)

ロコモに特に関係が深い疾患、大きな要因となる疾患は高齢者に多い「ひざ」「腰」「骨」の病気です。
具体的には「足の変形性膝関節症」「脊柱管狭窄症」「骨粗しょう症」で、ロコモの三大要因と言われています。
これらの病気になっている場合には、もちろん治療が最優先ですが、治療の経過中に医師から許された場合には、適切な運動が有効とされています。
高齢者の介護予防にはゆっくりとした動きを伴う筋力訓練とバランス訓練が有効であるという研究報告があります。

「自分がロコモがどうかをチェックする方法」と「ロコモ予防のトレーニング方法」はこのサイトを参考になさってください。

日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト
https://locomo-joa.jp/news/official/2020.html

運動機能の衰えを早めに察知して、予防に勤めましょう。

※要介護となる原因
要介護の原因の約2割は運動器の障害が原因であることがわかっています。
さらに男女別に見ると、男性は脳卒中が4割を超えて圧倒的に多いのですが、一方、全要介護者の約7割を占める女性の場合は3割近くが運動器疾患によるものです。 脳卒中を予防するために重要なことは、高血圧、高コレステロール血症に気をつけること、すなわちメタボリックシンドローム予防ということになります。 一方、女性にとってはロコモ予防が重要ということになります。
介護予防のためには、「男性はメタボに気をつけて、女性はロコモに気をつけよう」というわけです。

<参考資料>
もっと知ろう!「ロコモティブシンドローム」日本整形外科学会 学会からのコメントより
https://www.joa.or.jp/media/comment/locomo_more.html

[ついでにこれも知っておきましょう]
「ロコモ」についてご紹介しましたが、非常に関連の深いワードで「サルコペニア」「フレイル」があります。
介護や高齢者の健康に関する記事で、目にされた方も多いと思います。
ここでは、「ロコモ」「サルコペニア」「フレイル」の違いを整理したいと思います。

「サルコペニア」は、加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを指します。
サルコペニアになると、歩く、立ち上がるなどの日常生活の基本的な動作に影響が生じ、介護が必要になったり、転倒しやすくなったります。
65歳以上の高齢者の15%程度がサルコペニアに該当すると考えられています。
サルコペニアは、加齢に伴う様々な変化(運動量の減少、栄養不良、神経系の問題、慢性的な炎症状態、酸化ストレス、ホルモンの減少など)が原因ですが、運動と栄養により改善が可能と考えられています。

「フレイル」は、加齢により心身が老い衰えた状態を指します。
別の言葉で言うと、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味します。
適切な介入・支援をすれば、生活機能の維持向上が可能です。
「ロコモ」は運動器の障害や機能が低下した状態を指しますが、「フレイル」は、体重減少や筋力低下などの身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的なものも含まれるのです。
フレイルの状態になると、死亡率の上昇や身体能力の低下が起き、病気にかかりやすくなったり、入院しやくなるなど、ストレスに弱い状態になってしまいます。
ちなみに、「サルコペニア」はフレイルの原因のひとつになります。

「サルコペニア」「フレイル」をさらに詳しく知りたい方はここがオススメ!

健康長寿ネット 高齢者の病気 サルコペニア・フレイル
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/index.html

このように、高齢者の病気の予防について勉強すると、大切なことが見えてきます。
私は、以下の3点が結論だと考えています。

・今、自分が罹っている病気を治療すること。
・食事と運動に気をつけて、規則正しく生活すること。
・自分のやりたいことや趣味を楽しみ、家の外で活動する機会を増やすこと。

本当に、おばあちゃんのおかげでたくさん勉強できました。
ありがとうございます。

以上

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