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【ち○ちんの手術をした。】#4 〜初診〜

人生で初めて、泌尿器科に向かっている。


日暮里に近付くにつれ、緊張も増してゆく。


今日、判決が下る。



Dead or Alive.



《15:30》日暮里駅に到着。

病院の予約時間までは30分ある。

駅から歩く時間を差し引いても早い到着だったが、初めて行く場所ということもあり、余裕を持って行動するに越したことはない。



駅のトイレの個室の方でおしっこをした。

これから診てもらうということで、一応、持っていた除菌シートでちんちんを拭いておいた。



もし僕がマナー講師なら【泌尿器科の診察を受ける際、事前にちんちんを除菌シートで拭いておくのがマナー(診察の直前に拭ければ尚良し)】を、強く提唱していきたい。


お医者さんも人間だ。
ちんちんの第一印象が良い方が気持ちよく手術に臨めるというものだろう。

ちんちんの第一印象が悪いせいでミスが起こるなんてことも、有り得なくはない。

大事な部分の手術だ。

成功の為に、全ての不安要素を排除しなければいけない。

除菌シートでちんちんを拭いておくことで、
お医者さんも気持ちよく手術ができて、手術に対する不安も減るなんて、Win-Winだ。Tin-TinがWin-Winだ。



トイレをあとにし、いざ病院へ。



初めての街をスマホで調べながら歩く。



数分歩いて辿り着いた場所は、マンションだった。

ベージュのレンガ調の外壁の5階建てのマンション。

病院の入り口らしきものは何処にも見当たらない。


住所は合っていたし、とりあえずマンションの奥のエレベーターの前まで進んでみると、
僕の目指す泌尿器科は、このマンションの一室に存在することがわかった。


”マンションの一室の病院”という独特の雰囲気に少し物怖じしたが、『むしろ泌尿器科という性質上、ひっそりと存在している方がいいですよね!絶対にそうですよね!!』と、無理矢理自分を納得させて、ギリギリ2人乗れるくらいの小さなエレベーターに乗り込んだ。



目的の部屋のドアには〈○○泌尿器科〉と、小さな表札。


とことん、ひっそり。



恐る恐るドアを開けて中に入る。

入ってすぐが待合スペースで、そこには病院でしか見たことのないグリーンのテカテカした二人掛けのソファーが一つ。

待合スペースの奥は、低めの簡易的なパーテーションで区切られ、事務的な作業をする場所に。

入って左側が、診察室になっていた。



マンションの一室に全ての機能を詰め込んだ様子が、撮影用のセットのようだった。



奥から、僕に気付いた受付の女性が出てきた。

声から予約の電話をしたときの女性だとわかったが、冷静を装う。


アレルギーの有無や今飲んでいる薬等々、問診票をしっかりと記入する。
書き終えた問診票を渡したときに「こちらの薬はなんですか?」と聞かれ「あっ、薄毛治療の薬です。」と言い返す。

この一連の流れは、病院に行く度にやっているので慣れたものだ。


「では、診察室にどうぞ。」


『...ヨシッ。』

少し気合いを入れた。

「(ガチャッ)...失礼します。」


そこに居たのは、白髪混じりの短髪で眼鏡の優しそうなおじさん先生だった。

《当たり》だ。


この先生の感じ、わからないことを聞いたら説明も丁寧にしてくれて仕事も細やかに違いない。

自分の”クリニック運”の強さを喜んだ。



「よろしくお願いします。」

「じゃあ、そこに座ってズボン下ろして下さい。」

《ハズレ》だ。


『どんな症状なの?とか、いつ頃からあるの?とか、ぜんぜん関係ない雑談なんかが5分くらいあったり、
ちんちん見せるためのインターバルは、そのくらい有るべきだろ!』

と思ったが、

言われるがままに診察台に腰掛け、ズボンとパンツを下ろした。




恥ずかしいくてパンツとズボンを太ももくらいまでしか下げていなかったので「もう少し下げてもらっていいですか?」と先生に言われた。



先生はゴム手袋をはめ、僕のちんちんを持ち上げたりひっぱったりひっくり返したりして見ていく。

(このとき、先生がゴム手袋をはめてすぐにちんちんの観察は始まり、ちんちんを何かで拭かれるということがなかった。本当に拭いておいて良かった。もし拭いていなかったら気が気じゃなかったと思う。ちんちんを除菌シートで拭いていたのがここで効いてきた。伏線回収。)



数十秒見て先生は「21年間有って痛みなどもないようですし、恐らく血管が大きくなったタイプの良性の腫瘍ですね。まあ、取らなくても大丈夫ですけど、切除しても全く問題ないもので手術も30分くらいで済みますよ。」と、わかりやすく説明してくれた。

「なるほど、ありがとうございます!」

あまりにもあっさりと出た診断結果に拍子抜けしたが、21年間の悩みが解消されたこの瞬間は本当に嬉しかった。



『さっきは《ハズレ》だなんて思ってごめんなさい。先生、誤解してました。僕を、先生の好きなようにしてください。』


そう思った。




「じゃあ、手術の日程を受付で決めて下さい。」

「はい!ありがとうございました。」

受付で手術の日程を決めて、僕は意気揚々と病院を後にした。



帰り道、

『来週、手術かぁ〜。ちんちんの手術、怖いなぁ〜。先生は取らなくても大丈夫とも言ってたなぁ〜。取らないっていう選択もあるのかぁ〜。』

とか思ったりして、

少し心は揺れていた。

#ちんちん #手術 #ノンフィクション #やさしいズ佐伯

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