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【ち○ちんの手術をした。】#10[最終話] 〜僕は元気です〜



二度目の縫合から一週間経ち、
二度目の抜糸の日。



この日が、病院に行った最後の日だった。



診察室でズボンを下ろしてちんちんを出すまでは、先週の再放送だった。



先生がちんちんの傷口を縫った糸を切るための小さなハサミを手に持った。



僕は自分の股間のあたりを見ていた。



先生の左手にちんちん、右手にハサミ。



〔 ちんちん + ハサミ = 恐怖 〕



少しでも体が動いたら大変なことになるんじゃないかという恐怖で眼球すら動かすことが出来なくなった。

ちんちんから目が離せない。

本来なら、ちんちんを出した段階で天空を見上げるべきだった。



僕は、抜糸を直視しなければいけなくなってしまった。





ハサミがちんちんに近付いてくる。

ドキドキが止まらない。





再放送でもこんなにドキドキさせてくれるのは、ちんちんの抜糸以外にはバック・トゥ・ザ・フューチャーくらいだろう。



一週間前に戻っているし、怖がる僕は腰抜けだし、ドク(Dr.)も居るし、
そもそもこっちもバック・トゥ・ザ・フューチャーだった。




容赦なく糸が切られる。




『(チョキン)イッッ!!......アレッ!???........痛くない!!』

一回目の抜糸とは全く違う。



「見てください。前回の傷口とは違うでしょ!皮膚も綺麗ですねぇ!治りも早いと思いますよ!これは見事だっ!うん!」

先生こと”ちんちん鑑定士”が、保存状態の完璧な江戸初期の古伊万里の大皿のごとく褒め称えてくれる。



満足そうに話す先生。



その言葉を一週間前に聞きたかった。



確かに、前回とは比べ物にならないくらい綺麗だった。

僕は、ほっと胸を撫で下ろし、大事なお宝を仕舞った。



「念の為、一週間は傷口に軟膏を塗るようにしてください。一週間後にはシャワーだけじゃなく湯船に入るのも大丈夫ですよ。それじゃあ、治療はこれで終わりです。何か質問はありますか?」

「えーっとぉ........だぁいじょぶ、です。はい。」

「そうですか、では、お大事に。」

「はい。ありがとうございましたっ。」





僕は病院を後にする。





ありがとう、

さようなら、

僕を生まれ変わらせてくれた街、日暮里。



もし今後、第二の故郷を聞かれることが有ったら、元気よく「日暮里です!」と言い、
理由を聞かれたら、小さくなんかゴニョゴニョ言ってそれとなく誤魔化そうと思う。





一週間後には大丈夫と言われていたが、
湯船に浸かったのは、それから一ヶ月後。

心配性な僕は悪い想像ばかりしていて、
その間は湯船に浸かることが出来なかった。



お風呂で血の巡りが良くなったせいで傷口が開いたりなんかしたら、救急車だ。

で、到着した救急隊員は僕の血の出ている箇所から『この人、包茎手術したんだな。』と思うだろう。

で、病院に到着してストレッチャーで運ばれながら医師は僕に「包茎手術をした傷がまだ治ってないんですね?」と聞いてくるだろう。
僕は「包茎手術じゃないです。」と答える。
しかし「包茎手術じゃないです。」というセリフを言うのは、包茎手術をしたのがバレるのが恥ずかしい”包茎手術をした人”だけだから、
医師は『この人、包茎手術したんだな。』と思うだろう。

で、手術室で明るく照らされたちんちんの傷口の位置から、手術チーム全員が『この人、包茎手術したんだな。』と思うだろう。

で、いざ執刀医が手術を終えて僕のちんちんをちゃんと見たら、
包茎手術をしたちんちんだと思っていたちんちんが包茎のちんちんなのだから、現場は大混乱だろう。
(僕が包茎だという件は、#1 参照)



傷口がしっかりと塞がりそんな不安が消え去ったのが、一ヶ月後だった。



この頃、傷口は綺麗になってきてはいたが、時たま傷が疼くことがあった。

バリバリ中二病の気がある僕は、”傷が疼く”っていうのは格好いいと思っている。

本当は誰にも知られたくないが、周りに誰も居ないときに小さい声で「傷が..疼くなぁ...」と言ってみたりもしていた。





その”疼き”もなくなり、

今では、小さな傷痕が残っているだけだ。





その傷痕も、いつか消えるのかもしれない。





このちんちんの謎の塊が僕にできたのは、神様の悪戯だ。

そのせいで、大きな不安を背負って生きてきた。

でも結果的に、他の人が経験していない色んなことを経験をすることが出来た。

大きく心が動いたからこそ、こうしてnoteに書き留めようとも思った。






神様.....






マジ許さないわ。





〜 tin 〜





《《 あとがき 》》

最後に病院に行った日、先生に聞かなきゃいけない事があったのに、それを聞かずに帰ってしまった。

”どのくらい経ったらシコっていいのか”を、完全に聞き忘れていた。

絶対に解明しておかなければいけない問題だった。



仕方がないので、ネットで調べることにした。



しかし、病院に行く以前、必死になって探しても自分と同じ症例を見つけることすら出来なかったくらいだ。

更に細かい[どのくらい経過したらシコっていいか]なんて情報は、何処からも出てこない。



一枚の場面写真から得られる情報のみでAVを見つけ出すことが出来る”僕”が、見つけられなかった。



何日経てばシコっても良いのか、全くわからない。





僕は閃いた。





『”シコれるまでの最短の日数”を探しているからダメなんだ。

最短は見つからない。

でも、最良なら見つかるかもしれない。

僕と手術した箇所がだいたい一緒で僕よりも規模の大きい手術の情報を参考にして、それと同じだけの期間を空ければ、絶対に問題ない!



これが最良!



そうだ!!



包茎手術だ!!!』



前記で包茎手術をあれだけ忌み嫌ったにもかかわらず、自分の都合のいいときだけ利用しようとするなんて、人間というのは本当に卑怯な生き物だ。



調べた結果、包茎手術から一ヶ月経てばシコって良いことがわかった。





27日でシコってしまった。





#ちんちん #手術 #ノンフィクション #やさしいズ佐伯

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