生きてるから生きるの怖い

 仕事が怖い。私にはできないことがたくさんあり、毎日仕事で起こるさまざまなことが怖い。その上、一度心身が壊れてしまっていることがとりわけ怖い。けれど、わたしはそうやって病気を理由にしているのがもっともダサい。やりたいと思っているのだから応募すればいいのに、採用情報だけじゃみえないたくさんのやるべきタスクというものについていけなかったらどうしよう、とやる前から怖がっている。わたしは元来かなりの不安症で、かなりの怖がりだ。手順通りできているのに、できていないんじゃないかとずっと怖がる。いつも最も悪い想像をして、うまく言い出せないこと、なかなか電話をとれないこと、家でも外でも選択肢を間違えたらどうしようとおびえている。それなのに、なんとか選んだ選択肢はたいてい間違っている。加えてやるべきことから逃げる悪い癖がある。やらずに起こる事故のほうがずっと危険なのに、目の前の恐ろしさに耐えきれず、なんでもかんでも先延ばしにしてしまう。そうすると恐怖はどんどん増幅して、それゆえにまた先延ばしにする。このループから脱出することができない。1年と少し続いているいまの仕事が、毎日朝から晩まで虚無感で満たされているのは、こういう怖さから逃げるために、脳がシャットダウンしているからなんじゃないかと思う。職場はあんなにも環境がよくて、やさしい人びとしかいないのに。
 文化芸術を支援する仕事がしたい。そういう気概のある人々とはたらきたい。若い人々を支援する仕事がしたい。わたしがそうしてもらったように、若い人々が愛と夢と勇気を捨てずに生きていけるようになってほしい。こうして書けば書くほどに怖い。学歴も経歴も都会の人の足元にも及ばないのに、勉強もさしてできなくて、本を読むのも下手だ。同じくらいやる気があって、わたしよりたくさんのことができる人なんてこの世にごまんといる。そして、わたしはうつになって「根性」をも失ってしまった。かつては恐らく人よりたくさんあった。なんとしても流されないぞと踏ん張っていられた。けれど今は、毎日毎日人間になるためのたくさんの薬に支えられている。人より疲れやすく、たくさん寝ないと信号の判別もつかない。ことばが出るのが遅くなって、判断するのがさらに下手になっていく。
 だからこのまま生きていくのが怖い。明日はもっとよくない自分がいるかもしれないのが怖い。過去の選択が実は間違えていたんじゃないかと毎日怖い。間違えた選択肢をたくさん思い出してしまうから怖い。生きていくのがずっと怖い。

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