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「知る」の次のステップは?

行政で「やさしい日本語」を講習する機会が増えています。初めて「やさしい日本語」を知る職員の多くから
・窓口対応や電話対応、資料作成で活用したい
・外国籍の方だけでなく、高齢者や障がい者にも活用していきたい
・どうすれば、わかりやすいのか、たくさんのヒントがあった
と感想をくださいます。多くの気づきを得ていただくことが「やさしい日本語」基礎講習の第一歩ですので、講習の到達目標を達成できてよかった~と感じます。

しかし、いざ、現場で活用しようとすると、原文の語句が難しい、「やさしい日本語」の事例や例文を探す、集めることから始めなくてはならず、相当な時間と手間がかかります。孤独な作業を行った末に、正解がないだけに、これでいいのかと不安が募ります。さらに「やさしい日本語」をよく知らない上司や市民からは「こんなのは日本語じゃない」「外国人を馬鹿にしている」「正確な情報を伝えていない」といった批判を浴びることもあります。

横浜市のように「やさしい日本語」への取り組みが進んでいる行政では、役所全体での講習も定期的に行っていて、「やさしい日本語」への理解、普及が進んでいます。地域の国際交流協会やボランティアの協力、外国籍住民の協力も得て、地域としての取り組みを進めています。事例、文例も集積しており、独自の書きかえソフトを開発、活用しているとのこと。一方、多くの行政では基礎講習を始めたばかりのところが多く、各々がイチから書きかえ作業を行ったり、パンフレットを作成して役所内や市民向けに普及に頑張る。ところが中心となっていた方が人事異動となってそれまでの頑張りがゼロに戻ることもしばしばです。

「巨人の肩の上に立つ」という言葉があります。
If I have seen further it is by standing on the shoulders of Giants.

行政で「やさしい日本語」を進めるなら、基礎講習の次のステップとして言葉や文例などのデータを集め、誰でも使えるよう整理し、提供するシステムづくりと情報交換の場づくりが必要です。その地域の税金を使って作ったシステムとデータだからと、様々な問題もあると思うのですが、なんとか他の行政でも使えるようにならないものでしょうか。それぞれがゼロから始めるのは、労力も時間も税金も無駄遣いだと思うのです。少しでも多くの人が簡単に書きかえ作業ができれば、さらに遠くの景色が見え、先に進めると思うのです。

コロナ禍が終息すれば、再び外国籍住民も増えます。一方、自然災害は決して減りません。先日東京都が「やさ日フォーラム」を実施されましたが、全国的な「やさしい日本語」のプラットフォームを目指しておられるようです。ぜひ、頑張っていただきたいと思いますし、私たちも頑張りたいと思います。

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