キキクルとマイタイムライン
私は防災の専門家ではありませんが、気象庁や内閣府の防災会議のHPの資料などを見て、少しでも外国人住民にわかりやすく災害情報を届けるにはどうしたらいいか、日々苦悩しています。
専門家の方から、下記記事に間違いや誤解があればぜひ、教えていただきたく。
防災情報と気象情報がゴッチャに?
「やさしい日本語」の講習会では、可能であれば防災についてお話しするようにしています。そもそも弘前大学の佐藤和之教授を中心にして「やさしい日本語」が開発されたのは、1995年の阪神淡路大震災がきっかけですし、「やさしい日本語」のカテゴリ―Ⅱが開発された目的の一つに、日常の情報を「やさしい日本語」で提供することにより、災害時に情報提供がしやすくするためというのがあります。
その折、受講者の皆さんに災害情報についていくつか質問をするのですが、危機管理や防災関係の部署の方や、マニアでも無い限り、多くの方が防災情報を正確に理解している人は少ないと感じています。
注意報・警報・特別警報と
高齢者等避難・避難指示・緊急安全確保
よく発表される「〇〇注意報」「〇〇警報」「〇〇特別警報」。「〇〇」には土砂災害、大雨、洪水、高潮などが入ります。まず、知っておいてほしいのは、「〇〇注意報」「〇〇警報」「〇〇特別警報」は気象庁が出す気象の情報であることです。
こうした気象の情報を受けて、市町村が地域の災害の危険度の高い地域に出すのが「高齢者等避難」「避難指示」「緊急安全確保」です。「災害の危険度の高い地域」は、過去に起こった土砂災害や洪水のデータを元に「土砂災害警戒区域」「土砂災害特別警戒区域」として指定されており、国土交通省や都道府県のHPに掲載されていますし、地域のハザードマップや防災情報マップ、土砂災害リスクマップなどにも反映されています。
「避難勧告」は廃止
「緊急安全確保」が2001年5月20日から使われている新出単語で、同時に「避難勧告」は廃止になりました。この夏すでに何度もテレビのニュースで出てきているので、聞き覚えのある人も多いと思います。
災害時に出される言葉
注意報、警報、特別警報、高齢者等避難、避難指示、緊急安全確保の外にも、河川については都道府県や国土交通省から氾濫注意情報、氾濫警戒情報、氾濫危険情報、氾濫発生情報が出されます。いろいろな情報がいろいろな所から時々刻々と出てくる災害時。私たちはどうやって判断し、どう行動するべきなのでしょうか。ましてや、外国人住民にはどう伝えればいいのか、防災教育の悩みどころです。
5つの警戒レベルとその色分け
こうした様々な情報を少しでもわかりやすくしたものが5段階の「警戒レベル」です。気象情報も防災情報も河川の情報もこの5段階の「警戒レベル」に分けられ、「どういう状態」なのか、私たちが「とるべき行動」が示されています。この、白、黄、赤、紫、黒という色分け、これがポイントになりそうです。
注意、危険、警報、警戒、切迫、発生と、たくさんの言葉とその定義や意味を理解し覚えるのは日本人でも大変です。「いったい何を判断基準に行動すればいいの??」という疑問に防災の専門家、小山真紀先生(岐阜大学流域圏科学研究センター減災社会推進部門長)に教えてもらったのが「色で判断」。危険度が色でわかる。これなら外国人住民にもわかりやすいのでは!?
「キキクル」で 今いる場所の危険度をチェック そして避難行動
実はこの危険度の色分けを地図上で示したものが気象庁の「キキクル」です。大雨、土砂災害、洪水による危険度を、1㎞×1㎞という細かい単位で、しかも更新は10分毎です。
マイタイムラインの活用を
難しい言葉の説明より、このキキクルを見て判断すること、そして防災教育ではワタクシゴトとして災害をとらえ、避難行動につなげるために、マイタイムラインの作成がいいのではないでしょうか。マイタイムラインを作成するためには、キキクルをはじめ情報はどうやって収集するか、どの色のとき、どう行動するべきか、避難するタイミングはいつで、どこへ、どのようなルートで避難するか、備えはたとえば台風なら日常、2~3日前、直前の準備をどうするべきかなど、考えるきっかけになるのではないでしょうか。
ただし、外国人住民の防災教育に当たっては、自由にWeb情報を見る環境が整えられているかどうか、キキクルも現状は日本語のみの地図表示なので、地理情報に関する知識も必要となります。国際交流協会さんや防災の専門家の先生方、行政の方にも意見を聞きながら、外国人住民への防災教育について考えていきたいと思っています。