思考するという言葉の意味

 「考えなさい。」などという言葉を受けたことはありませんか?そう言われて一生懸命考えているつもりでも、なかなか考えてないように思われたりしてしまいます。
 そもそも考えるとはなんでしょうか?広辞苑には「思いめぐらすこと。考え。」とあります。これではどうすれば考えたことになるのかわかりにくいです。人間の知的活動を総称するものなのでしょうが、それではわかりません。
 そこで私が提唱したい思考の定義はこちらです。「試行錯誤すること」です。これが特に顕著に現れるのが数学です。数学が苦手な人と得意な人を比較してみるともっとも大きな差は分からないままでもとりあえず、今までに習ってきたことを試してみるかどうかです。小学生でも算数が得意だと思っているこの中には、このままほっとくと、高校数学で挫折しそうだなと思うような子も沢山います。現実的にそうなることが多いのですが、そういう子の特徴は、他の子よりも早くに大人から答え方を教わっているだけの子です。そういう子は自分の頭で考えていないのです。ここで
あえて考えるという言葉を使いました。これを言い換えると、そういう子は試行錯誤をしてきていないのです。間違えた答え方を試してみたことがないと、なぜ自分が今回教わった方法で出した答えが正しいのかは永遠にわからないままになります。間違えた計算式を立て出てきた答えと現実世界を比較して、正しそうなのか、それとも間違っているのか、さらには間違っているのであれば、どうして今回の計算式は間違っていたのか、と言ったことを一つ一つ地道に地道に解決していくことが思考するということなのです。
 だからこそ、自分自身や子供が問題を解く際に間違えた際には、むしろ、今この瞬間が学習できるチャンスだというようにプラスに捉えましょう。間違えることこそが学習にとって最大のチャンスです。むしろよく今自分が間違える問題に出会えて感謝しましょう。そして、その1問に何時間かけてもいいので、どうして自分の解き方ではいけないのかを精査してみましょう。子供が間違えたときにも、よく自分で考えたねとほめ、そして、どんなふうに考えたのかを共感してみましょう。
 ただし考えると、人は正しい道を最短距離で進むことは出来ず、周りに自分で考えることなく、最短距離を教えられてきた人に比べて確実に遅くなります。考えるということは、最短距離を辿る力なのではなくて、間違いをいち早く察知する力なのです。つまり思考力とは錯誤に気づく力なのです。錯誤に気づくには試行してみなければそもそも錯誤しません。悪い結果ばかりを気にしていては、永遠にいい結果を手に入れることはできません。悪い結果を修正する能力を持ったものが一番考える力を手に入れられるのです。
 間違いを修正する力があれば、今までに出会したことのないことにも、混乱することなく自信をもって進めます。数学などは仮に失敗しても犠牲者はほとんど出ません。なので、最も失敗しやすい数学を題材にしてみてはいかがでしょうか?数学にアレルギーがあれば、他のものでも構いませんが、とにかく色々と試してみてください。

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