ヒヌカン(火の神)ネットワーク恐るべし
沖縄には、地域ごとに神様がいらっしゃいます。家庭の中ではヒヌカンさんが、地域には地域の神がいて、その神たちが人々の願いをセーファー御嶽経由で、神の島「久高島」に届けます。
ヒヌカン。つまりは火の神。
日本では、かまどの神として知られていますよね。火の神様は、どの宗教でも祀られており、中国にも当然おりますし、ギリシャ神話ですと、ヘスティアという神様が居ます。オリンポス十二神の一人で、ゼウスのお姉さんだそうです。
火という特質上、ヒヌカンさんは、やさしさと激しさを併せ持っているようです。ちゃんとお祀りすると家内安全、豊作などをもたらしますが、手抜きしたら、やっぱ、あかんらしいです。そういえば、もともと、裏(家内)で祀られる神さんというのは、祟り神ですもんね。
中国の竈(かまど)神は、各家の人々の行いを監視しているのだとか。1年に1度、旧暦12月23日に天界へ戻り、担当する家庭の善行と悪行を報告するそうです。家によっては報告内容に手心を加えてもらうため酒やお肉を、また、竈神が喋りにくくなるよう粘りのある餅を供えたり。
日本でも、台所や厠は裏の領域であることから、現生と霊界の境界に位置する場所として、かまど神を媒介者と認識、扱いが悪ければ荒ぶる神となり、家内に祟るとされています。
でも、そんな神様たちも、居なくなりました。今では消えつつある風習です。しかし沖縄ではヒヌカンを祀る家が多いです。一応我が家にもあります。
ヒヌカン(火の神)は、台所を管理するかまど神であると同時に、ニライカナイの神様たちとの連絡係を務めているんです。
ニライカナイとは、海の向こうの神の国。善いことも悪いことも、ニライカナイからやってくるし、人が亡くなったらその魂はニライカナイに戻っていくとされています。
ヒヌカンは、そんな神々へつなぐための「お通し処」(ウトゥーシドクル)。家庭の情報はヒヌカンから地域神に伝えられ、地域神は最高聖地「セーファー御嶽」に情報を送り、そこから神の島「久高島」、さらにニライカナイへと。
おお、これって、現代のコンピューターネットワークと同じじゃないですか。情報ネットワークを、昔の人はすでに完備していたんだなぁ~。