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純国産にこだわる企業が開発した世界初

ビックメガネの陳列の片隅に、ひっそりと、さり気なく置かれていた昔風デザインのフレーム……。こりゃあ、ヴィンテージですねぇ。

おっ? マルマンオプティカルの純チタンフレームではないですか!

チタンと聞くと、なにやら高級なイメージを持ってしまいますが、はて、いったいどんな金属なんでしょう。気になります。調べてみました!

チタンって何ですか~?

■チタンの特徴
一言でいうと、他の金属に比べて高価で高品質な金属です。鉄や銅、アルミニウムなどの金属よりも、様々な点で優れています。

■チタンの強度
チタンの強度は、鉄の約2倍、アルミの約3倍です。強い衝撃を受けても壊れにくいため、高い強度が要求されるを航空機やロケットの部品に使われています。しかも、しなりやすく、少々曲げても元に戻る性質を持っています。

熱にも強く、溶解度が鉄は約1530度、銅が約1080度、アルミが約660度であるのと比較すると、チタンが溶ける温度は約1660度と鉄よりもさらに強く、様々な金属の中でも、高い強度と共に熱の耐性も持っています。

■チタンの耐食性
チタンは錆びにくいそうです。専門用語では耐食性が高いというんですね。特にチタンは海水に強く、鉄や銅、錆びにくいことで知られるアルミニウムよりも、さらに耐食性が強い金属です。

チタンの錆びにくい性質は、船の装甲板など、海水の影響を受ける場所での建築素材として活用されています。

■チタンは軽い
イメージ的には、強いチタンは当然重い! ですよね。ところが、なんとチタンは軽いのです!!!

チタンの重量は鉄の3分の2、銅の半分しかありません。アルミには負けますけど、他の金属に比べると相当便利な特質を持つ金属といえるでしょう。

だから、メガネの素材にもなったわけですし、ゴルフクラブなどにも使われています。

■チタンは安全
チタンは体に優しい安全な金属です。アレルギーが発生しにくく有毒性がありません。医療用具として、また、大腿骨壊死による代替え骨頭として体内に埋め込む素材にも活用されています。

余談ですが、ビッグメガネ新里店長の両足の骨頭は、チタンに置き換えられているものの、毎日元気に仕事、ワンコ散歩と活躍しています。ちなみに店長、アレルギー体質です。知らずに食べた外食で三度のアナフィラキシーショックを起こし、死にかけたことも!!!

金属アレルギーとは、金属に汗などの水分が触れることで発生するイオンが原因とされています。チタンの場合、イオンがほとんど発生しません。これが金属アレルギーを起こしにくい要因です。

しかも熱や電気を通しにくく環境にも優しい素材です。様々な分野で活用される万能素材、それがチタンです。

■チタンは高い
ならば世の中のもの全部、チタンで作ればいいじゃないかー! というわけにはまいりません。だってチタンはお高いのです。当然ですね。

しかも、強度が高いということは、溶接、プレス、成形、切削が難しいことになります。つまりチタンは難削材。加工するには高い技術力が必要なのです。だから「ここぞ」というシーン、要所において使われる、高価な素材なのでした。

■チタンの発見
1791年、イギリスのグレガーという人が海岸の砂のなかから、今まで見たことのない「黒い砂(鉱石)」を見つけました。その4年後の1795年、ドイツのクラプロートという科学者が、ハンガリーで採れた鉱石(ルチル鉱石)が、今までに知られていない金属だと発見しました。彼はこの金属に、ギリシャ神話の中の巨人タイタンから名を取り、チタンと名付けました。

ただし、彼らはチタンの元を見つけただけ。その後150年、使われることはありませんでした。きっと加工が難しかったんでしょうね。

世界初のチタンフレームは日本発

日本でチタンが使われだしたのは1970年代です。以後、全国の加工業者たちによって技術が積み重ねられ、各分野での活用が進みます。

写真はマルマンの純チタン・純国産フレ-ム、SUPER 100です。

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マルマンオプティカルの創業は1978年。1982年に、世界で初めてオール純チタンフレーム「チタノス」の開発に成功しました。「チタノス」は、メガネ業界だけでなく、金属業界からも注目を浴びることになります。

チタンという素材は、軽い、錆びない、強いという特質を持つものの、加工が難しく、その殆どが軍事、航空宇宙に利用されていました。

マルマンオプティカルは、高度な技術力によりメガネフレームの商品化に成功。その成果は、国立科学博物館に将来性のある優秀商品として、5年間展示されたほど。

その後、チタンは暮らしの必需品として技術が進み、あらゆる分野で使われています。純チタンから進化した合金チタンも活躍しています。

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純国産にこだわったマルマンオプティカル

日本の地盤沈下とともに、あらゆる産業界が生産を海外に求めました。欧米の高級ブランドすら、メイドインチャイナの時代です。当然、メガネ業界も例外ではありません。フレームだけでなくレンズもまた、安い海外産が増えてきました。

そんな時代にもかかわらずマルマンオプティカルは、創業以来40年以上も100%メイドインジャパンを貫き、純国産の高級フレ-ム「チタノス」を作り続けています。それは、世界初の純チタン開発メーカーとしてのプライドです。

たかがメガネ、されどメガネ。小さなフレームの中にも、企業の矜持と歴史、職人さんたちによる進化した技術が詰まっていました。