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◎゜湯のかおり ◎゜何となく…を大事にしたくなったら「富貴の湯」
高山村方面に行こうと、渋川市方面から日陰道を右折するとまもなく、左手に富貴の湯が見える。
「ここにも温泉があるんだよねぇ」と黄色い看板を横目に、いつも車を走らせていた。
ある時ふと、「富貴の湯に行ってみたいな」と思った。
理由はわからないけれど。
気になりだしたらとまらない。
「あいつのこと、好きなのかな?」みたいな感覚で、頭から離れなくなってしまった(笑)。
「ならば、行ってみよ」と、お風呂セットを車に積み込む私。
─ * ─ * ─
![](https://assets.st-note.com/img/1677307983793-1sR1TEWxrC.jpg?width=800)
駐車場から上越新幹線の高架橋が良く見えました。
高崎ー上毛高原間は、トンネルが多いんです。
だから、地上に出てる部分を見つけると、ちょっと得した気分になるんですね。
あとで知りましたが、富貴の湯には、新幹線を流れ星に見立て「流星の見える窓」スペースが作られていました。(HPにて確認)
![](https://assets.st-note.com/img/1677308044826-o1wRrTftOL.jpg?width=800)
一見すると、美味しいうどんが食べられそうな外観。
あたたかみがある建物に入ると、そこは吹き抜け、日が差し込んで、気持ちの良い玄関でした。
受付で渡されたA4サイズのカードには、番号がついていました。
入場制限をしているんです。
浴室に向かう途中、休憩ルームには男湯待ちの人が数名いらっしゃいました。
脱衣所から戸を開けると、桧の内湯が一つ。
ほんのり感じる硫黄のような香りと、湯気で潤う木の壁が相まって、ふうっと呼吸が楽になっていきました。
良く見るとお湯は少し褐色、伊香保温泉の黄金の湯を思わせます。
この「何となく温泉」の感じも良いなぁ、と思いました。
じっくり温まったあと、屋根付きの露天風呂へ。
塀に囲まれている分、視線は空へ行きます。
お風呂の中に半身浴できそうな石が組まれていたりして、空を見るには持ってこいの露天でした。
服を着て、帰るころだったでしょうか。
ある場面を思い出しました。
─ * ─ * ─
その日、私は夕食の準備をしていました。家族はリビングで思い思いに過ごしています。
子供たちにお風呂に入って欲しかったので、ソファに座っていた夫に声かけをお願いしました。
すると「仕事中」と返事が。
良く見ると、パソコンで作業中でした。
そう言われてしまうと、それ以上お願いできません。
ならばご飯の支度を急ごうと、メインの唐揚げ作りに専念しました。
間もなく、パタンと浴室の戸が閉まる音がしました。
夫が一番風呂に入るところでした。
その瞬間、何とも言えない気持ちになりました。
「仕事、終わったんだったらさ…」
夫がお風呂に入ってる間、私は唐揚げにぷくぷくと纏わりつく揚げ油を見ていました。
誰かに話すほどでもない
でも笑い話には、まだできなくて
たまには自分で聞いてあげないと
知らず知らず「悲しみメモリ」が
増えちゃうんだよね
帰り際、新幹線の高架橋を見ながら、そんなことを考えてました。
![](https://assets.st-note.com/img/1677308354371-zZ11rsT01g.jpg?width=800)
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