あるトランスジェンダーの子ども時代

こんにちは。
野菜さらだです。

みなさんには子ども時代ってありましたか?
私はありました。

たぶんほとんどの人が子ども時代があったと思うんですが
人によって楽しかったとか最悪だったとかありますよね。

まぁそんな感じで人によっていろんな思い出があると思うんですが
トランスにとって子ども時代は99%暗黒時代だと思います。
例に漏れず、私もぼちぼち暗黒でした。

よく言われてる
性別の違和感に気づいたのはいつでしたか
みたいなやつ。
まぁ別に何歳で気づいたっていいと思うんですが
私は5歳くらいの頃にはなんとなーくありましたね。


幼稚園時代

お母さんのメイク道具で遊んでたりとか
幼稚園では女の子とおままごとやってたりとか
なんかそういう思い出があります。

おじいちゃんとかはやっぱ男の子なんで
電車とか車のおもちゃをくれてたんですが
動物のぬいぐるみが好きでずーっとそっちで遊んでました。

実際は
女の子が車とか電車とか恐竜好きでも
男の子がぬいぐるみとかおままごと好きでも
なんら問題ないと思うんですが。

まぁそんな感じで幼稚園時代を過ごしていました。
女の子と仲良かったので
バレンタインには
死ぬほど大量のチョコもらってました。
親としては自分の息子がそうなってたら嬉しいんですかね…。
父がニヤニヤしてたのを覚えてます。


小学生時代

ただ小学校に上がるとなるとそうも言ってられません。
私の時代はまだランドセルといえば黒と赤しかなかったので。
問答無用で黒のランドセルが家にありました。
自分で買いに行った記憶とかもない。

それに加えて
無駄に空気が読める子どもだったというか
あんまりそういうのを出さない方が
いろいろうまく回るっていうのを
なんとなく分っちゃってたので
なんも言わずに黙ってました。

でもまぁ、そうそううまくいかないんですよね。

絵の具セットってあったじゃないですか。
バケツとかパレットとかがセットになった
図画工作の授業で使うやつ。
あれを買うタイミングがきたときに
赤と紫のバッグのデザインを選んだんですよね。

で、これ選んでから気づいたんですが
男子は青と黄色を選ぶっていう暗黙の了解があったみたいで。
デザインは変わらないんで、ほんと色だけの差だったんですけど
まーいろいろいじられました。
当時はわりと明るいキッズだったので
深刻ないじめになってしまったりはしなかったんですが。

うちのお母さんはいい意味でも悪い意味でも
ちょっと世間からはずれたタイプというか
独特な世界観を持ってるタイプの人だったので
私の選択に口出ししたりはしなかったんですよね。

サッカーとか野球とか
そういう男の子っぽいスポーツは
絶対にやりたくないって言ってたので
そういうのをやることもなく。
男の子っぽいからやだというより
単純にめんどくさいのと
集団行動が苦手だったので…。

お母さんが冬になると
リップクリームを持たせてくれていたので
そういうのをちゃんとやってたり
高学年になっても
たまに間違えられる(?)ような見た目だったりで
アホな男子にオカマって言われてたなあ。
あんま相手にしてなかったんで
向こうもすぐ飽きちゃってたけど。

友達もまぁぼちぼちいたし
黙ってりゃ割とふつうだったと思います。

ただ好きな子とかの話になったときは困った。
私は女の子は恋愛対象じゃなかったんで
話をごまかすのに苦労してた記憶がありますね。


中学生時代

個人的には最悪の3年間。

制服は学ラン。
まじで葬式か?って思った。

着るにしても第二ボタンまで開けて着崩したり
そもそもジャージでずっと過ごしてたり
ちゃんと向き合ったら負けだな
と思って反骨精神バリバリでした。

水泳の授業に関しては
もうこの辺からはずっと見学してました。
まじだりーわとか言って。

スクールバッグにポスカで落書きしたり。
チャリニケツしたり。
授業サボってみたり。

まぁとにかく酷かった。
親に反抗したりはまったくしなかったですが
社会に対してはこの頃がいちばん反抗してたかも。

ほんと思い出したくない。
最悪です。
いろんな大人に迷惑かけました。
その節はすみませんでした。。


高校生時代

暗黒な思い出が多すぎる地元から離れたくて
遠い場所の高校を選びました。

制服は男女共通デザインのブレザー。
学ランよりは数千億倍マシでしたが
やっぱスカートはうらやましかったなあ。

無駄に勉強はできたので
田舎の進学校へ。
みんな優秀なのでおだやかだったし
田舎特有ののんびりした感じで
ゆるーい高校生活でした。
髪も伸ばしてたりピアス空けてたりしましたが
先生はやめろよーと言うものの
言うだけで特に強制はされなかった。

とはいえ、高校ともなるとみんな青春してたりして。
楽しそうだな〜と思いつつ私も頑張ってみるものの
やっぱ違うんだよな…ってなって
あんまうまく行きませんでした。

そのうちいろいろめんどうになって
親に黙って
進級・卒業できるギリギリまで
学校自体はサボってました。
ごめんなさいと思いつつ
まぁ卒業できたしセーフってことで。

この頃に、ネットでいろいろ服とか買ってみて
部屋でだけこっそり試してたんですが
ある日お母さんにバレて。

お母さんと話したら
「ちゃんと産んであげられなくてごめんね」
って泣かれました。
「いや、お母さんのせいじゃないでしょ」
って言うことしかできなかった。

ある程度理解を示してくれる世のお母さん
みーんなこれ言ってる気がする。
別になんも悪くないのにね。
あー書いてて泣けてきた。

この頃に初めてジェンダークリニックに行きました。
まぁなんてことない感じでしたが。
染色体検査で下半身いじられたのは嫌だった。

そんなこんなで
ぬるっと志望大学にも受かって
高校時代は無事終わりました。


大学はさすがに子どもでもないんで
また気が向いたら書こうと思います。

こうやって振り返ってみると
壮絶ないじめに遭ったとか
親と相いれず大げんかしたとか
トランスあるあるな子ども時代ってわけでは
なかったなと思います。

修学旅行とかきっついイベントもあったと思うんですが
きつすぎて正直覚えてないです。
なにも考えないようにして過ごしてたので
どこに行ったかもあんまり覚えてない。
華厳の滝は見たかも。

かなり平凡っちゃ平凡ですが
やっぱりつらかった。
たとえ100億円積まれても
高校以前には戻りたくないです。

高校までと大学からで
人生がまるで変わりました。
着れる服の幅も広がったし
メイクやネイルも覚えたし
バレンタインはもらう側からあげる側になったし
19歳くらいから人生始まってる気がする。
もうバレンタインはめんどくさくなってるけど。

今はランドセルの色がいろいろあったり
プールの水着もジェンダーレスになってきてたり
ちょっとずついい時代になってきてる気がします。

私みたいに、ジェンダーの問題で
つまらない子ども時代を送って
高校以前の人間関係全部切って
成人式にも行かない
みたいな
そういう子どもが
一人でも減ってくれたらいいなあって思います。

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