最近のトランス関連ニュースについて当事者が思うこと

こんにちは。

最近、SNSやらニュースアプリやらを開くたびに
必ずと言っていいほどLGBTQ+関連の投稿や記事が目に入ります。
まぁ現代のネットはそうして欲しいかどうかに関わらず、
自分が関心を示している物事を推してくる仕組みになっているので
しかたないっちゃしかたないのかもしれませんが。

私自身はあんまりLGBTQ+関連のニュースとか興味ないので
あんまり観てないつもりではあるんですが
やっぱ無意識に関心を寄せてしまってるかも。

あんまりこの手の話題に触れたくはないんですが
トランスに限らず当事者の中には
ネットを開くたびにうんざりしてる人も多いのではと思います。
私もうんざりしてるので。

もっとネコチャンのかわいい動画だけとか流れてくるといいんですけど…。

とはいえ、せっかくこうして発信できる場もあることなので
一当事者が主観的にどんなことを思ってるのかを
書き散らかしておこうかと思います。

あくまで私の主観だよっていうことを念頭に置いてもらいつつ
頭ごなしに批判してやろうとか、トランスはクソみたいな思想の方は
今すぐブラウザバックしてもらえると助かります。
私も人間なので。強いこと言われると泣いちゃいます。




最近よく見るニュース

トランス界隈で言うと、最近は広島高裁がトランス女性に対して
手術要件を満たしてない状態での戸籍変更を認める判決を出しましたね。
(ここでは記事へのリンクとか手術要件ってなに?みたいなことは書きません。興味ある方は調べてもらえると。)

これ自体は極めて画期的な判決であり
裁判所という国の機関がそれを認めることは
自治体レベルでしかまともな議論が行われてこなかった日本において、大きな前進であるということは事実だと私は思っています。

ただまぁ、この手の判決というかニュースが出ると必ずこういう意見が出てきます。
「心が女だと言い張る男がドウチャラコウチャラ」
と…。


トランスジェンダーであると客観的に判断されるということ

さて、この手の意見に対してそこそこちゃんと治療を受けている一当事者から何か一言、と求められたら

「いや、さすがにナメすぎでしょw」

という感じ…ですかね。
ざっくりしすぎ?

私自身、10代のころ(あんま覚えてないけどたぶん高校生くらい)からジェンダークリニックに通っており
途中さまざまな問題から数年間通院を断念したこともありつつ、最終的に診断書が取れたのは20代の中盤でした。
そこまでも含め、現在までの道筋としてあったのは

  • 数か月(というか数年)に及ぶカウンセリング(これは私が10代スタートだったのもあるかも)

  • DNA検査

  • 性器検査(これまじで恥ずかしい)

  • ふたたびカウンセリング

  • (就職により時間が取れなくなって中断、ついでに給料も安かったので経済的にも実費通院がつらくなってしまった)

  • (転職を機に理解ある職場でフルタイムかつ埋没で女性として生活しはじめる)

  • 収入が新卒時代に比べて跳ね上がり、かつホワイトで時間も取れるようになったので別のクリニックにて通院を再開

    • この時、n万円を払って前のクリニックにカルテ開示をしてもらう

  • みたびカウンセリング

  • 診断書ゲット

  • ホルモン治療開始、今に至る

…という感じでした。当然全部実費です。
さらに、そのあと週1回(たまにサボる)のペースでホルモン治療をするために通院しています。

トランスジェンダーであると客観的に判断されるまでに
これほどまでの時間とお金がかかってるわけです。

まぁ私は相当ちんたらやってたと思いますが…。

ホルモンなしでも完パスできていたことや
他の精神的な問題がなかったこと
もともとのんびりしているタイプなので
あんまり焦りがなかったというのもあります。

(噂によると1日で診断書出すクリニックがあるとかないとか聞きますが…それはさすがにどうなの?と思っている)


そこにある問題点

そんなわけで、客観的にトランスであると判断をもらうためには
相当な時間とお金が(ふつうは)かかるわけです。
ふつうの人がかけなくていい時間とお金をかけてまで
そんなことをするのははっきり言って割に合わないです。
コスパ最悪。

そういう事実がある中で
「女を自称する男が~」
という事件や、その想定をトランス全体の問題とするのは
少々ミスリードが過ぎるんじゃない?
と私個人としては思っているわけです。

安全圏から石を投げる人に
実態を知る人なんてそんなにいないと思うので
伝わらなくて当然かもしれませんが。

ここで問題なのは、トランス当事者でもなければ、それを外野からワーワー言う人たちでもなく、ましてや被害を受ける女性たちでもありません。
明確な区切りというか、ルールが存在しないことだと私は考えています。

例えば、温泉とかの問題として
「男性器がある方の女湯および脱衣所への入場は禁止」
と明言してあればいいわけですよね。
もう少しゆるくするなら
「診断書の提示をされた方に限り、23時~1時の間のみ利用可」
とか。

まぁガチ目にアレな人からすると
「そもそも少数の異常者のためにそんなルールを作るな」
という感じかもしれませんが
そういわれましても我々はどうしても存在してしまっているので
ルールを設けることでしか解決はできないと思っています。
それがどうしても気に入らないなら
片っ端から道行く人の服を剥いで
該当者を見つけたら無差別に地獄送りにでもしていただくしかないです。

そもそも私は大浴場とか絶対入らないですけどね。
プールも大浴場も20年以上入ってないです。
おそらく今後も入ることはないと思います。
トランスどうこうの前に
そもそもなんで他人に裸を晒さなきゃいけないの?
と思ってるので…。


トイレ問題

とはいえ、それで片付けられてしまうと
当事者的に困ってしまうこともあります。
大浴場やらプールやらは別に行かなきゃいいだけなんですが
トイレだけはそうもいきません。
実際、私も新卒時代なんかは相当これに難儀していました。

トイレに行くことは生理現象と結びついているので
ガマンすること自体がそもそも本来間違っていることです。
逆にいえば、トイレには生きてる限り行かざるを得ないわけで
これを単純なルール化で区別できるかというと
おそらく無理かなと私は思います。

仮に単純に性器の状態だけで区別をした場合
一定以上のパス度を持っている人間が
ルールに従ってトイレを使うことが混乱を招くことは明白です。

また、トランスを空想で語る人には理解できないかもしれませんが
当事者も他の人と同様、危ない目に遭うこともあります。
実際私も深夜の繁華街で無理やり連れて行かれそうになったり
痴漢の被害に何度もあったりと
(トイレ問題だけに)大なり小なり
両手で足りないくらいには何かしらそういう経験があります。

また、一応国だったかなんだったかの見解として
トイレは閉鎖された空間であるためその利用については法的に制限するところではない
みたいなのが何かの判決のときに出ていました。
(気になる人は調べてください)

というか、なんもしらん友達と遊んでて
トイレ行こ~ってなったときに体の性別に合わせたトイレに行くとか
ふつうに考えてできないでしょ?
まじでいろいろ終わるわ。想像力働かせてくれ。

という感じで
トイレ問題に関してはもはや人権レベルの話になってきちゃうので
これ以上は深堀りしませんが
ここでもやっぱり問題になってくるのは
「女を自称(略)」
の議論だと思います。

これも問題の本質は変わらなくて
トランスが悪いとかじゃないはずなわけです。
シンプルに
「トイレでレイプだの盗撮だのをする性犯罪者が悪い」
ということになるはずですよね。冷静に考えたら。
「犯罪者は男が多いので、男性は外に出ないでください」
って言われたら
いやいやいや、ってなりますよね。
男が女がトランスが、じゃなくて
犯罪を犯す個人が悪いはず。

というか、この手の問題って実は男女間だけの問題じゃなくて
女性が女性を盗撮したりとか
男性が男性を襲ったりとか
あるいはおばちゃんが死ぬほど混んでる女子トイレの列を外れて
「今だけ男!」
と言いながら男子トイレに駆け込むとか
そういうこともぜんぜんありうるわけで
それをトランスだけの問題としてことさらに燃やそうとするのは
ナンセンスの極みだと私は考えています。

まぁ私の意見をまとめると
勘弁して♡
ということです。


見えなくされている人たち

と、ここまでいちトランスの当事者として
人生途中参加で女をやらせてもらっている立場から
つらつらと思うことを書いてきたわけですが
こういった議論(にもなってないことも多いけど)で
見えないことにされている人たちがいるなあと思うわけです。

それはトランス男性。

この手の議論において対象になるのは
必ずと言っていいほどトランス女性のみです。
まぁ歴史的に笑いの的にされてきていたり
あるいは匿名インターネットで物申すタイプの人は
どうしても男性が多いので
身体的に同じ性別であるトランス女性の方が
属性的に叩きやすいんでしょう。

とはいえこういった話題の中にトランス男性が含まれないことは
それはそれでまずいことだと思っています。
もちろん誹謗中傷の的になんかならない方がいいんですが
どうせ注目されるなら
もっと健全で意味のある議論の中で
取り上げられるようになったほうがいいのかな、と私は思います。

トランス男性が取り上げられない背景には
依然として
「(性)暴力は男から女に対して起こるものだ」
という刷り込みというか、思い込みというか、
そういう間違った前提があるというのが一つあると思います。

まずこの前提が間違っている、ということに大勢が気づかない限り
この議題が芯を食うことはおそらくないのかなと
私は考えています。

また、トランス男性が見えないものにされていると
本来整備されるべきことが進まないということにもなってきます。
分かりやすいところでいうと
男性用トイレに生理用品を捨てる場がなかったりとか。

実はこの問題ってトランス男性だけではなくて
一部のシスジェンダーの男性の問題でもあったりします。
痔など病気の問題で生理用品を使用するシス男性もいたりして
そういう人たちにとっても
男性用トイレにそういった整備がされることには
実は社会的にもっと広い意味があるはずです。


当事者として気をつけていること

こっからはまた当事者的目線の話として
おそらくガチ当事者のみなさんは
共感してもらえるかなと思うんですが

シス女性に対してめっっっっっっちゃくちゃ気を遣ってます。

まぁ他人に気を遣うってモラル的に当たり前なんですが。
具体的に何してるのって言われても
けっこう困るんですが
とにかく絶対に迷惑だけはかけないように気を付けてます。

会社だったりディズニーランドだったり
あるいは家の近くのファミレスだったり
日常的に、日常が日常であるように。

まぁ女性に対してだけじゃないですけどね。
私みたいな半人前が
ふつうにそこそこ楽しく生活できてるのは
周りにいてくれるみんなのおかげなので
感謝とリスペクトを忘れないっていう
基本的なことです。人として。

自己啓発本みたいになってきたな…。


まとめ

気づいたら結構な長文になってしまいました。
まとめといっても特にまとめることもないんですが…。

ちょっとだけ現実的な話をすると
ジェンダークリニックに行くとほんとにいろんな人がいます。
いろんな意味で。

特にトランス女性については
正直言って社会的に女性として扱われるのは
客観的に厳しいかな…と思ってしまう人もいます。

反ルッキズム的な観点から
こういう物言いをするのは好ましくないことは理解しつつ
やはり180cm近い背丈で
白髪混じりのケアをしていないロングヘアの人が
JKの制服のような服装をしているのは
社会的に無理があると思います…。
ほんとすみません。
でも私の正直な意見としてはこれです。

ファッションに年齢は関係ないですし
同時に自己表現の方法なので
自由ではあるのですが
ただどうしても
クリニックに通うほどの自認があり
社会的に女性として見られたいなら
ある程度わきまえるというか
そういうアレは必要かなと思います。
何をしても大丈夫、というには
まだそこまで世界は進んでないでしょう。

と、そんなことをいいながら
私はけっこうメンズファッションも好きなので
だるい感じの服もよく着ます。

まぁはっきり言って
トランスの世界もなんら変わらない
所詮はルッキズムと偏見に満ちた世界なんですよね。
私の性格が悪いだけかも。

いろんな意味で、ふつうの人と何ら変わらないわけです。
たぶん。

他にもいろいろ思うところはあるんですが
もう疲れちゃったのでこれくらいにしておこうと思います。
難しい話題には触れないとか書いといてこれだわ。

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