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[1月7日]株価がまだ下がる理由

先週は雇用統計、ISM非製造指数の結果を受けて、1週間を通じて金利低下、株高で終わり幸先の良い2023年となりました。よく言われるように「悪いニュースは良いニュース」を期待し、今後は株価上昇かと期待したいところですが、私はまだまだ株価回復は遠いと考えてます。タイトルはCTRが上がるため大人の事情で株価が下落する理由としましたが、今日の結論としては「株価は上がりづらい中で下落リスクのみ抱える」とまとめてます。消費者物価指数が低めに出るなど短期的には上がる材料が出る可能性がありますが、それはショートのエサとなる可能性が高そうです。

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逆金融相場から逆業績相場へ

22年の米国マーケットは逆金融相場でした。逆金融相場とは、簡潔にいえば金利が一定期間上昇する中で株価が下落していく相場です。この状況下では金利が相場を支配しているため、金利の上げ下げで大きく株価が動きます。それゆえ、悪いニュースがでて金利が下がることはしばしば株価に追い風になることもあります。

しかし、今は逆業績相場です。正確にいえば、逆金融相場も逆業績相場も混じっているのですが、11月10日のCPI大幅鈍化より逆業績相場の色合いがより濃くなりました。逆業績相場とは、簡潔にいえば企業業績悪化により利益が減少し株価が下落していく相場です。

実際に11月10日の消費者物価指数(CPI)は予想を大きく下回り、インフレはいまだ高いものの、ピークアウトを期待させる内容となりました。その結果、11月10日の当日は大幅な金利安、株価高となりました。しかし、その後2ヶ月ほど経って10年金利は-52bps、-12.91%と順調に下がっているものの、株価(S&P)はわずかに+2.16%しか上昇してません。22年の金利とS&Pの株価の相関と比較すれば、明らかに11月10日以降は金利とS&Pの逆相関は確実に弱まってます。

企業の予想EPSは下落が続く

裏付けるデータは他にもあります。一般的に、株価はPER * EPSと定義されます。逆金融相場はPER(1株利益の倍率)が大きく下落していく相場ですが、逆業績相場はEPSが大きく下落していく相場です。

実際に2022年はS&PのPERが図のように21から16.5まで21%も減少しました。2022年のS&Pのパフォーマンスは-19.44%ですから、ほぼPERの減少とパフォーマンスが一致してます(一致しないのはEPSが少し成長しているため)。これがまさに逆金融相場です。ちなみに、まだ金融相場は到来してません。金融相場は明確に利下げの期待が織り込まれてから発生すると思われますが、今のところFRBの公式見解では利下げは2024年以降、マーケットの予想でも早くて2023年末になってますので、利下げ期待が織り込まれるのは早くても今年の後半くらいかなと今は考えてます。すなわち、逆金融相場で下げてきたPERが短期的に上昇することは理論的には難しいはずです。まだまだPERは過去のリセッションに比べれば高めですので、PERが下落することはまだまだありますが、利下げが織り込まれてない中でPERが16.5より大きく上昇することは短期的にはないでしょう。あったとしても金利が高ければ逆金融相場の色は残ってますのでショートの餌食になりやすいです。

こちらは実際のS&Pの2023年のEPS予測の変化になります。株価は半年から1年後の未来を織り込みますから、2023年のEPSが伸びていけば株価は伸びますし、下がっていけば下がっていきます。ここ半年ほどは2023年のEPSの予測が大きく下落してます。特に決算を超えるたびに予測のEPSは大きく下げてます。これは、決算が出るたびにアナリストがS&Pの各企業の将来予測の利益を引き下げてるために起こります。

本Noteのタイトルは「株価が下がる理由」になってますが、今現時点では下がるというより上がる理由がないというふうに説明する方が適当です。そして、株価が下がるには決定的な条件が必要です。それは1月末から始まるQ4の決算でアナリストが2023年の見通しを引き下げるかどうかです。もし、仮に決算発表を見てアナリストが「2022年のQ4も順調だし23年も好調な決算が続きそうだ」と考えればEPS予測は上がり、株価は上がっていくことになりましょう。皆さんは1月末の決算どうなると思いますか?決算を終えて23年も企業業績は素晴らしくなるだろうと考えれば株を買うべきです。ですが、もしそう思えないのであれば、金融相場が到来していない限りは株価上昇の理由は乏しいです。

ちなみに、ここ最近の決算は苦戦が続いてます。去年末のFedex, Micron, CarMax。そして今年のTesla, Samsung, Bed Bath & Beyondなどのニュースを見てどう思いますか?少なくとも、このニュースを見て順調な決算になりそうだなと思われない限り決算まで積極的な買いは入らないでしょうし。もし決算が芳しくなかったら、ヘッジファンドは金融相場が到来してない中でどういうポジションを取るでしょうか?

株価が上がる条件

最後に簡単に株価が上がる条件になりますが、明確に株価が上がるには2つの条件が必要です。

1:23年、24年EPSが底打ちし上昇する
2:PERが引き上がる金融相場が訪れる(相場が利下げを織り込む)

これらの条件は両方二つというわけではないですが、一般的には金利下がり始めてからPERが上昇し、低金利によって企業業績が好転しEPSが次に上昇を始めます。

なので、おそらく株価反転の最初の号令はFRBによる利下げのサインだと考えてます。それはFOMCではなく議事録やWSJのニックによるリーク記事の可能性もあるかもしれません。

もしくは、景気指標の大幅な悪化やCPIがインフレではなくデフレに転換し、10年金利が大きく下がるなどイベントが発生すれば株価は徐々に戻っていく可能性もあります。もし、来週発表のCPIで、サプライズで大幅なデフレとかになれば、ひょっとしたら株価は底打ちするかもしれません。

引き続き債券中心に

何度か書きましたが、必ず株価が下がるというより今は「株価は上がりづらい中で下落リスクのみ抱える」という表現が一番しっくりきます。まず利下げが織り込まれない限りPERは上昇は難しいでしょう。そして23年のEPSが下落を続けている中では株価が上がる理由が非常に難しいです。一方で、1月末の決算が芳しくなかったらEPSの予想がさらに引き下がり株価が下落していきます。

私自身は今年の前半は引き続き債券を中心に投資をしていくつもりです。まだまだ金利が上がり、債券価格が落ちる可能性はゼロではありませんが、長い目で見れば金利は今の水準より下がると考えてますので、積み立てるタイミングとしては良い時期なのではないでしょうか。何より金利が高いので配当金も期待できます。

もし株を買いたいよ!と思われる方がいましたら、視点を変えてみて次の決算でどの株をショートしようか?と考える方があたらしい世界が見えるかもしれません。

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