見出し画像

誕生日に欲しいもの

3月2日は僕の誕生日。

今年はその日にトークライブをやるのでぜひ来ていただきたい。

まず大前提として、いつもライブに来ていただくだけで十分ありがたい。

しかし、この時期になるとお客様から毎年聞かれる


「誕生日プレゼント何がいいですか?」


という質問。

大変面目ない話なのだが、これに対してちゃんと答えられた試しがない。

理由はただひとつ。「背徳感」だ。

例えば今靴が欲しいとして、「靴が欲しいです」とはなかなか答えられない。おねだりしているようで(実際しているのだが)気がひけるのだ。

だからいつも「なんでもいいですよ〜」「来てくださるだけで十分です〜」などと答えていのだが、この答えはよく考えれば最悪に近い。

折角聞いてくださっているのに「なんでもいい」なんて、こんなぶっきらぼうな事はない。

この記事をご覧の方の中には、僕や他の芸人に「なんでもいい」と言われた事がある方がいらっしゃるかもしれない。

しかし、それは今しがた申し上げた通り、ぶっきらぼうに言っているのではなく


「いえいえ、そんな…お構いなく…申し訳ないですよ〜」


という意味だと理解していただきたい。悪気はないのだ。


最近はつくづく『応援している対象の幸せが自分の幸せ』でもあると思う。

つまり僕の幸せは応援してくださる方の幸せ、僕の喜びは応援してくださる方の喜びでもあるのだ。

今年の僕は一歩踏み出そうと思う。

プレゼントはこれがいいなんて指定をしているのを見たことがないが、僕は周りに先んじてこのプレゼント問題に終止符を打つ。


何が欲しいのか、明確に書くのだ。


これがお笑いライブ界のスタンダードになれば、みなさんも我々もみんな笑顔。輝かしい世界が待っているのだ。


さあ!それでは正々堂々おねだりをしよう。


僕が欲しいプレゼント


それは…





『皆様の笑顔』






これだ。

これしか思いつかない。三日三晩考え抜いた結果これしか思いつかないのだ。これしか思いつかない人間なのだ。どうぞよろしく。




しかしふと気づいた。


「笑顔はプレゼントではないのでは…?」


という事だ。

マクドナルドでもスマイルが0円であるように、笑顔というのは元来プライスレスだ。

これでは与える側に与えた感がない。

僕だって彼女や大事な人にプレゼントを渡す側だった事はあるから分かるが、お金や時間をかけて選んだプレゼントを用意し、それが喜ばれる達成感は何物にも代えがたい。

だからお金を使っていただく事に、なにも引け目を感じることなんてないのだ。何も大枚叩いてとんでもなく高価なものを買えだなんて言うつもりはない。

大体こんな事を考えるのは芸人だけだ。ほかのジャンル…例えばバンド界隈でのプレゼントはえげつないと言うし、若手俳優界では最近の差し入れは満額チャージのSuicaがスタンダードだそうだ。芸人はライブも何でもかんでも安くやり過ぎなんだ。

芸人だって誕生日プレゼントくらい頼んでもいいじゃないか。僕はそう思う。そして、この閉塞感のあるライブシーンに風穴をあける為にも欲しいものを公表する。


さあ!それでは財布を片手に見てほしい。


僕が誕生日に欲しいもの


それは…






『皆様の笑顔』






これだ。これしか思いつかない。先日、霊験あらたかな洞窟の中で長時間の瞑想を行い、自分自身に問いかけたのだが、これしか思いつかない。僕はそういう人間だ。どうぞよろしく。




しかしここで思いもよらない問題にぶち当たった。心の中の僕、言うなればリトル出井がこう囁く。


「そんなに笑顔が見たいならお前が笑かせばいいだろ。」


目から鱗8匹分。

本当に毎度毎度リトル出井の前にはぐうの音もでない。

そう、私はコメディアン。

笑顔が見たければ笑わせれば良いのだ。

と言うことは、わざわざ皆様にお願いするまでもない。面白い事をすれば良いのだ。

では、肝心の誕生日プレゼントは何が欲しいのか。ここまでははっきり言ってお茶濁しだ。お付き合いありがとう。しかし、もう綺麗事にはうんざりだ。面白くもない。

さあ!今日こそ正々堂々と、真っ向からお願いしよう。


僕が誕生日に欲しいもの、


それは…



『味噌田楽』



…。



ちくしょう!!!!!!


コーヒーが飲みたいです。