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【格闘技】思い出のファイター列伝『北の最終兵器』イゴール・ボブチャンチン

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身長176センチ

55勝10敗1無効試合(46KO/1本)

PRIDEグランプリ2000準優勝

ウクライナ ハルキウ州 ゾーロチウ出身



車を運転していたら、あまりの怪力にハンドルがもげてしまったでお馴染み、イゴール・ボブチャンチン。(ちなみに愛車はトヨタのランドクルーザー)

『北の最終兵器』と聞くと、なんだか北朝鮮っぽいが、出身はウクライナ。

ロシアのファイターもたくさんいたので、ウクライナがそんなに北か?と言われればよく分からないが、ニックネームのインパクトは当時凄かった。

当たる瞬間手の甲が内側に向く独特の軌道を描く『ロシアン・フック』(出身はロシアじゃないが、旧ソ連という事で)を武器に、ド派手なKOを量産するPRIDE初期を支えた人気ファイターだった。

一時期あまりに早く試合を終わらせてしまう為、試合前カメラに向かって「秒殺シッマ〜ス」と言わされていた。

バックステージ等の映像を見る限り、そんな物騒な事は言いそうにない、温厚な人柄だ。

その証拠に、PRIDEを運営していたDSEの榊原社長が試合の契約の際、ボブチャンチンに「サカキバラサン、一つ契約に追加して欲しい事がある」と言われたので、(ギャラを釣り上げられるのか...!?)と思ったら、

「次の試合は春だから、京都で桜を見たいんだ…連れて行ってくれないか…?」

とお願いされたというほっこりエピソードがある。(かわいい)


もう一つ、ボブチャンチンと言えば引き連れている通訳の妙齢の女性、通称:オバチャンチン(佐竹雅昭が名付け親)も人気だった。

ウクライナの公用語はウクライナ語で、ボブチャンチンは英語も苦手な為、周りのファイターや関係者とコミュニケーションが難しそうだった。

何となく出身地が近そうなミルコ・クロコップ(クロアチア)とも全く話せていなかった。その為、オバチャンチンにかかる負荷は恐らく通常の通訳より重かったはずだ。

オバチャンチンの特徴は、明らかにボブチャンチン本人が話した量の倍くらいの尺話す事、日本語が決して上手くない事、試合前のピリピリした控え室でお構いなしに誰よりも喋る事、甘い炭酸飲料を飲むとすぐ気持ち悪くなるので嫌いな事、入場時のコスチュームに関して誰よりも気にする事、トートバックを持って入場する事、など。

ボブチャンチンは176センチという体格にも関わらず、当初ヘビー級として参戦していた。

当時無敵とされて『霊長類ヒト科最強の男』とされていたマーク・ケアー(ステロイド打ちまくり)をKOして名前を上げ、2000年のグランプリでは準優勝。滅茶苦茶強かった。

キャリア途中でダイエットに成功し、ミドル級に階級を下げた。その計量の時に、「まるでモデルみたいにスリムだろう?」とおどけている姿がかわいかった。試合になると動きが爆裂速くなっていて度肝を抜かれた。

ボブチャンチンのハイライト映像をYouTubeでチェックすると、初期はベアナックル(素手)ファイトに出ていたようだ。(今ではありえない危険なルール)本当にMMA初期からの叩き上げ、イゴールボブチャンチン。

今は母国でレストランを経営しているらしい。



コーヒーが飲みたいです。