見出し画像

H.M.C.6 -ウェルカム・トゥ・ネオサイタマ-

ごあいさつ

 こんにちは、うさぎ小天狗です。

 現在「ヤラカシタ・エンタテインメント」アカウントは現在開店休業中ですが、そちらの溜まりに溜まっている週報更新を脇において今回公開いたしますのは、『ニンジャスレイヤー』ファンによる音楽イベント「H.M.C.(ヘッズ・ムレ・チイサイ)6 -ウェルカム・トゥ・ネオサイタマ-」のセットリスト&レポートです。


DJうさぎ小天狗

 そう、DJ! ぼくはDJするんです!
『ニンジャスレイヤー』ファンによる最初の音楽イベント「ゼントランス」でトップバッターを務めさせていただいてからだから、何年前でしたか……六年前? からのキャリアでございます。
 そのわりにあんまり腕が上がってっていないのは、これはぼく自身の不徳の致すところではありますが、発展途上のワザマエながら、使っていただけて、徐々に経験値は積んでいるはず……いずれ龍になり天へ昇る時が来る……。

 閑話休題。そういうぼくのこの約二ヶ月は、ですから、日々練習の繰り返し。夜な夜な敷きっぱなしのフートン・スタイロフォームにゼンめいてアグラし、両膝にパイオニアのDJデッキ「DDJ-WeGO3」を乗せて、サイバー音楽空間にダイブすることで、日々の憂さを晴らしつつ、2.17の仕掛け[ラン]に備えていたというわけです。

と、ここまでは前回DJ参加させていただいた『H.M.C.4 生き残りたちが道場』の際のKO★PI★PE。


ラン、ストレイト、ラン

 では、どんな備えをしていたか。

 今回は「ウェルカム・トゥ・ネオサイタマ」のサブタイトルが示すとおり、『ニンジャスレイヤー』の舞台である近未来サイバー都市「ネオサイタマ」がモチーフであります。
 ここから、ウィリアム・ギブスンやブルース・スターリングたちがサイバーパンクブームを起こした80年代と、その前後にある未来的テクノロジーへのあこがれをトレスし、組み合わせることで、サイバーパンク風味を演出できないかと、まず考えました。
 すると、必然的に導き出されるのは、80年代シンセサイザーブーム。クラフトワーク、ニューオーダー、Y.M.O.、TM Network! そしてそれらの影響を受けた現代レトロシンセウェーブ!

 そして、今回は特別ゲストとして『ニンジャスレイヤー』ほんやくチームがDJ参加! これは『ニンジャスレイヤー』ファンイベントとしては異例の快挙であります。
 そんな記念すべきイベントで、ぼくの出番はトップバッター。大トリにどっしり控えるほんやくチームまで、名うてのDJ陣がアトモスフィアをつなげていく、その最初の一人であるわけで、これはなんとも責任重大。
 しかし、そうなればこそ、このイベント全体におけるぼくの役割が「イベントの導入」、そして「ほんやくチームと対をなす立ち位置でのサイバーパンク感の醸成」と見えてきました。つまり、ぼくこそがこのイベントの入り口! 国産RPGで言うと最初の村で「ここはネオサイタマだよ」と呟く村人A! ネオサイタマを最初に認識させる役割!
 ということは……ここまで考えたぼくのニューロンに、一つのエピソード、一つのツイートが思い浮かびました。『ニンジャスレイヤー』を語る上で欠くことのできない記念碑的エピソード、その最初の最初のツイートが!

 というわけで、以上の二本柱、「80年代レトロシンセ風味」と「ニンジャスレイヤーの導入」をかけ合わせて、「ゼロ・トレラント・サンスイ」の第一ツイートを再現するセットリストを作り上げたわけです。
 あえてタイトルをつければ……そう、「Welcome to Neo-Saitama(これまでのあらすじ)」


「Welcome to Neo-Saitama(これまでのあらすじ)」セットリスト

1.「Bladerunner-Main Titles」

 プレ・サイバーパンクといえば映画『ブレードランナー』! この映画の美術デザインこそ、すべてのサイバーパンクのイメージ的アーキタイプと考えて、まずはこのメインタイトル!
 特に1:08あたりのオコト音は、これこそサイバーパンク的音楽の幕開けに外せないと考えての採用です。


2.「Cities of the Future」

「Welcome to the Cities」! 最初の歌詞がドンピシャ! しかも出だしも緩やか! 採用決定!

3.「Miami 2K15」

 以前から利用の機会を伺っていた「VHS Dreams」の曲。80年代シーサイドな感じ。原曲はけっこう緩やかですが、今回は次の曲につなげるためにかなりBPM上げてプレイしました。

4.「ロンリー・サンセット」

 80年代OVAブームを代表する青春アニメにして「疑似現実SF」アニメでもある『メガゾーン23』から、バーチャルアイドル「時祭[ときまつり]イヴ」のナンバー。これも80年代のシーサイドな雰囲気。


5.「Simulator」

 ミニマルな繰り返しがかっこいい曲。今回のセットリストの中では、この曲と続く「Stargazer」との組み合わせをまず思いついて、そこから全体を組み上げていったので、ある意味これがぼくのネオサイタマのイメージかもしれない。
 ところで、このゴキゲンなPV、いかにも80年代な感じでよくないすか?

6.「Stargazer」

 youtubeの動画を上から順に見てきていただいている方はそろそろお気づきかと思いますが、今回のセットリストはニューヨーク発のシンセポップレーベル「New Retro Wave」所属のアーティストの曲を多く利用しています。こういう曲がお好きな方は、このレーベルを要チェックですぞ。

7.「Die klapperschlange」

 曲名はドイツ語で「ガラガラヘビ」……てなんのこっちゃいと思われるでしょうが、これはジョン・カーペンター監督の傑作近未来SF映画『ニューヨーク1997』のドイツ語タイトル。そう、「スネーク・プリスキン」のことなんです!
 で、これはその『ニューヨーク1997』のメインテーマのアレンジ版。たしかズールー=サンから譲り受けたアルバム『Music of John Carpenter』(https://www.amazon.co.jp/Music-John-Carpenter-Splash-Band/dp/B00U85QCCM)に入ってたんじゃなかったかしらん。


8.「Tears in Rain」

『ニューヨーク1997』から『ブレードランナー』へ、近未来都市SFつながりです。またまた「New Retro Wave」から、アーティスト名も「MK Ultra」(1950-60年代にCIAが行った麻薬や覚醒剤を用いた洗脳計画の名前から)とレトロ風味。


9.「West Side Lane」

『ニンジャスレイヤー』が80年代サイバーパンクへのオマージュ/現代的再解釈であるならば、こちらは80年代カンフーブームとコップアクションへのオマージュであり、両者に共通するのは「架空の思い出としての80年代」である……なんて小難しいことを考えいたわけではなく、みんな好きだろ! そろそろええやろ! てだけで入れました、映画『カン・フューリー』から、タイムトラベル/タイムハッキングのテーマ。


10.「Vengence」

 2010年代は、『ニンジャスレイヤー』だけでなく、『カン・フューリー』などのネット発80年代風コンテンツが話題となり、一方で『マッドマックス』や『ブレードランナー』といった80年代映画の続編が登場したりと、ある意味レトロフューチャーブームの様相を呈していました。ヴァイオレンスアクションゲーム『ホットライン:マイアミ』もその一つ。そのサントラから、一等カッコイイPerturbatorの、そのタイトルも「復讐」!


11.「Playtime is Over」

『ニューヨーク1997』、『ブレードランナー』、『カン・フューリー』、『ホットライン:マイアミ』……と80年代&80年代風コンテンツのサントラで来て、ここで個人的にオールタイムベストな80年代風SF映画『ターボ・キッド』のサントラから一曲。カナダの音楽ユニット「Le Matos」はこういう感じのダークシンセポップばっかりでたまりません。

12.「Her Ghost」

 そろそろ持ち時間も終わりに近づきました。ということは、「(これまでのあらすじ)」も終わりに近づいたということ。ネオン瞬く(1-6)近未来都市ネオサイタマ(7-9)で復讐鬼ニンジャスレイヤー(10-11)に接触した二人のニンジャ、その片割れが死に、残された一人が雨の中(8)しめやかに復讐を決意する、それはニンジャスレイヤーの復讐の鏡像である……といったイメージで、New Retro Wave勢の中から個人的にイチオシの「Dance with the Dead」のナンバー。

13.「Get Wild」

 80年代といったらこれでしょう! というわけでみんなの大好きなゲッワイエンタフ。アスファルトタイヤを切りつけながら暗闇走り抜け、チープな電子音に身を任せるミニットマンのイメージです。


14.「プレリュード・ゼン ニンジャスレイヤー:ナラク・ウィズィン」

 そして、ミニットマンはサッキョー・ラインの車両の上でニンジャスレイヤーと再会しました。

 ここから先はみなさまご存知の通り。


Welcome to Neo-Saitama!

 というわけで全13曲、楽しんでいただけましたでしょうか。
 今回は曲のジャンル、BPMをある程度統一したおかげで、これまでにない統一感が出せたと思います。実際、プレイ後にノロワレ=サンに「超うまくなった!」と褒めていただけたり、ゲストDJの杉ライカ=サンにも「超カッコ良かったです」と言っていただけたので、「H.M.C.4」のときより確実に腕が上がっているな、と実感できました。
 また、イベント後の打ち上げで、今回H.M.C.初参加のヘッズ110taku=サンに「小天狗=サンのプレイが超カッコよかったので、それからずっとフロアにいました」と言ってただけたのもうれしかった。これって、一番手としての役割をしっかり勤め上げられたってことですよね。
 とはいえ、あとからユーストリーム配信アーカイブを見直すと、つなぎに余裕がなかったり、ちょっと強引なつなぎがあったりと、まだまだ改善の余地はありあり。今回お褒めをいただいたのを糧に、これからも精進していきたいと思います。

 自分の手番が終わってからは、ここちよい開放感に包まれながら、主にフロアで各DJのプレイを拝見していました。
 ぼくからスタートした前半戦、JOSHUA=サンはフレッシュで明るいロックをつなぎ、さいのす=サンはアニクラ音楽でみんなにサイリウムを振らせ、北浜=サンはゴリゴリのメタルでヘドバンを誘い、みつたや=サンはご本人の人柄を思わせる明るく楽しいお祭サウンドでもりあげていました。
 そして今回のDJ以外は、和刃=サン朗読劇「アトロシティ・イン・ネオサイタマシティ」と、野良=サン紙芝居「デス・フロム・アバヴ・セキバハラ」再演。前者は天狗の狂気とチンピラたちの哀歌を情感たっぷりに語って会場をしんみりさせ、後者は初演のときよりもエモーショナルな客煽りで会場を一体化させていました。
 続く後半戦は、差オム=サンの超かっこいいジャズクラブ、R-9=サンの超テクニカルなマッシュアップつるべうちに続き、「非公式に公式を呼ぶ」オーガナイザーとして快挙を成し遂げ、さらにVJとしても八面六臂の活躍を見せるbetty=サンのミクスチャーロックと続きます。もっちよ=サンの素敵スマイルが溢れるメタル、ノロワレ=サンの熟練の超絶技巧ハウス、そして光るメンポが禍々しくもカッコいいチャブ・マネジメント=サンのこだわりダークエレクトロがフロアを温めると、いよいよ大トリ、翻訳チームの登場。
 前半は杉ライカ=サン。ロック、トランス、ダンス、とノリのいいナンバーをそつなくつなぎ、今回が初DJとおっしゃっていたのがにわかには信じられないワザマエ。そして以前からDJしてらいしたという本兌有=サンに引き継がれると、こちらはゴリゴリの80年代ロック! 超かっこよかった!

 今回のH.M.C.は、これまでにない大入りで(あとで聞いたら総入場者数は前回の1.6倍!)、H.M.C.としても『ニンジャスレイヤー』ファンイベントとしてもまた新しいレジェンドとなったことです。そんなイベントの一番手として、きっちり役割をつとめられたなら、これ以上の喜びはありません。

 次回の「H.M.C.7」は関西地方での開催! 現時点ではまだスケジュールが確定しませんが、可能な限り参加させていただきたいと思います。


(うさぎ小天狗)

いただきましたサポートは、サークル活動の資金にさせていただきます。