プロ野球の世界とマネジメントの関係について(阪神ファンの独り言)

仕事をする上で、マネジメントというキーワードは誰もが意識することだと思う。
マネジメントの中で重要なことは幾つかあるとは思うんだけど、おいらは以下の様なことだと思っています。
1.体制の構築と役割の明確化
2.責任と権限の明確化
3.メンバの育成
4.適切なフィードフォワード(FF)とフィードバック(FB)の実施

1.体制の構築と役割の明確化

世の中のことは同じものでも立場が変われば言うことは180度変わります。
部下に説明をする時と上司に説明する時と顧客に説明する時に言うことは変わって当然です。
これは言うことがコロコロ変わるのではなく、同じもので立場が変わることで言うことを変えなければならないことがあるときに起こります。どんな状態でもどんな相手でも言うことが変わらないというのは「自分本位」であり、仕事というものは必ず「相手」がいるため、その人に合った適切な言い方説明の仕方になるのは普通です。
この立場というものは、体制の中のどこの位置にいるのかということで明確化されます。
またその体制がどの様な役割までを持つことになるのかということが不明確であると体制というものは絵に描いた餅になります。
よく会社では「上長の指示に従うこと」というような言い方をすることが有ります。この上長というものはもの凄くくせ者で、直属の上司なのか、チームのリーダなのか、責任者なのかが明確になりません。
体制には明確な役職(固有名詞)を付与した上で、その役割を明確化する必要があります。これが出来ていない組織は全てが他人事になってしまうリスクが生じます。

2.責任と権限の明確化

責任というと重たければ任務と捉えてもよいと思います。権限を別な言い方に置き換えると権利といっても良いかもしれません。
この責任と権限が明確出ない場合にどの様なことが起こるのか。
それは無責任と越権が生じます。
適切な責任を負うためには明確に責任が決まってなければならないのですが、責任が曖昧になると必ず無責任な状況になるのは明白です。
この明確な責任を負うためには、絶対に権限を行為する必要があります。責任を果たすために必要となる権限というものは暗に明に決まりますが、これを明確に決める必要があります。
責任が不明確であると、権限も不明確になります。責任が明確でも必要な権限が明確にになっていない場合は、越権行為を行うリスクが生じします。
この責任と権限というキーワードを基にして仕事を考える事がマネジメントをする上で非常に重要な要素となります。

3.メンバの育成

有る組織ができた場合に、通常では体制と役割に応じて能力を持った要員が配置されることは稀です。軍隊などのしかもトップレベルの難易度を求められる組織は例外であり、通常の場合は必要な能力を持った要員が配置されないことが普通です。
但し、必要な能力がない組織だとしてもその組織の果たすべき責任は変化したり減ぜられることは有りません。バランスが悪すぎるときは別だけどね。
そのため、その組織として果たすべき責任(任務)を全うするためには、絶対にメンバの育成を行う必要があります。
この能力とは単純な技術的なスキルアップだけでなく、仕事に対するモチベーション、仕事をする意味、人としての成長などの色々な面での育成が必要となります。
また育成するだけでは事足りず、育成することができるメンバを育成することも必要となります。リーダなり能力がある人は育成をする必要がありますが、その組織として実現することを行うことが非常に重要になるために、育成ができるメンバを育成しなければ、能力のある人が育成にかかりきりになってしまい、組織として目的を達成することに注力できない状況が生じてしまうことがあります。
この様なことからメンバを育成をせずに、メンバが悪いとか、育たないとか言うのは絶対にNGです。
育成する人の禁句は「なんでできないの?」「私はこうやってできた」であり、育成される人の禁句は「そういう風に言うのであれば」と「私はこう思っていた」です。
この言葉をお互いに使わない様なことに対する意識も育成する必要があります。

4.適切なフィードフォワード(FF)とフィードバック(FB)の実施

仕事は全て結果論です。結果が全てであり、過程がどうであれ成功すれば良いという考え方はあります。
しかし、これには前提があります。
・何が成功か明確か
・時間軸が明確か
・コストが明確か
です。
要はどの状態になれば成功したことになり、それがどの程度の期間までに実現できれば良いか、またどの程度のコストをかけて良いのか。これらのことが明確になっている時にだけ「成功」という答があらかじめ明確になっていることになり結果論で語って良いことになります。
しかし、仕事ではそんなことは有りません。
だから、結果が全て何だけれども結果だけを見ても足りないことが沢山あったりします。
そのために必要なことがフィードフォワード(FF)とフィードバック(FB)です。
FFはあらかじめ予測を立てて、どうなることに向かうのかということを考える、決める、相談する、定義することです。これはあくまで予測であり、基準であり、目標です。
このFFがないと、迷った時にどちらに向かえば良いのかが解らなくなってしまいます。そうでなくともうまくいかないときは迷いがちになるので、その時に明確なFFがあれば迷う範囲は限定されます。
次にFBですが、これは結果を見てFFとの差異を比較することです。
何が良かったのか、何かが悪かったのか、良かったにせよ悪かったにせよ絶対に理由があり、その理由が成功の又は失敗に原因になっている訳なので、このFBを受ける、考える、反省するなどのことをしなければ全ては結果論になってしまいます。
このFFとFBが無いとどうなるのか、批判評論が巻き起こります。それが全て結果論としての批判評論という形でです。
過去のことでどうしようもないことを結果論で批判評論されるわけです。その時に陥りやすい状況が過去の問題であった、既に取り戻すことが出来なかったことを取り消そう、又はそれをダメだと叩き潰そうとする動きです。
これは不毛です。
何かを行う前にFFを明確にして、何かを実施した後で必ずFBを行い、その差を次の仕事に向けてFFを作り上げていく。(ある人はそれをPDCAサイクルなどと言うこともあります)
このことができないと全てが条件反射的な反応を行うことになり、かつ結果論のみで批判評論する無益な行動に陥るリスクが高くなります。


と、ここまで書いた上で、我が愛する阪神タイガースの状況を見てみよう。

1.体制の構築と役割の明確化

まず、球団のオーナーとか社長が一体何をする人なのかが明確になっていないと思います。
親会社の天下り先なのか出世の途中の階段なのかなどは解りませんが、プロ野球を知らない人がどの様な役割になるのかが現場から見えない様に感じます。
次にGMという現場の全ての責任を負うべき役割の人がいません。長期的な目的を掲げて、それに向けて全ての責任と権限を行使することができる役割の人がいません。これが致命的かな。選手に対してはドラフトの戦略、育成の戦略。監督コーチ陣には長期に渡る人材育成の戦略。これに対して全ての責任を負うことができる人がいないのは致命的だね。

2.責任と権限の明確化

オーナーと社長は除いて現場レベルでの話にします。
まず、監督の責任と権限はどこまでのものがあるのか。コーチ陣の人事は、選手の取得・トレードは、育成のために若手を使う権限は、チームの成績に関する責任は???どれも全てが曖昧な気がします。(GMがいないことがその理由だったりすると思いますが)
基本的に現場の責任は全て監督にあるのだと思いますが、そうであれば何年でどの様な成果を出すのが責任なのか、そのためにはどの様な犠牲を払うことを選択できるのか(トレード、一軍二軍の入替、選手起用など)が不明確だと思います。
二軍の監督コーチ陣の任命権をどこまで一軍の監督が持っているのでしょうか?それともそれは球団が考えることなのでしょうか?
この辺りの責任と権限が、エンターテインメントという側面が多く、ファンが沢山球場に足を運んでくれることで利益がでることになるために短期的な結果を求めることなどの側面とかがその都度その都度適当に結果論として批判されているように思います。
結果がでなければ監督は責任を負う必要はありますが、戦力が不充分であったりコーチ陣が不充分である場合はうまくいかないのは必然です。

3.メンバの育成

これは選手の育成という問題ではなく、完全に育成する人の育成をどの様に考えているのかが全くもって不明ということです。
大リーグしかり、Jリーグしかし、監督(ヘッドコーチ)になるためには教育・勉強と資格とさらに下部組織での実績が必要となります。
名選手名監督にあらずというのは日本固有の言い回しであり、大リーグとかサッカーの世界では名選手でもきちんとした教育を受けない限り監督になることなどは出来ません。
これは日本固有の問題なのかな?世襲制度みたいな感じがあり、その球団で活躍した人がその球団のコーチとか監督になるという球団というものの世襲制度の弊害かな?生え抜き監督という様なキーワードが出てきてしまうことがなんだかなと思ってしまいます。
阪神が強くなった時、又は強くなる下地を作ったときには、野村監督であり、星野監督がいたときだと思う。一部岡田さんが例外かな?この様な育成出来る人たちをどの様に育成していくのか。現役を引退した直後に金本さんに監督を要請し、成績が悪かったことで突発辞任したら二軍監督であった矢野さんに監督を依頼する。首脳陣の育成という観点が全くもって欠如している典型的な動きだったと思います。その様な状況になっているのにも係わらず、矢野さんの采配はダメだとかいうのはちゃんちゃら可笑しいですね。

4.適切なフィードフォワード(FF)とフィードバック(FB)の実施

やるからには優勝という言い方がるのは解るけど、優勝出来るには一つのチームだけです。育成という考え方があっても良いはずです。一年間をかけて、数年をかけてどの様なFFを行っているのか。選手に対して、コーチに対して、監督に対して、チームに対してのFFはどの様なものがあるのか?
優勝目指して頑張ろうというのは良いとは思うけどね。それは何年後に達成するのか、またそれに対してどの程度のコストをかけるつもりなのか。それをどのくらい長い期間維持していくつもりなのか。
また適切なFBを実施しているのかが非常によく見えません。野球は元々失敗のスポーツであり、10回の内に7回失敗して3回ヒットを打ったら一流選手です。チームも勝率が6割あればほぼ優勝に近い状態になったりします。ということは10回で4回負ける事になるわけで、3連戦で2勝し続けると必ず優勝出来るくらいになるわけです。
この様な失敗を前提にするスポーツであれば適切なFFとFBがなければ全てが結果論になってしまうと思います。結果論としてその責任を負うのは球団のトップです。監督を連れてきた人、コーチ陣を決めた人、選手を取得した人たちの責任は何処に行ってしまうのでしょうか?
それらの人たちにはFFとFBは適切に行われているのでしょうか?

ということで、阪神タイガースというのはマネジメントという側面では全くもって勝ち続ける要素を持っていないことになってしまうように感じます。
でも、熱狂的なファンが甲子園球場に足を運び、色々なグッズを購入することで、阪神タイガースという球団は企業としての必要な利益という側面では問題がないために、それ以上のことを求めることが出来ない状況が永遠に続いている訳だ。

ただし一つだけ言えることがあるとすれば、この企業としての成功ということを基本としたマネジメントという観点ではもの凄い成功している組織なのかもしれないな。
イチファンとしては納得がいかないけどね(笑


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