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絵を描くのが好きだからこそ

 某企業Vtuberの方が、イラスト募集をしたところ、AIでの画像で名乗り出た方がいたそうです。その事が少し話題になっていたそうで、まとめ動画が出ていました。なんとなく見てみたのですが、やはりAI擁護派の意見は僕は理解に苦しむ。

 よく、AIイラスト…僕はイラストとも言いたくは無いのですが、あえてAIイラストと言いましょう。AIイラストと普通のイラストの話には、写真の話が出されるそうで、昔の話ですが、写真が登場してから、多くの肖像画の絵師たちが職を失ったそう。それの話と同じだ、という意見ですね。これ僕は普通におかしいと思っていて、まず土俵が違うと思うのですね。写真と絵では、まずまず違うでしょう。写真はそのまま、見たままの姿でしか撮れないのですね。その被写体を工夫していく面白さは僕も理解してますし、良いと思います。対して、絵は見たままに描く必要なんてないわけで、昔の宗教画なんて分かりやすい例だと思います。神様とか、メドゥーサみたいな怪物とか、天使みたいなのとか、実際に見たという人物はいないでしょう。みたとしてもおそらく幻覚。それを想像して描く、というのが絵だとは思います。肖像画職人たちが職を失ったのも、職人たちがその技術を他の絵に移そう、と思いつかなかったのが若干悪いのでは…?と思ってしまう。

 あと、絵描きも、他の人の絵を真似て描いているだろう、それと何が違うのだ、という意見もよく目にします。著名なイラストレーターの方が上達したい人によく言うのは、「人の絵を真似しろ!!」という事が大多数です。ある一人は、文字の「あ」の字を描くにもまず手本をなぞる、そこから自分の「あ」になる、という話をします。本当にその通りで、手本が無ければ絵なんて誰も描けないのですよ。
 そして、決定的に違うのは、AIは真似た人からでしか生成できないと思うのですよ。何十何千か知りませんが、そこからでしか元にして生成できないと思います。対して絵描きは、どこかしらで自分の味が出ます。その自分の味は誰かと似ているかもしれませんが、絶対にその人にしか無い良さがあります。これをある人は、絵は料理で、絵柄はパクチー、という例えで表しています。AIはパクチーが一切入っていない、もしくは誰かの絵の料理の配合でしか描けない、オリジナルで自分の配合なんて一切ない。全部誰かの配合。それが違うところだと僕は思う。

 あと、AI批判している人は遅れている、気づいた時には1周差がついている、みたいな話をしていて、それが個人的に一番意味が分からなかった。
 これってなんの差なのだ…?とただただ疑問。間違っている道を進む人に差がついている、と言われても困る。普通に考えて、自分がAIを作ったわけでもない、自分で絵を描いていない、ただの仲介者がここまで言えますか。

 AIイラストに求めるモノって、やっぱり結果でしか無いのですね。まあそれは絵描きも同じではありますがね。でも、絵描きで大事なのって、過程だと思うのですよ。自分が何年も何年も、努力して、頑張って評価されてきたものを、どこの馬の骨か知らない人が、勝手に無作為に吸収されるのに、怒らない人なんていますか。それが同業者ならまだ許せると思うのですね。少なくとも僕はまだ吸収させてもらっている側なので、あんまりこの話は出来ないとは思うのですが。
 でも、自分が通ってきた過程をたどっているな、と思えば…まあ僕は言えないね。でも、AIって、お前の努力数秒で吸収しました、みたいな感じだと思うんですよ。絵描きが吸収するのなんて、数か月、数年は掛かるんですよ。それが数秒、まあ分かもしれないですが、どんぐりの背比べです。それが許せないのかな、と個人的に思う。
 で、絵描きで大事なのは過程と言いましたが、自分がどんどんうまくなっているな…‼という過程がやはり大事だと思って、AIは、これ作って、と言ったらポンと出てくるだけだと思います。そしてここでは、作らせる指示が複雑かどうかなんて問題では無く、過程の長さが問題なのですね。最低でも年は掛かる上手くなっている…!!と思う過程と、掛かっても数時間程度の出来た、の過程。どちらが自分の成長というか、人として良くなるか、明白だと思います。年かけて成長した人は、人として、自分で努力して得た結果、なのです。対してAIはせいぜい数時間で出た結果です。
 僕自身、調子が悪くて数か月描けない期間があって、そこから現在、割と調子が戻って個人的には成長できた、と感じています。そのエクスタシーがたまらなく楽しい。その快感が絵描きには大事な要素だと、僕は思います。

これが大体1年前くらいに描いた超てんちゃんの絵ですね。恥ずかしくて見せたくないんですけどね本当は。

まだ顔だけですが、1年でこれくらい上手くなれました。

 こうゆう上手くなる過程が楽しめるのが、絵の楽しさです。どこかで自分が努力できた…!!!と思える瞬間というのがあって、その快感が欲しくて毎日絵を頑張っている。いつもより可愛く描けた!カッコ良く描けた!その成長が気持ちが良い。
 自分に酔っている、と思うかもしれませんが、そうですよ!酔っています!自分の描いた超てんちゃんが可愛くてかわいくて仕方ないです!この最高にハイな気持ちが!最高に気持ちが良いんですよ!そしてそれを人に見せて!上手い!って評価されるのが、最高なんですよ。これがあるから、絵を描くのはやめられないし、逆に、この頑張りをAIに踏みにじられている感じがして、AI絵は好きになれない。
 別にこの日記自体僕個人の考えなので、これをどう捉えるのかは人次第ですが、AI絵について考える機会になってくれれば嬉しいです。

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