民間レベルでの紛争地入り

民間レベルで紛争地に入る人もいる。2009年ウルムチ暴動直後にウルムチに入った私もその一人と言えるかもしれない。私の場合は暴動が起きたから行ったわけではなく、その前から飛行機予約をしていて、その後ウルムチ暴動が起きた。

日本人で一番有名なのは、アフガニスタンでもはや英雄となった中村哲さんだろう。私の世代ではチェチェンに入った常岡浩介さんがいる。常岡さんがチェチェンで消息不明になった時は、ロシアやべえと話題になったものだった。団塊ジュニア世代に近い世代が多いが、団塊世代だとポルポト派の取材で当時謎に満ちていたタ・モクのインタビューに成功した馬渕直城さんがものすごい。現地の言葉がわかるだけでなく、現地の方言まで聞き分けられた。漫画のディアスポリスのモデルになったのはこの人だと思う。

こうした民間での紛争地介入とプーチンの言う国が関与した反対勢力への支援はもちろん違う。

また、それは組織的な革命の輸出とも異なる。

ネトウヨが跋扈するようになってから、このような民間の紛争地入りを政府が規制するようになってきた。イラク戦争の時、イラクで拘束された戦場ジャーナリストがネットでバッシングされたということもあった。イラクでの初の自衛他戦地派遣を皮切りに、民間の支援を政府が嫌がり、自衛隊での支援を推奨するようになった。ただ、これは明らかに国レベルでの国外への介入になる。現にこれを境に日本人が国外で殺される事例が増えてきた。

民間で入った場合でも、知らずに国のスパイに利用されるということもある。戦場ジャーナリストなんて年をとると食えなくなってくるので特定政治勢力が金を出すというとそれにすがらざる得ないという状況が生まれることも想像に難くない。そうなるとなかなか線引きは難しくなる。

紛争地介入は自衛隊を通した方が安全とネトウヨは言うが、それがどれだけ民間での戦場取材や、支援を危険にさらしてきたかが自衛隊の海外派遣以降の流れを見てもわかる。また、プーチンの言うような戦争の口実にさえ使われてしまい、戦争すら起こしかねない。

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