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【秒を生きることの意味】

【秒を生きる】ことを気づいた

誰もが一度は耳にしたことがある『1日1日を大切に生きろ』という言葉

よく聞く言葉なので聞き流していたのは事実

誰もが分かっている言葉の意味  誰もが知っている言葉の大切さ

これはある先輩が今も戦っている姿から学んだ【秒を生きる】という言葉の物語です。

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【ことのはじまり】


朝7時、救急車のサイレンが遠くから近づいてくる

仕事に行く準備を家族総出で行っている忙しい時間帯

それでもサイレンは近づいてくる

洗面所に立ち鏡の前でネクタイの位置を確認し歯磨きに取り掛かろうと歯ブラシを手にとり歯磨き粉をつけたと同時に救急車のサイレンがアパートの前に止まった

朝から大騒ぎだなと思いながら玄関から外へでて3階アパートから下を覗き込んだ。救急車は駐車場で止まりざわついている様子

ふと廊下を見渡し隣人宅のドアが開いていた

その瞬間何も考えずに裸足のまま一気に駆けだし、その家に入った

一昨日まで一緒に飲んで語りたった先輩が顔の色気もなく、薄く目を見開いて横たわっていた。思わず『うそでしょ・・』と声に出したのか心の声の中分からない感覚に陥っていた。救急隊がまもなく来てバイタル確認のなか、先輩の奥さんは電話をしながら右往左往していた。

『先輩・・・』っと声を絞り出しだした。横たわっている先輩の正面にいき見下ろすと顔の色はなんともいえない血の気が引いた色、肌色と灰色が混ざった顔色だった。

『マジか・・・』《心の中では『もう死んだ』としかいえない印象だった》救急隊がすぐに処置をほどこしながら救急車に乗せて病院へと連れて行った。

あとに残ったこのなんともいえない空気感

『一瞬の出来事で天地が一気にひっくり返った』

そんな感じだった

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【やれ、やんばーよ(グダグダ言う前にやれ)】


先輩とは同じアパートの隣同士なんで家族ぐるみでお付き合いしている。よく夕ご飯などはアパート4世帯の家族がしまじろう家に集まったりもするので結構珍しいと周りの人から言われたりする。まさに昭和

先輩とはよくお酒を飲みいろんな話に花を咲かせるが、いつもいう口癖が

『やれ、やんばーよ(とにかくやれよ)』


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【先輩長男のコトバ】


先輩の子どもたちは学校に登校させるということで自分が病院に向かいながら送り届けた。車内は外の車がすれ違う空気の音だけで重苦しかったが、子どもにかける言葉が見つけきれなかった。先輩の子どもを下ろす際に

『お父さんをよろしくおねがいします』

一礼して校門の方へ歩いていった

心のどこかではいても立ってもいられないと思うが、毅然とした態度と絶対に助かるという意志の表れだと感じ涙がでた。

病院に到着するとすぐに救急搬送の場所に向かった。家族ルームでは奥さんが倒れた状況など事細かく聞かれていてドア越しからその内容が聞こえてた

先輩は意識不明にまま麻酔で眠らせて応急処置を受けているようだった

時間の経過とともに心も落ち着き、先輩奥さんともようやく落ち着いて話すことができた。一通りの状況を聞いて職場に戻った。時計をみると昼の12時前だった。

空は晴天でも鮮やかな色とは程遠く見えた。何事も起きませんようにと心のなかで言葉に出した。

職場では日常と変わらない忙しい時間が流れており、業務連絡でかかってきた電話でのやりとりの中で「今の仕事に自信がない」などの相談を受けたがまったく耳に入らなかった。

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【くも膜下出血】


倒れた原因は「心不全」か「くも膜下出血」のどちらかと病院の先生からいわれていたが精密検査によりくも膜下出血と伝えられた。

そして「2週間は油断を要さない」「意識不明の状態で麻酔で眠らせたので意識がもどるかも分からない」と

先輩が倒れて4日目、ICU(集中治療室)の立ち入りは家族のみとされていたが、先輩奥さんは『いいよ、見てあげて』と言ってきたが少しためらった。むしろ怖かったの方が正解に近い。

ICUの奥に進むに連れネガティブな感情が湧き上がってくる。そして先輩の部屋に入った。


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【生きる呼吸】


ICU(集中治療室)は明るく白を基調としたデザインを感じた。先輩はその部屋の中心に置かれたくさんの器具をつけられて横たわっていた。穏やかにときより響くピンピンという機械音が何らかの合図だと思うが先輩のものからではない。

『みてごらん、自発的に呼吸ができないから人工呼吸器をつけているよ』器具で塞がれた口には大きな管のようなものにつながっており、その先をたどっていくと心臓の鼓動を読み取る装置の画面へと続いていた。《絶句だよねこの光景》

先輩の顔をじっと見つめていると『生きるために呼吸を必死でしている』

ことを感じとった。

不謹慎かもしれないが、こんな状況でも俺に学びを伝えている、気づかせていると思った。

【秒を生きている人に勝てない】

必死で生き抜こうとしている先輩を見ると「仕事の悩み」「お金がない」とかちっぽけな事なんだと

『気づかせてくれてありがとうございます』


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【再起をかけた戦いが今も続く】


その後、先輩は順調に回復をみせて今はリハビリ施設に転院し日々機能回復のトレーニングメニューをこなしている。恐るべきは彼の口癖である『やれ、やんばーよ』を自ら実践して見せている。

『すげーよ、先輩 自宅に戻ったら飲もうよ』

これが二人の約束、叶えられる約束

どんな状況であれ「学び」がある、「気づかされる」ことがある。関わりあう存在に感謝するしかない。


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【あとがき】


自分の出来ることは先輩から気づかさせれた事を他の誰かに伝えることで、もしかしたら助けになるかもしれないと感じました。最後まで読んでくださいありがとうございました。


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【今を生きる】※その後の様子です。


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