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老いを受け入れる準備

遅い初詣に出かけました。降りたことがない駅の、天満宮にお参りして、足を伸ばして山のお寺にお参りしました。

そこには予想もしていなかった長い石段が伸びていました。喘息ですぐ息切れがします。ゆっくりと登っていきましたが、杖があればいいなと思いました。

その晩、初めて膝が痛くなりました。湿布を貼り付けて寝ました。今年は毎日歩くようにして身体を鍛えようと思いました。

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そこで思い出したことがありました。

私が20代の頃、イタリアのツアーに参加しました。その時代はバブル期の残り香が残っていたので、庶民の私も海外旅行に出かけていました。

かなりハードな日程でした、当時は珍しい場所への団体旅行だったので旅慣れた人も参加していました。そのツアーに70代ぐらいの上品なご婦人がいました。これまで世界各地を旅をしてきたそうです。

旅も数日が過ぎ、坂道にきつい観光地に差し掛かりました。旅の疲れか婦人は集団に遅れがちになっていきました。

私と参加していた友だちがいいました。

「遠い場所に旅するのは、なりべく若いうちの方がいいわね。団体旅行は安くて便利だけど、高齢の方には厳しいわ。」

なるほど、そうかもしれないなと当時の私は、ふんわりと理解しました。

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程なく、私は人生において就職、結婚、出産、育児の怒涛のライフイベント期に突入しました。共働きで収入はあっても旅に出る時間はありません。

そして夫が亡くなり、娘の進学、就職、独立に立ち会っていましたら、今度は時間があるけど独身時代のような潤沢な予算が持てなくなりました。

人生はうまくいかないようです。

それでもまだ体力があるので、行きたい気持ちさえあれば交通機関を使い旅に出ることは可能です。

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「痛い・・・」痛む膝を抱えて、いよいよ体力的に旅に出れなくなることを想定する年代の入り口に差し掛かったようです。

そんな時、団体旅行の集団から遅れがちになっていたあのご婦人のことを思い出したのです。

プライベートジェットかファーストクラス、せめてビジネスクラスを利用する資金があれば、幾つになっても海外旅行もできるでしょう・・・なんて想像して笑っちゃいました。

現実的に国内旅行、住んでいる近畿地方、いや近所のスーパー銭湯でも充分楽しめる私がいました。それに予算を工夫するのは頭の体操です。

老いを受け入れる準備は出来つつあるそうです。

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今の私は走っては行けないけど、歩いて行けばいい。

まずは運動不足を解消するべく、毎日散歩に行こうと思います。


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