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桜が咲いたら。

1月は逃げる。2月は逃げる。3月も去っていくんだろうな。蔓延防止なんたらも延長が決まりました。ウクライナでは戦争が始まった。目も耳も、うんざりするようなことばかりが入ってくる毎日で、不安です。

気晴らしに本屋に行きますが、たくさんの本がありすぎてなかなか選べません。心躍るような本を見つけることができないのです。手に取ったのが、夏目漱石の教え子でもあった中勘助の「銀の匙」でした。

灘校で、国語の先生が3年間をかけてこの本を教科書に授業をされているとニュースで紹介されていました。これがその本かと買い込み、待ち合わせのカフェで本を開きました。難しい漢字、言葉が多くて、巻末の語句の説明を何度も開きながら読むので、ゆっくりと読み進めていきました。

言葉が密集していますが、物語の風景が目に浮かぶようです。今使っている言葉のルーツのような言葉もありますが、知らない言葉、既に失われた言葉もあります。最近読んだ本で、こんなに言葉が詰まった文章を読む機会がありません。最近読む本は、どれも言葉は少ない。そんな本を表面だけサラッと速読するので、すぐに忘れてしまう。どうも私の読み方は始末が悪いです。

本の中の明治の東京の風景は、全てではないですが戦争や年月で消えているでしょう。風景だけでなく言葉も消えていくのだと思い知りました。100年の年月は、今ここにいる「私」だけでなく、今見えている光景も消しさる可能性があるのです。それが疫病か戦争か、はたまた別の理由もあるでしょう。いつか私も消えていくのです。だったらやりたいことをしとかないと、なんだかもったいないです。

だらだらと英語の勉強もしていますが、もう海外に行くこともなさそうなので、いつか子どもの頃読んだ絵本や児童文学を原書で読めたらいいなと思います。あと何年かかるだろうけど・・・昔勉強をサボったツケなので、甘んじて受け入れます。

映像やイラスト、音楽となんでも興味がありますが、恐ろしく手先が不器用で、イメージを具現化できずに歯軋りするような経験をしてきました。でも端末を操れば、なんとかなりそうです。ずっと欲しかった端末を購入しました。諦めてきたことにもう1度挑戦します。

北海道に住む友人から、メールが来ました。「来月、病院の帰りにそっちへいくわ。時間が空いていたらお喋りしませんか」通院の帰り道に、飛行機に乗ってくる寄り道って、面白い。「持病があるから、この先分からんからね、行きたいところ、会いたい人には会いにいくよ。」彼もやりたいことをやっているのです。類は友を呼ぶ、彼とは生き方が似ているのでしょう。だからこそなんだかんだこの10年、半年に1度会っていたりする。

4月になって桜が咲いて、古い友だちと再会する。小さな希望です。不安に押しつぶされないように、少しずつ「銀の匙」を読み進めながら、生きていこう🌸



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