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蟹と戯れる啄木の気持ち

「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」

当時、中学の国語の教師をしていた従兄弟は「蟹と遊ぶ暇があったら働け!」と授業で突っ込んだそうです。ちょうど私の中学生の時期でしたが、そりゃそうだ働け啄木!と共感した記憶があります。

以来、私の中で罪なき石川啄木に対し、金持ちの大バカ息子という強烈なイメージがつきました。

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目下、病み上がりで日に日に活力が戻ってきていますが、力の入れるべきことが浮かんできません。やるべきことがないのです。

私は毎日本を読み、YouTubeを眺めながら惰眠を貪っています。蟹と戯れる啄木も「俺貧乏だけどな・・・」と言い訳をしながらぽゃーんとした日々を送っていたのではないかと思いました。今の私が最も共感できるシュチュエーションがこの短歌なのです。

加えて私の知り合いはみな立派で努力家で優しい人ばかりです。それに引き換え私は無駄な時間をのろのろと生きている。なんてしょうもない人間だと自虐的な気持ちも湧いてきました。

「友が私より偉く見える・・・」そんな言葉が浮かびました。どこかで聞いたことがあるぞと調べてみると、

「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひ来て妻としたしむ」

作者は石川啄木でした。花を買って嫁とイケてる友だちのネタを話すのです。なんだか頑張れない啄木にちょっとだけ共感している私です。

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目下、頑張りどころが分からなくて迷走している私です。

最近浮かんだやってみたいことは、そうとうどデカい野望です。数年単位で成し遂げる必要があります。そのためにも日々小さなことからコツコツと積み重ねていかねばなりません。短距離走タイプの私にフルマラソンのプランを立てることが苦手なのです。

さらに達成のためにやるべきことが幾つかあります。英語の読み書き会話のスキルを磨く、調査に行く、インタビューもしたい、こんな資料じゃ足りない。でも研究論文ではないので、そこまで底なし沼にハマる必要もないし・・・とくだらない想像をしては、仏像のように動けなくなっているのです。(仏様ごめんなさい)

そして蟹と戯れる。

それから啄木はどうなったのか、彼の生涯を知りたいと思いました。





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