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地方銀行関連銘柄

◆テーマ全体感

地方銀行(地銀)とは

地方金融の根幹として機能し、地方の個人や中小企業に対して金融サービスを提供し、地方創生・活性化に貢献する役割があります。三菱UFJ、三井住友、みずほから成る"メガバンク"が大きな企業規模をもって日本全土や海外を視野に活動するのに対し、地銀は地方金融に限定して注力しています。

具体的な銀行の三大業務は「預金」「融資」「為替」です。
個人に対しては「預金」、投資信託や保険など金融商品の提供により安定的な資産形成などの支援を行います。
地元中小企業に対しては「融資」による資金提供や、販路拡大、生産性向上などのコンサルティングによる経営課題解決にも貢献します。

今回のテーマ

22年末に日本銀行の黒田総裁が長期金利操作の許容変動幅を拡大しました。これまで長期金利は上昇方向の許容幅ギリギリで推移しており、その変動上限の拡大は実質利上げが示唆される、と市場に判断されました。

すなわち、これまでの金融緩和から今後は金融引き締め(利上げ方向)に動く、と方針が転換されたことになります。

この大きな転換点で、まず業界全体に追い風を受けるのが地方銀行銘柄です。地方銀行の収益の肝は、金利の低い短期金利で預金として調達し、金利の高い長期金利で貸出したり、株式等の有価証券を購入したりして運用を行う仕組みです。国が定める長期金利が上がるとそれだけ金利差による利鞘が生まれます。

これまで異次元金融緩和による低金利環境下で地銀の経営状況は厳しくなる一方でした。地銀銘柄の平均PERはかなり割安の水準になっていましたが、今回の日銀の方針転換により、地方銀行に見直しが入るというのが今回のテーマです。
ただし今回の利上げ方針転換だけでは、多少マイナス影響は減るものの経営環境改善は限定的とみています。そもそも金融サービスの価値が減少しており、かつ銀行が乱立しています。ファンダメンタルが大きく改善されるにはサービスの進化や統合による構造変革など長い月日が必要となります。今回のテーマはEPS改善よりもPER水準の見直しという側面が強く、株価上昇は限定的になると予想します。

関連指標

長期金利の指標として日本の10年債利回りは確実にみておく必要があります。
また、直近急激な円安からの円高で注目されている為替も注目です。日本の長期金利上昇は円が買われる→円高につながることがあるので、遅行指標となります。また、日銀が急激な円安に対して円買い介入をしたことも記憶に新しいですが、急激な金利変動に対する日銀のアクションにも要注意です。

直近のイベント

日銀関連のイベントとして、政策決定会合が定期的に行われているため、その日程には注意しておく必要があります。
(23年は内容公表日ベースで1/18、3/10、4/28、6/16、7/28、9/22、10/31、12/19)
また、現日銀総裁の黒田氏の在任期間が23年3月末で終了するため、後任人事に注目すべきでしょう。これまで異次元金融緩和を主導してきた黒田氏退任に伴い、利上げへの方針転換が加速する可能性もあります。

◆関連銘柄

関連銘柄リスト

関連銘柄は多数ありますので省略します。株取引ツールなどでテーマ検索をすれば地方銀行銘柄一覧が簡単に手に入ると思います。

◆注目銘柄紹介

地銀銘柄は多くあるものの、今回のテーマ禍で個人的に注目したい銘柄をリストアップしてみました。地銀銘柄はファンダメンタル分析が難しく、今回は以下のポイントから銘柄を探してみました。

  • 貸出金残高:貸出金の量に応じて利息も増えていくため、中長期的な収益源となる

  • 有価証券残高:配当利回りに応じて将来の収益源となる

  • 預貸率:預金残高に対する貸出残高の比率で地銀の経営指標とされやすい

  • その他通常通りのEPSなど

8369京都銀行

  • 時価総額:約4600億円、PER:18.84倍

  • 土地柄、任天堂、日本電産、京セラなどの大企業の政策保有株を有しており、配当収入が大きいことに加えて含み益も

  • 時価総額、総資産額が地銀銘柄中70社中TOP10に入っており、手堅い

7173東京きらぼしフィナンシャルG

  • 時価総額:約820億円、PER:4.2倍

  • 低いPERと高いEPSの伸びを示す

  • 首都圏に基盤を持ち、企業数も多いことから貸出先は潤沢に存在

7180九州フィナンシャルG

  • 時価総額:約2000億円、PER:8倍

  • TSMCが熊本県に工場建設するなど産業発展が期待される地域に基盤を持つ

  • 今期も第2四半期決算で上方修正発表しており勢いがある

8354ふくおかフィナンシャルG

  • 時価総額:約5700億円、PER:10.1倍

  • 高い預貸率を誇る福岡銀行を傘下に持つ

  • 総資産では地銀首位級になっている

◆最後に

地銀株は乱立している上に事業内容がかなり複雑なため、銘柄別の分析は正直難しかったです。一方でニュースにより全体が上げたり全体が下げたりするので、個別銘柄探求に注力しすぎなくても良いのかもしれません。

今回のテーマは業績改善の要素は少ないので、PER向上の指標として、Twitterで注目されている銘柄に入れるのも一つの手かと思いました。

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