土方巽 1960 しずかな家-18/27

前頁のテキストは土方巽夫人である元藤燁子の著書『土方巽とともに』(筑摩書房 1990)よりの引用である。

元藤の著作は、彼女独特の空想が入り込んでいるらしく、細部において不正確であることが研究者や第一世代の舞踏家たちの間で知られている。

この公演を制作するにあたり、私は黄金町時代の土方巽について調べた。その結果、元藤の著作では「豆腐屋」となっていたアパートの大家が、うどんの製麺業を営んでいたことが判明した。

また大岡川は艀がうかび、木材などの舟運が行われていた運河であり、決して「小さなどぶ川」ではない。たしかに1960年代当時は汚染がすすみ、悪臭やメタンガスで知られる汚れた河川だったが、小さくはない。

また京浜急行は、現在も黄金町駅で止まることはない。

なお朗読で「たなかぎん」と読んでいる人物は、画家の田中岑(たなか たかし 1921-2014)である。これは『土方巽とともに』の文中に誤字があり、田中の名前が「田中吟」となっていたためである。

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